- 従業員の安全健康
従業員一人ひとりが輝き躍動するためには、心身の健康保持増進が基盤であり、そのためには安全で快適な職場環境づくりが欠かせません。東芝グループは、「生命・安全、コンプライアンス」を最優先に従業員の安全健康をサポートしています。
取り組むべきKPIと実績
業務上災害による死亡者数
2022年度実績 | 1 人(海外1) |
---|---|
2023年度目標 | ゼロ(発生なし) |
2023年度実績 | 3 人(海外1) |
2024年度目標 | ゼロ(発生なし) |
2022年度実績 | 1 人(海外1) |
---|---|
2023年度目標 | ゼロ(発生なし) |
2023年度実績 | 3 人(海外1) |
2024年度目標 | ゼロ(発生なし) |
業務上災害の強度率※1
2022年度実績 | 0.005 |
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2023年度目標 | 0.010※2以下 |
2023年度実績 | 0.103 |
2024年度目標 | 0.010※2以下 |
2022年度実績 | 0.005 |
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2023年度目標 | 0.010※2以下 |
2023年度実績 | 0.103 |
2024年度目標 | 0.010※2以下 |
従業員のメタボリックシンドローム
対象者率※1
2022年度実績 | 34.6 % |
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2023年度目標 | 2025年度末までに28.6%以下※3とし、それまでの各年度の目標は、前年度以下の値とする |
2023年度実績 | 34.6 % |
2024年度目標 |
2025年度末までに28.6%以下※3とし、それまでの各年度の目標は、前年度以下の値とする |
2022年度実績 | 34.6 % |
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2023年度目標 | 2025年度末までに28.6%以下※3とし、それまでの各年度の目標は、前年度以下の値とする |
2023年度実績 | 34.6 % |
2024年度目標 |
2025年度末までに28.6%以下※3とし、それまでの各年度の目標は、前年度以下の値とする |
- 国内東芝グループが対象
- 2020年電気機械器具製造業(1,000人以上規模)の平均値(厚生労働省公表値)を目標値とする
- 2019年全国平均値(厚生労働省公表値)を2020年度上期安全健康経営会議にて目標値として決定
2023年度の主な成果
- 健康管理に関する取り組みの結果、東芝及び国内グループ会社の7団体が大規模法人部門、4団体が中小規模法人部門において日本健康会議※から「健康経営優良法人2024」に認定。また、東芝ライテック(株)、東芝産業機器システム(株)は、大規模法人部門上位500法人として「ホワイト500」、東芝プレシジョン(株)は中小規模法人部門上位500法人として「ブライト500」としても認定。
- 経済産業省支援のもと、経済団体などの民間組織にて組織された会議体
安全健康基本方針及び安全健康経営宣言
安全健康基本方針
東芝グループは、安全健康への誓いを経営トップ自らが宣言し、従業員全員が共有することを目的として、2004年に「東芝グループ安全健康基本方針」を制定しました。その後2018年の東芝グループ理念体系の改定を機に見直しを実施した際は、新しい労働安全衛生マネジメントシステム規格であるISO45001の要求事項をふまえ、方針4.に掲げるように請負業者も含む事業にかかわる多様な立場の、働く人びとへの配慮を明記しています。
「東芝グループ安全健康基本方針」
東芝グループは、人間尊重を旨とする「東芝グループ経営理念」に基づき、サステナビリティ経営推進企業として世界各国の文化や慣習を尊重しながら、持続可能な社会の実現に貢献する事業活動を展開していきます。
そのために、全ての事業活動において生命・安全・コンプライアンスを最優先しグループをあげて「安全で快適な職場環境づくりと心身の健康保持増進」を推進します。
- 安全健康を経営の最重要課題の一つに位置づけ、「安全健康管理活動の継続的な改善」により「業務に起因する負傷および疾病の予防」に努めます。
- 労働安全衛生法規等およびグループ各社が履行することを決めた指針および自主基準等を遵守します。
- 次の事項について目的・目標を定め、実行します。
(1) 労働災害や職業性疾病の撲滅ならびにこれらを誘発する危険源の除去およびリスクの低減
(2) 全従業員が個々の能力を十分発揮するための心身の健康保持増進 - グループの事業にかかわる多様な立場の働く人々およびその代表と安全健康への取組みを適切に協議し、参加を支援します。
- 各種の安全健康コミュニケーションを通じ、社会の安全健康管理水準の向上に貢献します。
安全健康経営宣言
東芝グループが社会課題を解決し、社会の更なる発展に貢献していくためには、働く環境の拡充や業務改革などの働き方改革を進め、従業員の働きがいの向上につなげることが重要です。働き方改革を着実に推進するためには、従業員一人ひとりが安全かつ健康でいきいきと働き、充実した生活を送ることが不可欠であり、従業員の活力向上に資する安全健康活動が必要となります。
