信夫山福島電力株式会社様

FIP制度下での「疑似FITスキーム」による収益安定化支援

FIP制度において、FITのように固定額の売電収入による収益安定化とバランシング業務負担の軽減を実現

信夫山福島電力株式会社様

FIP制度下での「疑似FITスキーム」による収益安定化支援

FIP制度において、FITのように固定額の売電収入による収益安定化とバランシング業務負担の軽減を実現

課題

FIT制度から、売電価格が電力市場と連動するFIP制度へ移行することに伴う「売電収入の変動リスク」への対応と、FIP制度の下で課せられる「計画値同時同量の責務」への対応に悩んでいた。

解決策

東芝エネルギーシステムズが長期かつ固定価格で電気を買い取り、売電収入の変動リスクを解消。また、計画値同時同量業務を代行することで責務を負担。

課題

FIT制度から、売電価格が電力市場と連動するFIP制度へ移行することに伴う「売電収入の変動リスク」への対応と、FIP制度の下で課せられる「計画値同時同量の責務」への対応に悩んでいた。

解決策

東芝エネルギーシステムズが長期かつ固定価格で電気を買い取り、売電収入の変動リスクを解消。また、計画値同時同量業務を代行することで責務を負担。

背景


太陽光発電売電価格下落を見越し、新たな水力発電所の開発を目指す

信夫山福島電力株式会社(以下、信夫山福島電力)様は、福島県福島市に拠点をおく再生可能エネルギー事業開発会社です。
福島県は2011年の東日本大震災後、「福島県再生可能エネルギー推進ビジョン」を改訂し、その中で「2040年頃を目途に県内のエネルギー需要の100%以上に相当するエネルギーを再生可能エネルギーから生み出す」という目標を設定しました。そうした県の方針を受けて、2013年に一般財団法人ふくしま未来研究会が発足。同財団を共同事業者として、2016年に信夫山福島電力様が設立されました。

信夫山福島電力様は、太陽光発電、風力発電、水力発電を三本柱に発電事業を展開しています。はじめは「白河ソーラーパーク」(73,892kW)などの大型の太陽光発電に注力して事業を開始しました。その後、風力発電では「吾妻高原風力発電所」(32,400kW)を運転開始したほか、水力発電では「すりかみ浄水場小水力発電所」(49.9kW)など小水力発電をメインに事業を行っています。
信夫山福島電力様が設立された2016年、FIT制度による太陽光発電の固定買取価格は24円/kWhでした。
「私たちの太陽光発電事業への参入は出遅れ感が否めませんでした。固定買取価格は年々下がり、20円/kWhを下回った時点で採算的に厳しいと判断しました。そこで水力発電所の新規開発に力を入れていこうと考えるようになったのです。」(信夫山福島電力・渡辺様)

当時の課題


FITからFIP制度への移行で、売電収入の変動リスクへの対応が必要に

水力発電所は、発電に適した場所を見つけるのが大変で、さらに適地があったとしても水利権等の問題で発電施設の建設ができないこともあり、新規開発のハードルが高いという難点があります。そんな中、2020年に多目的ダムである「木戸ダム」の管理用水力発電事業者の公募が福島県によって実施されました。信夫山福島電力様は水力発電事業を拡大する好機と考えて入札に参加し、見事に事業者に選定されました。その後、電力会社との系統連系などの手続きを進めていきましたが、そこで思わぬ問題が発生しました。
信夫山福島電力様は当初、2021年度中に諸手続きを終えて、FIT制度での認定申請を行う計画でした。しかし、系統連系に2年間を要してしまい、予定通りに手続きを終えることができませんでした。木戸ダムの発電量は2,300kWであったため、2022年度からはFITの対象外となり、新しく開始したFIP制度の対象となってしまいました。
「FITであれば、20年間の固定価格での買取が保証されていたため、事業計画が立てやすく、資金調達もしやすかった。しかし、FIPでは月々の売電収入が市場価格に応じて変動し、プレミアムの扱いもわかりづらく、先々の見通しを立てるのが難しくなってしまったのです。」(信夫山福島電力・渡辺様)(図内課題①、②)

FIP制度では小売電気事業者との相対取引も想定されていましたが、それ以外にも発電事業者には計画値同時同量の責務(発電計画の提出やインバランスの精算)という課題がありました。(図内課題③)
「私たちの会社では計画値同時同量業務を行うことができないため、どこかのアグリゲーターと組むしか選択肢はありませんでした。そこで早くからFIP制度に対応したビジネスを展開していた東芝エネルギーシステムズさんに相談することになりました。」(信夫山福島電力・渡辺様)

