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知的財産に関する取り組み

東芝グループのもつ知的財産(知財)を適切に管理し、活用していくことは、企業価値向上には欠かせないと考えています。
東芝グループでは、知財を戦略的に活用し、DE、DX、QXの実現とともに、社会課題解決の機会拡大と、企業価値の最大化をめざしています。

2023年度の主な成果

  • 「Clarivate Top 100 Global Innovators」に13年連続選出
  • 東芝グループの知的財産の魅力を伝えるウェブサイトを制作
  • 「東芝グループ特許大会2023」を開催し、特に優れた発明7件を表彰

知的財産に関する方針と戦略


知的財産権に関する方針


東芝グループでは、「知的財産権に関する法令を遵守すること」、「会社の知的活動の成果を知的財産権によって保護し、積極的に活用すること」、「第三者の知的財産権を尊重すること」を知的財産の基本方針として「東芝グループ行動基準」で定めています。

知的財産権に関する方針


1.東芝グループの基本方針

(1)特許法、著作権法その他知的財産権 注)に関する法令を遵守します。

(2)会社の知的活動の成果を知的財産権によって保護し、これを積極的に活用するとともに、第三者の正当な知的財産権を尊重します。
 

2.東芝グループ役員・従業員の行動基準

(1)事業競争力強化のため、知的財産権を積極的に獲得し、活用します。

(2)職務発明、職務考案、意匠の職務創作、プログラムその他の著作物の職務著作、半導体集積回路の回路配置に関する職務創作についての出願権または知的財産権は会社に帰属することを定めた諸規程を理解し、遵守します。

(3)知的財産権を適正に管理し、第三者による侵害に対して適切な措置を講じます。

(4)第三者の正当な知的財産権を尊重します。

注)  知的財産権:特許権、実用新案権、意匠権、商標権、著作権、回路配置利用権、営業秘密等をいいます。


知的財産に関する戦略


東芝グループでは、新たな価値を生み出す共創サイクルとして、「全体を俯瞰した知財戦略構想」、「知財アセットの最適化」、「知財のオープン/クローズ」を推進しています。 
「全体を俯瞰した知財戦略構想」は、DE、DX、QXへの変革とデータの利活用を考慮し、外部の環境変化、保有する特許、ノウハウなどの知的資産、経営戦略や事業戦略など、あらゆる視点から全体を俯瞰し、ビジネスデザインの上流から、知的財産をどのように活用して、お客様への提供価値につなげていくのかを構想します。
「知財アセットの最適化」は、構想した知財戦略の実行にあたり、知的財産権だけでなく、技術・ノウハウ、人材・技能、ブランドなどコアバリューとなる知的資産がどのように構成されているのかを的確に把握したうえで、不足する知的財産があれば取得し、ノウハウなどの機密情報は漏洩防止の管理(秘匿化)を行うなど、整備を行います。これにより、保有する知的財産のポートフォリオの質を高め、進化させていきます。
「知財のオープン/クローズ」は、ノウハウなど差異化技術の保護により、持続的な事業優位性を確保しつつ、最適化された知的財産を活用して協力いただける企業やお客様(パートナー)との共創により、東芝グループだけでは到底解決できない社会課題解決の機会を拡大させ、企業価値の最大化につなげていきます。

東芝グループの知的財産戦略


組織体制


知的財産室の戦略企画部門、知的財産法務部門、渉外部門は、経営戦略や事業戦略、外部の環境変化、知的資産など全体を俯瞰した知財戦略の立案や、法改正などの情報をいち早く収集して東芝グループを横断した知財方針の制定、特許情報などの分析に基づく情報提供や提言を行っています。また、「著作権法」や「不正競争防止法」を含めた知財関連のコンプライアンス対応や知財教育、事業優位性の確保やリスクを予測した契約・係争対応を行っています。
一方、研究所や事業部を専任する知財部門は、それぞれの開発・技術領域における知財戦略を構想し、最適な知的財産ポートフォリオの構築と活用に取り組んでいます。また、米国と中国には専任の知財担当を駐在させ、グローバルに知的財産戦略を推進しています。
知的資産への投資をはじめとする経営資源の配分や、事業ポートフォリオに関する戦略の実行に関しては、各執行役から取締役会に対してその取り組み状況を報告し、監督・助言を受けています。