東芝グループでは、経営トップから各従業員まで浸透を図るこの活動を「安全健康経営」と定め、2018年12月の東芝グループCSR大会において、立ちあげを宣言しました。最高安全健康責任者(CHSO:Chief Health & Safety Officer)を人事・総務部担当役員と定め、安全健康経営における、経営層、管理職、安全健康スタフそして従業員の果たすべき役割を明記した安全健康経営宣言を制定し、CHSO名で発信しています。また、この安全健康経営の浸透を図るため、経営トップを含めて安全健康管理について討議することを目的に2019年度からCHSOを議長とする「安全健康経営会議」を半期に1度開催していましたが、2023年度下期からはその頻度を上げ、事業を担当する執行役員も出席対象とするため、毎週開催しているエグゼクティブミーティング※の場でタイムリーな議論を行う体制としています。
- 社長をはじめとする執行役員が、全社の情報共有、意見交換、方針決定を行う会議。
「東芝グループ安全健康経営宣言」
東芝グループは、豊かな価値を創造し、世界の人々の生活・文化に貢献し続けるため、その最大の財産である従業員の安全と健康を経営の最重要課題に位置づけ、「安全健康経営」を推進します。
この実現のため、「東芝グループ安全健康基本方針」に基づき、各階層が以下の責務を確実に果たすことのできる体制を整備し、安全健康に係る定期監視指標を定め、労働安全衛生マネジメントシステムの構築・運用の中で継続的改善を目指します。
1.経営層(各部門のリーダー)は、「安全健康経営」を率先垂範します
- 安全健康の各種指標を経営の最重要指標のひとつと捉え、その改善の重要性を発信します
- 自社の安全健康上の課題・リスクに見合った経営資源(ヒト・モノ・カネ)を投入します
2.管理職は、部下の安全と健康を確実に配慮します
- 日々の労務管理の中で部下の安全健康に気を配り、課題があれば適時適切に対処します
- 社内規則に従い、部下の安全健康を担保する機会・時間を適切に確保します
- コミュニケーションの良い、活気溢れる職場づくりに努めます
3.安全健康スタフは、事業場の安全健康文化の醸成に努めます
- 日々事業場の安全健康上の課題を分析し、予防安全、疾病の一次予防に注力します
- 自らの専門性を高め、ライン・部門に対し適切な支援・助言・指導を行います
- 継続的な安全健康管理を担保するため、協力者を含む安全健康人材の育成に努めます
4.従業員は、自律的かつ相互間の安全と健康の確保に努めます
従業員の皆さんに次の事項をお願いします
- 関係諸機関が提供する各種の制度・機会を活用し、自身の安全確保、健康保持増進に努める
- 自身と家族の安全と健康は東芝グループにとってのかけがえのない財産と心得、日頃から安全第一の行動、健康第一の生活習慣を心がける
- 自身で解決困難なことは、「上司や同僚」、「安全健康スタフ」、「各種外部相談窓口」等に相談する
- 周囲の人々の様子と環境についても気を配り、相互に助け合いながら、安全と健康を確保できる職場づくりに努める
【参考】「安全健康」という表現について
「労働安全衛生」を表す略語の「OHS」の「H」は「Health」であり、直訳すれば「健康」となります。東芝グループでは、従来の「衛生(hygiene、sanitationの印象)」よりも一歩踏み込んで、心身の健康づくりの意味も含めた前向きな受け止め方を表現しつつ、「衛生」よりも「健康」とする方が従業員にも理解しやすくなじみやすいという趣旨から「安全健康」としています。
安全健康推進体制
ライン管理
東芝グループの安全健康管理活動は経営トップから従業員までの職制によるライン管理体制のもと、グループ統括部門であるコーポレートから主要事業部・グループ会社を通じて施策を落とし込み、事業場(又はグループ会社)単位で具体的な安全健康管理活動を展開しています。
国内東芝グループ安全健康推進体制
国内の各事業場(グループ会社)では、専門スタフの選任、安全衛生委員会の開催などの法定事項の履行に加え、自主的な専門委員会、職場委員会を立ちあげるなど、作業内容や、工程のリスクに応じたプラスアルファの積極的な取り組みを実践しています。
国内東芝グループの事業場の安全健康管理体制
各階層における参加、協議、コミュニケーション
国内東芝グループでは、以下のとおり、各種のコミュニケーション機会を設定しています。
安全健康管理にかかる参加、協議、コミュニケーション
階層 | 対象 | 機会 | コミュニケーション機能 |
---|---|---|---|
コーポレート | 2023年度上期まで 2023年度下期から |
⇒ エグゼクティブミーティング |
東芝グループ安全健康経営施策の審議、協議 |
労働組合本部 (従業員総代表) |
中央安全衛生委員会 安全衛生報告会 |
東芝グループ安全健康施策についての協議、情報共有 | |
グループ会社 安全健康担当責任者 |
安全健康担当責任者会議 (年1回) |
||
グループ会社 | 従業員代表 | 各社安全衛生委員会など (会社による) |
必要に応じ会社個別に実施 |
事業場 | 事業場労働組合幹部 (従業員代表) |
(法定)安全衛生委員会 (月1回) |
事業場安全健康施策の審議、協議 |
協力業者など | 安全衛生連絡会など (事業場による) |
事業場内の安全衛生関連事項の協議、情報共有 | |
建設現場 (元方事業者の場合) |
関係請負業者 | (法定)安全衛生協議会 (月1回) |
工程での災害防止に関する事項を協議 |
階層 | 対象 | 機会 | コミュニケーション機能 |
---|---|---|---|
コーポレート | 2023年度上期まで 2023年度下期から |
