・可変速揚水発電システム

・水車

・水車発電機

・監視・制御

可変速揚水発電システム


ポンプ水車の回転速度を変化させ、需給の微調整を可能にする可変速揚水発電システム


水車発電機の理想を実現した可変速発電機の仕組みを、世界で初めて揚水発電システムとして実用化

東芝は1990年に世界で初めて可変速揚水発電システム(東京電力 矢木沢発電所2号機向け)を実用化しました。これ以降、自動周波数調整機能(AFC: Automatic Frequency Control)やその他の高機能を有する可変速揚水発電システムの有効性が注目され、日本国内だけでなく海外でも建設・計画されています。

電力需給の調整力に長けた「可変速揚水発電システム」の特徴

可変速揚水発電システムは、回転速度を変化させることができることから、次のような特徴があります。

  • 揚水発電時の自動周波数調整機能
  • 運転時の高効率化、運転範囲拡大
  • 電力系統安定度の向上
  • 系統電圧維持機能

定速揚水発電システム

可変速揚水発電システム

世界最高揚程・落差を達成した 葛野川発電所 紹介動画

水車


水車模型試験・流体解析技術による水車性能向上


高効率、高性能で環境にやさしい水力発電システムを世界中に提供するため、東芝は、継続した開発や研究に取り組んでいます。東芝は、世界有数の水力研究所を有しており、実物水車をスケールダウンしたモデル水車を用いて、水車性能や流体現象の試験や研究を実施し、常に高性能な最先端技術の水車を提供しています。また、モデル試験とともに解析技術の向上にも取り組んでいます。

水車モデル試験装置

水車流れ解析事例

スプリッタランナを世界に先駆けてポンプ水車に採用

長翼と短翼を交互に配置するスプリッタランナを世界に先駆けてポンプ水車に採用することにより、従来のランナ形状では実現できなかった高落差化および高効率化を実現し発電並びに揚水運転効率や安定運転性能をさらに向上させています。

東芝の流れ解析技術を駆使し、複雑な流れを考慮した中間羽根の長さと配置を最適化することで実用化へこぎつけました。

スプリッタランナ


AI・1DCAEを活用した水車性能予測省力化技術


高度化している性能要求に対応した最適な水車の短納期化を目的として、従来の流れ解析(CFD:Computational Fluid Dynamics)の代わりに、東芝はAI・1DCAEを活用した高精度な性能予測技術を開発しました。

機械学習を用いたサロゲートモデルによるランナの性能予測

DNN(deep neural network)による性能予測フロー
ベースとなるランナ形状の羽根出口角度や長さに関する設計変数の変化量を入力として与え、流量や水車効率の変化量を予測する。

ベースとなるランナ形状の羽根出口角度や長さに関する設計パラメータの変化量を入力として与え、流量や水車効率の変化量を予測
CFDに対してほぼ同等な精度で予測でき、大幅な時間短縮を確認

1DCAEとCFDの連成解析による水路系全体を考慮した流体振動の予測

1DCAEとCFDの連成解析手法
連成解析は、1サイクルごとに逐次、1DCAE側とCFD側双方から圧力や流量を受け渡し合う手法で行われる。

従来のCFDモデルと開発した連成解析モデルによる流体振動の予測精度の比較
試験で得られた流体振動の振幅と周波数に対する誤差を評価した結果、CFDと1DCAEの連成解析は、CFDだけを用いた従来モデルに比べて予測精度が改善されていることが確認できた。


水車製造におけるデジタル技術活用


東芝は1900年に水力発電用水車の製造を開始し、その後120年以上にわたって製造手法や技術の開発を進め、成熟させてきましたが、近年では少子高齢化の進行に伴い、これまでの熟練技術に頼った製造手法やその技術継承が課題となっており、作業を効率化しながら、熟練技術に頼る事なく高品質な製品を製造する技術が求められています。

デジタル技術を活用した新たな水車機器製造及び据付プロセスの開発・適用を進めています。

フランシス水車ランナへの自動溶射施工技術

土砂が多い発電所では、土砂による摩耗を防ぐため水車部品に硬質材料で溶射を施し、耐摩耗性を向上させる必要がありますが、フランシス水車ランナの羽根の間(出口圧力面)は狭いため、従来は特殊設備・技能による溶射施工が必要でした。

そこで東芝は汎用の溶射ガンを入口からアクセスさせ、高精度な施工が可能となる自動溶射施工技術を適用しました。これは溶射皮膜の品質確保に大きく貢献します。

  • 溶射ロボット全体と、その先端に設置される溶射ガンの緻密な動きをロボットシミュレータと3D CADで再現して施工プログラムを作成
  • 精密なロボットティーチングにより、製品に干渉せずに高速で施工

画像協力:株式会社シンコーメタリコン

水車発電機


水車発電機の稼働率向上


水車発電機の故障による計画外停止や点検・補修による停止期間を短くする為の技術開発を行っています。

これらの技術により、点検・補修に掛かる時間を最小限に抑え、稼働率向上・電力の安定供給に貢献します。

オンライン絶縁劣化診断技術による余寿命診断

オンライン絶縁診断技術とAIによる故障因子評価により、発電機を停止せずに固定子コイルの異常診断・余寿命診断が可能です。

固定子点検・補修ロボットの開発

東芝が開発した薄型のロボットにより、回転子吊り上げ等の分解をせずに固定子の点検・補修が可能となりました。

これにより、従来から停止期間を大幅に短縮したうえでの点検・補修を実現します。

東芝レビュー 関連リンク:水車発電機の稼働率向上技術 (PDF形式)(1.22MB)

監視・制御


水力発電所の保守支援技術


水力発電所の保守におけるお客様の課題をAI・IoTを活用した保守支援技術で解決します。

クラウドサービス“TOSHIBA SPINEX for Energy”を軸とし、発電所に設置したセンサ等を用いてデータを集め、セキュリティを担保しながらデータをクラウドサーバ上送り、蓄積。そのデータを活用した遠隔監視・運転支援・巡視支援・予兆診断や巡視点検の省力化などの保守業務改善を推進しており、お客様の課題やニーズに合わせた最適な機器構成・サービスを提供しております。

TOSHIBA SPINEX for Enegyについては こちら
東芝レビュー  関連リンク:水力発電所の保守支援技術 (PDF形式)(1.84MB)

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