知的財産に関する具体的な取り組み


全体を俯瞰した知財戦略の構想


知財部門は、事業の上流に入り込み、研究所・事業部とともに、自社の強みを活かしたお客様への提供価値を創造し続けていくことをめざしています。
具体的には、上流であるビジネスデザインの段階においては、知財部門は特許などの公開情報を収集・分析し、東芝グループの強みを活かせる領域の発掘、新しい価値をともに創造してくれる企業やお客様(パートナー)に関する情報提供やアライアンスの提案、ビジネススキームやリスク対策に関する提言などを行います。
また、知財部門は、上述のとおりDE、DX、QXへの変革とデータの利活用を考慮して、外部の環境変化、コアバリューとなる知的資産、経営戦略・事業戦略など、あらゆる視点から全体を俯瞰し、知的財産をどのように活用して、お客様への提供価値につなげていくのかを構想します。
製品・サービス化の段階においては、構想した知財戦略に基づき、東芝グループやパートナーによる事業の優位性確保のために必要な知的財産の取得、リスク軽減のためのクリアランス、パートナーとの協力関係を持続可能にする契約対応などを実施します。
これらにより、お客様には、製品やサービスの提供を通じて、新たな価値が提供され、社会課題解決の機会の拡大と企業価値の最大化につながることをめざしています。


知財アセットの最適化


構想した知財戦略に基づき、各事業の注力領域に応じた出願アイテムを選定して、最適な知財ポートフォリオを構築しています。特許出願は約6,500件/年行っており、グローバルな事業展開に応じて、特許出願のうち半数以上は、海外に出願しています。過去3年間の特許出願数は以下のとおりです。

特許出願数、内訳 (2021年4月~2024年3月)

特許庁は、2023年5月30日に、GXTI(Green Transformation Technologies Inventory)に基づく特許情報分析 (PDF形式)(4.87MB)の結果を公表しました。
当社はパテントファミリー件数(優先権主張年2010~2021年)において、8位(ファミリー件数:7,665件)であり、グリーン・トランスフォーメーション(GX)に関連する特許も多数出願しています。
保有特許は、約45,000件ありますが、毎年、すべての保有特許を対象に権利評価を行い、それぞれの事業領域に応じた最適なポートフォリオを構築しています。2024年3月現在の保有特許数は以下のとおりです。

保有特許数、内訳 (2024年3月現在)


知財のオープン/クローズ


東芝グループのコアとなる差異化技術については、事業の優位性確保のために、社内に秘匿化(クローズ)した状態で、商品やサービスの付加価値としてお客様に提供します。
また、東芝グループだけでは到底解決し得ない社会課題に対してともに取り組んでいただける企業やお客様(パートナー)に、共創に資する知的財産(共創知財)をオープンにすることで、技術イノベーションや、市場/コミュニティの拡大が促進され、新たな価値の創造、社会課題解決の機会の拡大、そして企業価値の最大化につなげています。


知的財産に関する教育


全従業員向け

国内の東芝グループの従業員には、毎年、東芝グループ行動基準の教育の一環として、知的財産に関する行動基準の再認識と、主に著作権関連の注意喚起を目的として、e-ラーニングによる教育を実施しています。2023年度の受講率は99.6%でした。
また、新入社員には、新入社員研修(CEP:Corporate Entry Program)に組み込まれた知的財産権に関する一般的な教育を実施し、その後、各事業部門の方針に沿った教育を階層別に展開しています。
中国、韓国、香港、台湾地域の現地法人では、ソフトウェアの適正利用などに関する著作権教育を実施し、米国の現地法人では、LMS(Learning Management System)を用いた知財教育などを行っており、海外の現地法人においても地域に適した教育を行っています。

知財担当向け

知財担当者には、基礎教育プログラムを設けており、国内外の知的財産権の知識習得、特許明細書作成、中間処理の実習及びOJTなどを通じて、2年間で実務対応ができるように教育を行っています。