⇒ エグゼクティブミーティング |
東芝グループ安全健康経営施策の審議、協議 |
労働組合本部 (従業員総代表) |
中央安全衛生委員会 安全衛生報告会 |
東芝グループ安全健康施策についての協議、情報共有 | |
グループ会社 安全健康担当責任者 |
安全健康担当責任者会議 (年1回) |
||
グループ会社 | 従業員代表 | 各社安全衛生委員会など (会社による) |
必要に応じ会社個別に実施 |
事業場 | 事業場労働組合幹部 (従業員代表) |
(法定)安全衛生委員会 (月1回) |
事業場安全健康施策の審議、協議 |
協力業者など | 安全衛生連絡会など (事業場による) |
事業場内の安全衛生関連事項の協議、情報共有 | |
建設現場 (元方事業者の場合) |
関係請負業者 | (法定)安全衛生協議会 (月1回) |
工程での災害防止に関する事項を協議 |
東芝では、エグゼクティブミーティングの場で安全健康経営についての経営トップとのコミュニケーション機会を確保しています。この会議では、社長、CHSOをはじめとするコーポレートスタフ担当執行役員、事業担当執行役員が出席し、東芝グループの安全健康に関する概況及び施策推進状況の確認と次年度推進目標・施策についての審議や方針決定を行っています。また、CHSOは取締役会において安全健康リスクの管理について執行状況の監督を受けるとともに監査委員会へ業務執行状況報告を行い内部統制の有効性を担保しています。
また、労働組合本部とは「安全衛生報告会(上期)」、「中央安全衛生委員会(下期)」(いずれも法定外)を開催し、密なコミュニケーションを図り、東芝グループ安全健康施策が従業員の視点をふまえた活動となるよう努めています。2024年1月の中央安全衛生委員会では、2024年度の東芝グループ安全健康推進目標とともに、労働安全衛生マネジメントシステム(以下、「OHSMS」)の更なる改善を労働組合本部と共有しました。
国内東芝グループの横断的取り組みとしては、グループ各社・各事業場の安全健康担当責任者が参加して年に1回、「東芝グループ安全健康担当責任者会議」を開催し、グループ全体の労働災害発生状況や推進目標のほか重点課題への取り組みや各拠点の活動状況などを報告しています。
更に、事業場においては、安全健康施策に対する従業員の参加、協議、コミュニケーションの機会として月1回の安全衛生委員会(法定)などが開催され、事業場の安全健康基本方針や年度目標・推進計画など、労働安全衛生マネジメントシステムに関する諸施策が審議・決定されています。安全衛生委員会などはその重要性を鑑み、定期開催を継続しています。また、事業場における構内常駐協力業者、東芝グループ会社が元請の建設現場における関係下請業者など、グループの事業にかかわる業務に従事する方々についても、安全衛生協力会や安全衛生協議会などの機会確保を通じ、グループとして適切なコミュニケーションに努めています。
海外東芝グループでは、現地法人の所在国における法律やOHSMSの要求に沿った適切な体制を現地法人ごとに構築しています。
【参考】 先達のDNAを引き継ぐ東芝の安全健康活動
東芝の安全健康活動の歴史は、東芝の前身である東京電気の時代にさかのぼります。
1914年(大正3年)、当時の庶務課長であった蒲生俊文が、悲惨な感電事故の現場を目撃したことをきっかけに生涯を安全運動に捧げ、1917年(大正6年)に内田嘉吉らとともに安全第一協会を設立するなど、日本の安全運動の中心的存在となって活躍しました。安全旗などに用いられる緑十字は、蒲生俊文が考案し、全国安全週間のシンボルマークとして採用されたのがはじまりといわれています。
東芝グループは、このDNAを受け継ぎ、従業員の安全と健康に注力し続けています。
蒲生俊文
労働安全衛生マネジメントシステムの推進
東芝グループでは、死亡災害又は一度に複数名の休業以上程度の災害を重大災害と定義し、この撲滅に努めています。東芝グループには多数の業種の会社が存在しますが、これらのなかで過去の事例から重大災害の発生リスクが相対的に高く、第三者審査をともなう国際的なOHSMS規格を導入すべきターゲット業種を定め、その業種の製造会社について2007年度からOHSAS18001規格導入と社外認証取得を進めました。2020年度には適用規格をISO45001※1へ移行し、国内ではほぼすべての東芝グループ製造会社と一部の非製造会社35社(2023年度実績。国内全人員に占める取得会社の人員数の割合は76%)、海外ではテックグループを除いて29社(調査対象会社の全人員に占める取得会社の人員数の割合は83%)が認証を取得しています。このOHSMSに基づき、リスクアセスメント(以下、「RA」)による安全健康リスクの評価と管理及び法令などの遵守管理※2を継続的に行い、「見える安全管理」を進めています。
また、ISO45001取得対象以外のグループ会社も、業界の定めるガイドラインに則ったOHSMS、又は安全健康基本方針や推進計画に基づく簡易なPDCAサイクルを運用しており、コーポレートではこれらの活動のプロセス評価を定期的に実施することにより、OHSMSの底上げとレベルアップを図っています。
- ISO(国際標準化機構)が2018年に定めたOHSMSの国際規格
- ISO45001で遵守管理している主な規制類で、具体的には以下
・労働安全衛生法
・労働安全衛生規則ほか関係規則の規制
有機溶剤中毒予防/特定化学物質障害予防/電離放射線障害予防/酸素欠乏症防止/鉛中毒予防/石綿障害予防/事務所衛生基準/ボイラー及び圧力容器安全/クレーンなど安全/ゴンドラ安全 など