課題が解決できた理由


疑似FITスキームにより、売電価格変動リスクと計画値同時同量責務を回避

東芝エネルギーシステムズが信夫山福島電力様にご提案したのは、木戸ダムで発電した電力を固定価格で20年間買い取る「疑似FITスキーム」でした。このスキームでは固定価格での買取のほか、発電事業者に代わって計画値同時同量業務も代行します。そのため、信夫山福島電力様は売電価格変動リスクと計画値同時同量責務を負う必要がなくなります。
「私たちはFITのときと同じ感覚で安心して事業を進めていくことができます。長期間の固定価格買取はまさしくFITと同じであるため、金融機関や投資家への説明もしやすく、融資の審査をスムーズに進めてもらうこともできました。」(信夫山福島電力・渡辺様)

また、木戸ダムとは別に、太陽光発電についてのご提案も実施しました。先述したようにFITの固定買取価格は下落し続けていたため、信夫山福島電力様は新規での太陽光発電所の建設を行っていませんでした。そこで太陽光発電導入促進補助金の制度があること、その申請手続きも東芝エネルギーシステムズがサポートできることをお伝えしました。
「太陽光発電の新規案件からは手を引いていたので、新たな補助金制度があることも知らなかったです。東芝エネルギーシステムズさんから話をもらい、補助金を活用すれば採算が取れることがわかり、あらためて太陽光発電にも力を入れていくことにしました。」(信夫山福島電力・渡辺様)

※疑似FITスキームでは、プレミアム価格の変動に合わせて電気の買取価格を調整し、実質的に固定価格での取引を実現しています。

導入後の効果


取引業務の不安がなくなり、運転開始に向けた設備工事に集中

木戸ダムの発電施設の建設工事は2024年の秋ごろまでかかり、稼働は2026年4月ごろを予定しています。
信夫山福島電力様の水力発電事業は、出力約50kWのマイクロ水力から始め、約872kWの信夫山・光大寺小水力発電所、そして約2,300kWの木戸ダムと、徐々に大きな発電施設を管理・運営するノウハウを蓄積してきました。マイクロ水力(100kW以下)と1,000kWを超える小水力を比較すると、前者の方がkWあたりの設備工事費用がかさみ、採算性が低くなります。信夫山福島電力様としては今後さらに1,000kWを超える小水力発電に注力していきたいという考えがあり、木戸ダムの運用はその試金石となります。
「まずは木戸ダムを計画通りにきちっと稼働させること。それが私たちの当面の目標であり、そこに集中して取り組めるのも東芝エネルギーシステムズさんが提案してくれた疑似FITスキームで固定価格買取と長期契約が保証されているおかげです。」(信夫山福島電力・渡辺様)

木戸ダム発電設備建設現場

本契約における事業体制
(クリックして画像を拡大する)

お客様の声


信夫山福島電力株式会社
代表取締役 渡辺和弘 様

太陽光・風力・水力の3つが互いに補い合い、どんな天候でも安定して発電

水力発電は昼夜を問わず、年間を通じて安定した発電ができて、太陽光発電の5~8倍の発電が可能です。水資源が豊富な福島に適した発電方法だと言えます。発電適地を見つける苦労はありますが、今後も積極的に拠点を増やしていく予定です。特に弊社では、同期発電機の稼働をさせており、1,000kW以上の小水力にも対応が可能です。海外製の発電機を日本の川に合うように制御して運転することもでき、こうした知見や技術は私たちの強みとなっています。
晴れて天気がいいときは太陽光、風が強ければ風力、雨が降れば水力と、3つの再エネ発電が互いに補い合い、どんな天候でも安定して発電できるのが弊社の特徴です。今後もそれぞれをバランスよく展開させていきたいと考えており、東芝エネルギーシステムズさんには引き続きご支援をお願いしたいと思っています。

※同期発電機は、小水力発電で最もよく使われている誘導発電機とは回転構造が複雑なため運用が難しく高価だが、発電効率が良く、誘導発電機では対応できない数千kW以上の発電も可能。

会社紹介


会社名
信夫山福島電力株式会社

設立
2016年

代表者
代表取締役 渡辺和弘

本社所在地
福島県福島市松山町25番地

事業内容
太陽光・風力・水力を利用した自然エネルギー事業

URL
https://shinobuyama-power.co.jp/

この課題を解決したソリューション


FIPでもFITのように収益を安定化させたい(疑似FIT)

OCCTO(電力広域的運営推進機関)から交付されるプレミアムと合算して、FIT価格と同等になるように毎月の買取価格を設定し、FITと同様に収益の安定化を実現します。