人材育成イメージ図


弁理士資格取得支援・社内弁理士委員会


東芝グループでは、弁理士資格取得支援制度を設け、外部教育機関の講座費用の一部補助、弁理士試験受験費用の会社負担、試験直前の受験勉強時間の確保、社内弁理士からのサポートなどにより、資格取得を支援しています。
東芝グループには、24人の社内弁理士が在籍しており(2024年3月現在)、幅広く専門性の高い知識を活用して、さまざまな分野で活躍しています。また、社内弁理士委員会が組織されており、上記した基礎教育の講師や、法改正などにともなうグループ方針の検討など、東芝グループを横断した活躍の場が提供されています。


東芝グループ特許大会


東芝グループ特許大会では、知的財産に対する従業員の意識の高揚・啓発を目的として、優秀発明の表彰や社内向け「Webinar」の企画・配信を行っています。
優秀発明の表彰では、厳正な選考を行い、当社事業活動への技術貢献が顕著である特許、及び将来の事業創出の基本技術となり得る特許を表彰することにより、更なるイノベーションの創出につなげています。
2023年度は、事業に顕著な貢献をなした発明を称える「事業貢献賞」として5件、将来の事業貢献や社会への価値提供が期待される発明を称える「未来価値創造賞」として2件を表彰しました。

代表受賞者一同

また、社内向け「Webinar」は、最新のトピックスから基本的な知識まで、さまざまなテーマについて従業員が知的財産を事業に役立てられるよう、わかりやすく実用的な内容で構成されています。講師陣は、社内弁理士を含む東芝グループの知財担当です。2020年度からオンライン化され、通算28本のWebinarを動画配信してきました。2023年度は、1か月のWebinar開催期間中、のべ1,700回を超える動画閲覧がありました。


東芝ブランドの保護


東芝ブランドは、東芝グループの企業価値や東芝グループが提供する商品、役務などの価値を象徴するものです。東芝ブランドを確実に保護していくために、商標権の整備や模倣品排除を行っています。
東芝ブランドの模倣品を放置することは、東芝のブランド価値や社会的信用を脅かすだけでなく、お客様が純正品と誤認して模倣品を購入し、期待どおりの製品効能が得られないばかりか事故につながる可能性を生じさせます。そのため、模倣品排除に努めるとともに、国内外の模倣品対策団体とも連携し、現地の政府機関などに対し取締強化を積極的に働きかけています。

年度別模倣品事件対応件数推移

2023年度の模倣品事件 国・地域別内訳


「東芝知的財産の魅力」を紹介するウェブサイトを制作


東芝グループの知的財産に関する活動を広く知ってもらい、共創を進めていきたい。また、就活者の皆様におかれては、東芝知的財産部門の魅力を知ってもらい、ここで働きたいと思ってもらいたい。このような想いから、ウェブサイトを制作しました(2024年4月26日より一般公開)。

社外団体への参加と取り組み


WIPO GREENへの参画


東芝は、特許などの知的財産の活用を通じて世界の環境保全に貢献すべく、世界知的所有権機関(WIPO: World Intellectual Property Organization)が運営する、環境技術のグローバルな移転促進のためのプラットフォームWIPO GREENに、環境技術に関する特許権を登録しています。この取り組みを通じて、東芝の環境に関する技術や知的財産を世界へ展開し、気候変動をはじめとする環境に関する社会課題解決につなげることで、SDGsの達成に貢献できるよう、今後も活動していきます。


川崎さいわい少年少女発明クラブ


青少年の自由闊達な想像力を尊重し、科学技術に対する夢と情熱を育み、創造力豊かな人間形成を図ることを目的として、東芝の技術担当役員が会長、東芝未来科学館館長が副会長を務め、主に東芝グループの従業員(OBを含む)が指導員を担当し、クラブ活動を支えています。
クラブでは、東芝グループの技術や製品の基盤となる「科学の原理や仕組み」を体験・体感的に理解し、生活に役立つ発明の芽を育てる活動を行います。

知的財産に関する社外からの評価


Clarivate Top 100 Global Innovators 2024に選出


グローバル情報サービス会社クラリベイトが、特許データ分析により世界の革新的な企業・機関のトップ100を選出する「Clarivate Top 100 Global Innovators」に、13年連続で選出されました。