・その他の法令の関連規制
じん肺法/作業環境測定法/健康増進法/ビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)/毒物及び劇物取締法/高圧ガス保安法/消防法/道路交通法 など
国内東芝グループ各社の運用するOHSMSの主な適用範囲は、労働安全衛生法に基づく使用者(会社)と従業員(各種従業員、派遣(受入)社員など)が基本です。しかし、その他の協力業者など(構内常駐協力業者、下請業者など当社グループの事業にかかわる業務に従事する方々)についても、直面する可能性のあるリスクを事前に特定・評価し、入構時教育などで伝達するとともに、安全衛生協力会や連絡・調整の機会、緊急事態訓練の共同実施など施策を共有することで、各種安全健康活動への協力と参画を依頼しています。
ISO45001登録証
安全と健康に関するリスク評価と管理
安全健康にかかわる危険源の特定、リスク評価など
国内東芝グループでは、国の定める「危険性又は有害性等の調査等に関する指針」に基づき、2種類(労働安全衛生一般/化学物質)のRAを実施し、OHSMS運用のなかで危険源を特定※1して、リスク評価及び管理策※2の策定につなげています。このRAでは当社グループ従業員が、自身だけではなく、その他の協力業者や来客などが遭遇する危険源についても特定に努めています。
RAの有効性を担保するため、安全担当スタフやリスク評価者向けのRA教育によりその力量を確保するとともに、リスク保有部門による年1回の定期見直しや内部監査を通じ、RA結果の妥当性を確認しています。
また、RAなどで特定した緊急事態に対しては、発生時の対応手順を定め、必要により協力業者も含めた対応訓練を定期的に実施し、有事の際のスムーズな避難などに備えています。
海外東芝グループにおいても、OHSMSの認証を取得している法人を中心に、規格の要求事項に応じたRA及び抽出したリスクへの対策を行っています。
労働災害が発生した場合には、当該災害の危険源や発生原因を特定のうえ、災害発生前と想定施策実施後のリスクをRAで評価し、確実な是正につなげています。
- 危険源の特定手段としてRAのほか、作業前の危険予知、ヒヤリハット報告、職場巡視(経営トップ、産業医、衛生管理者など)を実施しRAを補完
- 評価したリスクへの管理策は、①危険源の除去、②危険源に代わる代替物の採用、③工学的対策、などを検討のうえ、諸条件を総合的に判断しこれらが適用できない場合に、④作業手順書への反映、教育による力量確保などの管理的手法、⑤保護具の着用、などを選択
災害対策
東芝グループでは、従業員の生命・身体の安全確保を最優先とし、会社の社会的信用、財産、設備を守るとともに、お客様や株主様などのステークホルダーに対する企業の社会的責任を全うするという方針のもと、国内で発生する大規模地震や風水害をはじめとした各種自然災害などへの対策の基本的な考え方を「東芝グループ災害対策・BCP基本要綱」として定めています。
この要綱では平時における東芝のスタフ部門、東芝グループ各社及び各事業場での災害対策に関する実施方針・施策の立案並びにBCPの策定などの役割などを規定しており、各社・各組織は役割に従って災害への備えに努めています。また、災害時については、東芝の社長を本部長とする「東芝グループ災害対策統括本部」を設置し、東芝グループ各社・各事業場に設置する災害対策本部と連携しながら、救援・復旧活動の調整・指揮・支援を実施する体制が定められています。
なお、来るべき災害に備えて、各種規程類の整備や従業員を対象とした教育・訓練、災害時に必要になる備蓄品や機器の配備などの施策にも取り組んでいます。
【取り組み事例】
防災体制の整備
- 全社防災体制の維持(各種規程類、ガイドラインの整備など)
- 各社・各拠点における消防計画及び防火防災管理規程の整備・体制構築
教育・訓練の実施
- 従業員を対象とした防火・防災教育の実施、防災意識啓発用ガイドブックの発行
- 各種訓練の実施(避難訓練、安否確認、災害対策本部運営訓練など)
災害対策物資の配備
- 各拠点における災害用備蓄品の確保
- 各社・各事業場災害対策本部間及び災害対策統括本部内の非常用通信インフラの整備
(衛星携帯電話及び災害時優先携帯電話の配備など)
その他のクライシスリスクへの対応
東芝グループでは、日本以外の国・地域において、グループの関係者、関係施設の被害及び関係者、関係施設が第三者に及ぼす被害を事前に予防、回避し、万一被害が発生した場合は、その被害を最小限にとどめることを目的とし、海外安全業務の基本方針を定め、運用しています。
また、新規プロジェクトの推進にあたっては、必要に応じて、現地法令、周辺環境、インフラ、設備、使用物質などのリスクを事前確認(RAなど)しています。
すべての事業活動において生命・安全・コンプライアンスを最優先
東芝グループでは、安全衛生に関する項目(国内においては、労働協約や就業規則など)を定め、従業員の基本的行動として、生命を脅かすようなリスクに直面した際、まずは上長(又は総務部門)へ報告し、その指示に従うことが求められています。しかし、従業員は時間的に報告が困難な場合にまずは自らの身を守るための退避を優先することが認められ、この退避を理由に不当な取り扱いを受けることはありません。
「労働安全衛生マネジメントシステムの推進」の予算化について
上記の活動を継続的に実施するため、下表の事項について適宜予算化しています。
コーポレート | グループ各社・事業場 | |
---|---|---|
