令和3年度再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業を完了

~多数のリソースを束ねることによるインバランスの低減効果を確認~

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2022年03月29日

東芝ネクストクラフトベルケ株式会社
東芝エネルギーシステムズ株式会社

 東芝ネクストクラフトベルケ株式会社(TNK)および東芝エネルギーシステムズ株式会社(東芝ESS)は、TNKをコンソーシアムリーダーとして、経済産業省が公募する実証事業「令和3年度再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業注1」に採択され、12月~1月を中心とした実証実験を終えました。今回の実証で、発電リソースを束ねることによる発電インバランスの低減など、様々な成果を得ることができ、こうした知見を基に、2022年春より再エネアグリゲーション事業を開始します。

 本実証事業は、変動性の高い太陽光発電や風力発電等の再エネ発電設備の発電量予測技術や、蓄電池などのリソースを制御する技術の実証を行うことで、再エネを活用した安定的かつ効率的な電力システムの構築と、再エネの普及拡大を図ることを目的として、再エネアグリゲーター17社および実証協力者11社でコンソーシアム注2を組み、推進してきたものです。

 今回の実証では、コンソーシアムメンバーの太陽光・風力などの多数多種な再エネ設備注3(全国10エリア、合計出力約1GW)や蓄電池を用いました。アグリゲーターごとに、各電力エリアの再エネ設備で発電バランシンググループ(BG)を組成し、発電量予測精度の評価、インバランス回避の評価、収益性の評価を行いました。また、コンソーシアムを仮想的な巨大アグリゲーターとみなして、同様の評価を行いました。

 予測精度の評価では、ドイツのネクストクラフトベルケ社の予測を含む5つの予測モデルを用いて、発電量予測の誤差を評価しました。コンソーシアムの多数の再エネ設備を束ねることで、均(なら)し効果を得ることができ、予測誤差を小さくできました。その結果、太陽光発電を単体で運用した場合のインバランス量の比率注4は約4~8%注5でしたが、これらを束ねることでインバランス量比率を約2%~4%注5まで減らせることを確認できました。加えて、蓄電池による充放電や、当日の時間前市場取引を行うことにより、ベストケースで約1.8%注6までさらにインバランスを減らすことができました。また、風力発電量の予測や、積雪時におけるPV発電量の予測においては、予測技術の課題も発見され、今後の検証課題として明確化することができました。

 収益性の評価では、市場価格予測と発電量予測を考慮して、市場価格が安い時間帯に充電し、価格が高い時間帯に放電(売電)する蓄電池の充放電計画を作成することで、市場取引による収入を増やせることを確認しました。

 これらの実証では、ドイツのネクストクラフトベルケ社と共同で東芝ESSが開発したシステムを用いました。本システムを使うことで、発電量予測や発電量実績を画面で確認できます(図1)。また、予測結果に基づきエリア単位で作成される市場への入札計画を確認したり、実際に市場へ入札したりすることも可能です(図2)。

 また、本実証では、多数のコンソーシアムメンバーが参画しワーキンググループごとに、再エネアグリゲーション事業者向けの保険商品の検討や、発電量予測に関する課題の整理、再エネアグリゲーションシステムにおけるセキュリティ上の課題の検討、発電BG~需要BG連携のユースケースの検討を実施しました。

 さらに、ドイツのネクストクラフトベルケ社によるワークショップを4日間にわたり開催し、欧州の電力取引市場の知見を共有し、日本国内市場の状況と照らし合わせて、活発な議論を行いました。

 TNKと東芝ESSは、今後も本実証事業を通じて明らかになった課題を解決するべく、発電量予測やリソース制御等の技術開発を継続し、再エネアグリゲーション事業を通じて、再エネを活用した安定的かつ効率的な電力システムの実現に貢献していきます。

図1.発電量の予測値/実績値の確認画面
図2.市場入札計画画面
図3.再エネアグリゲーション事業で想定されるビジネスモデル

注1:正式名称は、「令和3年度蓄電池等の分散型エネルギーリソースを活用した次世代技術構築実証事業費補助金(再生可能エネルギー発電等のアグリゲーション技術実証事業のうち再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業)」


注2:コンソーシアムメンバー
コンソーシアムリーダー
・東芝ネクストクラフトベルケ株式会社
再エネアグリゲーター17社
・アーバンエナジー株式会社
・株式会社ウエストホールディングス
・ENEOS株式会社
・関西電力株式会社
・九州電力株式会社
・コスモエコパワー株式会社
・ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社
・中国電力株式会社
・東京電力エナジーパートナー株式会社
・東北電力株式会社
・日本工営株式会社
・日本電気株式会社
・北陸電力株式会社
・北海道電力株式会社
・株式会社ユーラスエナジーホールディングス
・株式会社ユーラスグリーンエナジー
・東芝エネルギーシステムズ株式会社
実証協力者11社
・出光興産株式会社
・株式会社エネルギア・ソリューション・アンド・サービス
・エフィシエント株式会社
・株式会社関電エネルギーソリューション
・JREトレーディング株式会社
・東急不動産株式会社
・豊田通商株式会社
・一般財団法人日本気象協会
・First・Solar・Japan合同会社
・三井住友海上火災保険株式会社
・東芝エネルギーシステムズ株式会社

注3:太陽光発電、風力発電、バイオガス、バイオマス、小水力等。

注4:インバランス量の比率=(発電計画値と発電量実績の差の絶対値)÷発電設備の容量

注5:小数点以下切り捨て

注6:小数点第二位以下切り捨て

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