ISO45001認証維持 | コーポレートが主導する統合認証における審査登録機関に対する審査費用など | 自社・事業場が認証を受けている場合、審査登録機関に対する審査費用、内部監査員養成費用など |
安全と健康に関するリスク評価と管理 | 災害データベース、RA登録など各種ワークフロー(以下、「WF」)の維持費など |
リスク低減するための管理策実施(設備改善、代替物購入、保護具整備などの)費用、各種WFの利用料など |
災害対策・その他クライシスリスクへの対応 | 防災体制整備のための資格取得費、災害用備蓄品の確保、非常用通信インフラの整備費など |
コーポレート | グループ各社・事業場 | |
---|---|---|
ISO45001認証維持 | コーポレートが主導する統合認証における審査登録機関に対する審査費用など | 自社・事業場が認証を受けている場合、審査登録機関に対する審査費用、内部監査員養成費用など |
安全と健康に関するリスク評価と管理 | 災害データベース、RA登録など各種ワークフロー(以下、「WF」)の維持費など |
リスク低減するための管理策実施(設備改善、代替物購入、保護具整備などの)費用、各種WFの利用料など |
災害対策・その他クライシスリスクへの対応 | 防災体制整備のための資格取得費、災害用備蓄品の確保、非常用通信インフラの整備費など |
安全健康に関する意識啓発・教育
トップメッセージ
東芝グループでは、毎年、全国安全週間(7月)や全国労働衛生週間(10月)などの機会に、経営トップが、安全健康への決意を込めたメッセージを従業員に発信しています。2020年度からは社長に加え、CHSOからもメッセージを届けています。
これらグループ全体に向けたメッセージに加え、海外も含めた各グループ会社・事業場においても、それぞれのトップが従業員にメッセージを発信するほか、独自の取り組みを展開しています。
東芝グループ安全健康大会
1975年度の第1回以来、毎年、国内東芝グループの経営トップ、労働組合代表と安全健康担当者を主な出席者として「東芝グループ安全健康大会」を開催してきました。優れた安全健康活動を推進し、他の模範となる事業場や小集団、個人に対して社長表彰や表彰事例の発表などを通じて、情報共有による安全健康活動の底上げと意識高揚を図っています。2008年度の「東芝グループCSR大会」との統合(2023年度から単独開催を再開)を契機に、海外グループ会社の優れた活動に対する表彰も行うようになりました。安全健康表彰は、グループの安全管理、労働衛生3管理※活動の改善を促進し、従業員の安全健康活動への参画意識を高めることを目的に、「安全健康表彰規程」を定め、「安全健康推進賞」、「安全健康改善賞」、「安全健康標語」を設けています。
2023年度は安全健康推進賞1グループ、安全健康改善賞2グループが表彰を受けました。安全健康標語は2023年度から募集要項を変更し、グループの安全健康重点推進目標によりフィットした標語となるよう、また選出された標語をポスターにするタイミングの改善を図りました。受賞した安全健康標語は当該年度の安全健康ポスターデジタルサイネージとして国内東芝グループ事業場で掲示されています。
- 環境汚染を防ぎ、有害要因へのばく露や作業負荷を軽減する作業方法を定め、それが適切に実施されるようにする「作業管理」、法定の作業環境測定や化学物質RAなどを通じ、作業環境中の有害因子の状態を把握・評価し、極力良好な状態に保つ「作業環境管理」、従業員一人ひとりの健康状態を健康診断で確認し、異常の早期発見、増悪防止、更には、元の健康状態に回復するための医学・労務管理的な措置をする「健康管理」の3種の衛生管理を指します。
2023年度安全健康表彰受賞例と2024年度安全健康標語
◆2023年度安全健康推進賞
- 全社一丸となって取り組む いきいきとした職場づくり
◆2023年度安全健康改善賞
- 変圧器組立作業時のリスク低減による安全性の向上
- 重量物運搬作業におけるリスク低減
◆2024年度安全/健康標語ポスター
安全衛生教育・訓練
国内東芝グループでは、コーポレートとして、また事業場の各階層において各種の安全衛生教育を実施しています。
コーポレートとしては、新任や中堅クラスの安全衛生業務従事者や産業保健専門職向けに定期的な全社教育を実施し、安全健康スタフとしてのスキル向上とともに、国内東芝グループ全従業員に対し健康e-ラーニングを実施しヘルスリテラシーの向上に努めています。
事業場では労働安全衛生法に基づく各種法定教育のほか、各事業場の業態や課題に合わせた独自の教育・講習、OHSMSにかかる要員教育などを実施し、労働安全衛生にかかわる従業員の力量確保に努めています。
海外東芝グループでは、各国の実情に合わせ、OHSMSで要求される力量確保を行っています。
東芝(人事・総務部主催)での教育実績(2023年度)
教育名 | 対象 | 時期 | 受講者数 |
---|---|---|---|
安全健康担当者研修 | 国内東芝グループの安全健康業務担当者 | 2023年4月 | 212人 |
新任安全健康担当者教育 | 過去1年で国内東芝グループの安全健康担当に着任した者 | オンデマンド方式に変更し、着任後1か月以内に実施 | オンデマンド方式により、適切な時期に実施し、実施部門にて把握 |
新任産業保健専門職導入教育 | 国内東芝グループに入社した産業医・保健師 | 入社時及び3か月後 | 11人 |
産業医会議(教育を含む) | 国内東芝グループ会社・事業場の産業医 | 2023年8月 2024年3月 |
57人 55人 |
産業看護専門職教育 | 国内東芝グループ会社・事業場の保健師 | 2023年3月 | 75人 |
いきいきした働き方に関する教育 (健康教育を含む) |
国内東芝グループ従業員 | 2023年8月 | 受講者数 62,484人 (受講率98.4%) |
教育名 | 対象 | 時期 | 受講者数 |
---|---|---|---|
安全健康担当者研修 | 国内東芝グループの安全健康業務担当者 | 2023年4月 | 212人 |
新任安全健康担当者教育 | 過去1年で国内東芝グループの安全健康担当に着任した者 | オンデマンド方式に変更し、着任後1か月以内に実施 | オンデマンド方式により、適切な時期に実施し、実施部門にて把握 |
新任産業保健専門職導入教育 | 国内東芝グループに入社した産業医・保健師 | 入社時及び3か月後 | 11人 |
産業医会議(教育を含む) | 国内東芝グループ会社・事業場の産業医 | 2023年8月 2024年3月 |
57人 55人 |
産業看護専門職教育 | 国内東芝グループ会社・事業場の保健師 | 2023年3月 | 75人 |
いきいきした働き方に関する教育 (健康教育を含む) |
国内東芝グループ従業員 | 2023年8月 | 受講者数 62,484人 (受講率98.4%) |
事業場での代表的な教育・訓練
分類 | 教育種類 | 対象者 | 教育担当 |
---|---|---|---|
法定教育 | 雇入れ時/作業内容変更時教育 | 新入社員/従事する業務内容が変更となった者 | 事業場安全健康スタフ又は受入職場 |
安全管理者選任時研修 | 安全管理者新規選任者 | 社内の有資格者又は外部講師 | |
職長教育 | 作業長昇格者など | ||
各種特別教育、各種免許講習、技能訓練など | 該当作業従事者又は該当作業主任者 | ||
各種能力向上教育 | 資格取得後5年経過者 | ||
独自教育・訓練 | 年齢別健康教育 | 30、40、50歳到達者 | 事業場安全健康スタフ |
昇格時安全健康教育 (メンタルヘルスなど) |
役職層への昇格者 | ||
OHSMS リスクアセッサー教育 |
各職場のリスク評価者 | ||
OHSMS 内部監査員教育 |
各事業場内部監査員任命者 | 外部講師 | |
特定業務従事者教育 | サイト管理対象リスクに該当する業務の従事者 | 該当職場 | |
職場緊急事態対応訓練 | 職場特有の緊急事態 | ||
事業場大規模災害想定訓練 | 従業員・構内常駐業者など | 事業場総務部 |
分類 | 教育種類 | 対象者 | 教育担当 |
---|---|---|---|
法定教育 | 雇入れ時/作業内容変更時教育 | 新入社員/従事する業務内容が変更となった者 | 事業場安全健康スタフ又は受入職場 |
安全管理者選任時研修 | 安全管理者新規選任者 | 社内の有資格者又は外部講師 | |
職長教育 | 作業長昇格者など | ||
各種特別教育、各種免許講習、技能訓練など | 該当作業従事者又は該当作業主任者 | ||
各種能力向上教育 | 資格取得後5年経過者 | ||
独自教育・訓練 | 年齢別健康教育 | 30、40、50歳到達者 | 事業場安全健康スタフ |
昇格時安全健康教育 (メンタルヘルスなど) |
役職層への昇格者 | ||
OHSMS リスクアセッサー教育 |
各職場のリスク評価者 | ||
OHSMS 内部監査員教育 |
各事業場内部監査員任命者 | 外部講師 | |
特定業務従事者教育 | サイト管理対象リスクに該当する業務の従事者 | 該当職場 | |
職場緊急事態対応訓練 | 職場特有の緊急事態 | ||
事業場大規模災害想定訓練 | 従業員・構内常駐業者など | 事業場総務部 |
「安全健康に関する意識啓発・教育」の予算化について
上記の活動を継続的に実施するため、下表の事項について適宜予算化しています。
コーポレート | グループ各社・事業場 | |
---|---|---|
トップメッセージ | メッセージ翻訳代、配信費用など | 配信費用など |
東芝グループ安全健康大会 | 会場費用、表彰関係一式、外部講師費用、ポスター作製費用など | グループ内審査実費、同表彰関係一式、ポスター購入費用など |
安全衛生教育・訓練 | 会場費用、コンテンツ作成費用、講師費用など | (外部教育参加の場合)教育参加費用、講師費用など 会場費用、コンテンツ作成費用、訓練に必要な備品費用など |
コーポレート | グループ各社・事業場 | |
---|---|---|
トップメッセージ | メッセージ翻訳代、配信費用など | 配信費用など |
東芝グループ安全健康大会 | 会場費用、表彰関係一式、外部講師費用、ポスター作製費用など | グループ内審査実費、同表彰関係一式、ポスター購入費用など |
安全衛生教育・訓練 | 会場費用、コンテンツ作成費用、講師費用など | (外部教育参加の場合)教育参加費用、講師費用など 会場費用、コンテンツ作成費用、訓練に必要な備品費用など |
労働災害の発生状況
2023年度の国内東芝グループにおける休業度数率は前年度と比較し、約1.3倍に増加したものの、これは全国製造業平均を大きく下回る水準にあります。災害発生件数は計103件(死亡2件、休業33件、不休68件)で前年度の約1.1倍に増加しています。過去3年間で東芝グループ従業員の死亡事故は、国内では2021年度に1件、2023年度に2件、海外では2022年度、2023年度に各1件発生しています。なお、2023年度のテックグループを除く海外東芝グループにおける死亡を除く休業以上の災害発生件数は、49件です。
災害の型別では、「転倒」、「動作の反動、無理な動作」、「はさまれ、巻き込まれ」、「切れ、こすれ」、「墜落、転落」、「激突され」が上位を占め、特に転倒災害は全災害の約37%に相当し、歩行中の転倒や階段からの転落など日常行動災害が大部分を占めています。何気ない日常行動から災害が発生していることをふまえ、2020年度以降の全社e-ラーニングでは従来の健康管理に加え、転倒災害防止の要素も組み込みグループ従業員全員への注意喚起を促しています。また、死亡などの重大災害が発生した場合は、これらの発生状況、原因、対応をグループ内で情報共有し、類似の設備・状況下での事故の再発防止の徹底に努めています。労働災害防止活動は、東芝のスタフ部門が東芝グループ安全健康推進目標を定め、それに基づいて国内東芝グループ各社及び事業場が自らの固有課題も考慮しながら推進目標及び推進計画を策定し、労働災害防止に向けた活動を進めています。
国内東芝グループ会社における休業度数率※1
- 休業度数率:100万時間当たりの休業1日以上の業務上災害件数
- パート、アルバイト、有期、派遣労働者の被災件数も含む
業務上災害発生状況(国内東芝グループ)
- 千人率(全災害):従業員1,000人当たりの業務上災害件数
- パート、アルバイト、有期、派遣労働者の被災件数も含む
2023年度 業務上災害の型別災害発生状況(国内東芝グループ)
- パート、アルバイト、有期、派遣労働者の被災件数も含む
ここ数年、死亡災害が継続して発生していることを真摯に受け止め、改めて重大災害ゼロ化をめざし、重篤な傷病につながるおそれのある危険有害リスクの低減を最優先課題として、リスクアセスメントによりリスクを把握し、その除去・低減や適切な管理に向けた作業方法の見直し、設備改修、従業員への安全原則教育訓練の徹底や危険体感訓練の実施、職場外からの安全パトロールの強化などを計画的に進めています。
健康の維持・向上への施策
国内東芝グループでは、東芝グループ健康管理基準で生活習慣病、メンタルヘルス、そして基礎としての過重労働防止を最重点対策の対象として定め、すべての従業員が健康への意識を高めて心身の健康を維持できるよう、ハイリスクアプローチ※1とポピュレーションアプローチ※2の両面からさまざまな取り組みを展開しています。
海外東芝グループでは、各国の実情に合わせ従業員の健康の保持増進に向けて取り組んでいます。
- 疾患を発生しやすい高いリスクをもった人を対象に絞り込んで対処していく方法
- 対象を絞り込まず、集団全体へアプローチをし、全体としてリスクを下げていく方法
東芝グループ 健康管理の主要施策
メンタルヘルス対策 |
生活習慣病対策 | その他 | |
---|---|---|---|
ハイリスクアプローチ |
|
|
|
ポピュレーションアプローチ |
|
|
|
遵法対応・過重労働防止対策 |
メンタルヘルス対策 |
生活習慣病対策 | その他 | |
---|---|---|---|
ハイリスクアプローチ |
|
|
|
ポピュレーションアプローチ |
|
|
|
遵法対応・過重労働防止対策 |
健康管理のための体制
国内東芝グループでは、2019年度から安全健康経営会議(2023年度下期からエグゼクティブミーティングへ継承)を定期開催し、東芝グループの健康課題や定期監視指標(以下、「KPI」Key Performance Indicatorの略)を共有のうえ、出席者である各事業部門及び主要会社トップからガバナンスラインを通じた改善施策の落とし込みを依頼しています。
また、東芝健康保険組合とは、2019年度から「コラボヘルス連絡会」を発足・開催し、国内東芝グループの健康施策の有機的プロモーションの在り方を検討するとともに、2021年度にはグループ各社と「健康の保持増進施策のコラボヘルス推進にかかる覚書」を締結し、双方のもつ従業員健康情報の有効な活用に向けた体制を整備しました。これらコラボヘルスにより安全健康経営の推進を加速させ、会社目標である「企業価値向上」と「従業員のいきいき人生」に加え、「さまざまなライフステージでの健康」も実現させ、医療費適正化などの東芝健康保険組合の社会的な使命や目標を達成することへの貢献をめざしていきます。
国内東芝グループの健康管理体制(健康保険組合の役割も含む)
健康管理システムの刷新
国内東芝グループでは、2023年度より健康管理システムにSaaS※1を採用するとともに 、健康管理にかかわる各種の手続き※2をWF化し、国内のどこの拠点でも同一の手法を用いて同じ水準で健康管理業務を遂行することのできる体制を整備しました。
この際、旧システムでは当社独自設定していた問診項目を特定健康診査などで広く採用されているものに置き換え、KPIの評価にあたり、従来よりも全国値と比較しやすく改善しています。また、これにともない、KPIのプロセス指標の一部について算出方法や目標値の変更、項目自体の追加を実施しています(詳細次項)。
また、先に触れた「健康の保持増進施策のコラボヘルス推進にかかる覚書」の締結により、新システムには東芝健康保険組合が実施するがん・生活習慣病検診の結果も連動可能となり、より効果的な「健診結果事後フォロー」、「高リスク保有者に対する医療機関への受診勧奨」 が可能となりました。
- SaaS:「Software as a Service」の略で「サービスとしてのソフトウェア」の意味
- 就業区分判定閲覧、健康管理面談確認、産業医措置意見書回付、ストレスチェック集団分析結果公開、海外赴任者健康管理、海外赴任時・帰任時健康診断など
東芝グループ定期監視指標(KPI)
2020年度安全健康経営会議では、健康管理のKPIを下表のとおりに定めました。2019年度の国内東芝グループの実績をスタート値として、既に全国値に達している項目は更なる改善をめざすとともに、未達の項目については目標に設定している全国値レベルへ改善することをめざし、プロセス指標である生活習慣の改善を中心にさまざまなアプローチを実施していきます。
健康KPI項目 |
国内東芝グループ |
目標値※1 (全国値) |
対目標値 〇 達成 × 未達 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 2023年度 | |||||
ア ウ ト カ ム 指 標 |
脳心臓疾患のハイリスク
|
要配慮以上の高血圧 | 3.1% | 3.3% | 7.2% |
〇
|
要配慮以上の高血糖 | 2.1% | 2.4% | 2.5% | 〇 | ||
メタボ該当者 | 全年齢の該当者 | 15.1% | 18.6% | 14.5% | × | |
40歳以上の該当者 | 17.5% | 21.3% | 13.0% | × | ||
メタボ予備群 | 全年齢の予備群 | 16.5% | 16.0% | 14.1% | × | |
40歳以上の予備群 | 17.8% | 16.9% | 12.3% | × | ||
プ ロ セ ス 指 標 |
喫煙:喫煙あり | 26.2% | 23.5% | 21.5% | × | |
運動:全国平均以下の歩数(相当) (6,000歩以下/日)★ |
◇ | 63.2% | 50%※2 ★ | × | ||
運動:運動習慣のない者の割合☆ | - | 76.4% | 71.3%☆ | × | ||
食事:朝食を食べない者の割合 | 28.7% | 33.0% | 15.2% | × | ||
食事:夜食あり★ (就寝前2時間以内に喫食する者の割合) |
56.2%◆ | 48.2% | 37.2%★ | × | ||
睡眠:寝不足★ | ◇ | 30.4% | 25.9% | × | ||
飲酒:一回の飲酒量が多量★ | ◇ | 12.1% | 14.5% | 〇 |
健康KPI項目 |
国内東芝グループ |
目標値※1 (全国値) |
対目標値 〇 達成 × 未達 |
|||
---|---|---|---|---|---|---|
2019年度 | 2023年度 | |||||
ア ウ ト カ ム 指 標 |
脳心臓疾患のハイリスク
|
要配慮以上の高血圧 | 3.1% | 3.3% | 7.2% |
〇
|
要配慮以上の高血糖 | 2.1% | 2.4% | 2.5% | 〇 | ||
メタボ該当者 | 全年齢の該当者 | 15.1% | 18.6% | 14.5% | × | |
40歳以上の該当者 | 17.5% | 21.3% | 13.0% | × | ||
メタボ予備群 | 全年齢の予備群 | 16.5% | 16.0% | 14.1% | × | |
40歳以上の予備群 | 17.8% | 16.9% | 12.3% | × | ||
プ ロ セ ス 指 標 |
喫煙:喫煙あり | 26.2% | 23.5% | 21.5% | × | |
運動:全国平均以下の歩数(相当) (6,000歩以下/日)★ |
◇ | 63.2% | 50%※2 ★ | × | ||
運動:運動習慣のない者の割合☆ | - | 76.4% | 71.3%☆ | × | ||
食事:朝食を食べない者の割合 | 28.7% | 33.0% | 15.2% | × | ||
食事:夜食あり★ (就寝前2時間以内に喫食する者の割合) |
56.2%◆ | 48.2% | 37.2%★ | × | ||
睡眠:寝不足★ | ◇ | 30.4% | 25.9% | × | ||
飲酒:一回の飲酒量が多量★ | ◇ | 12.1% | 14.5% | 〇 |
<凡例>
★:2023年度より算出定義、目標値を変更、☆:2023年度より新設、◆旧システムデータを新基準に読み替えて集計、◇:定義変更にともない比較困難なため非表示
- 全国値は2018年度の国民栄養調査又は厚生労働省データの内20~69歳のものから算出。
- 全国の歩数の平均値(男性:7,636歩、女性:6,657歩<国民栄養調査20~64歳のデータ>)に近い6,000歩/日未満の方(車椅子など歩行不可を除く)の50%(全国平均を想定)未満化をめざす。
また、アブセンティーイズム、プレゼンティーイズム把握の観点から四半期ごとに「心身の不調をともなう長期欠勤者と勤務制限者に関する調査」を実施し、心身不調による勤怠影響度を調査しています。
2023年度末の心身の不調をともなう長期欠勤者と勤務制限者
長期欠勤者※3 / メンタル_割合 | 制限者※4 / メンタル_割合 | 長期欠勤者 / 身体_割合 | 制限者 / 身体_割合 |
---|---|---|---|
0.69 % | 0.66 % | 0.28 % |
1.02 % |
長期欠勤者※3 / メンタル_割合 | 制限者※4 / メンタル_割合 | 長期欠勤者 / 身体_割合 | 制限者 / 身体_割合 |
---|---|---|---|
0.69 % | 0.66 % | 0.28 % |
1.02 % |
※3 メンタル又は身体(メンタル外)の不調を理由として1か月以上勤務がない者
※4 メンタル又は身体(メンタル外)の不調を理由として産業医意見書をもとに勤務制限をしている者
以上のKPIや不調者割合の調査結果は、グループ会社ごとに一覧化のうえ、グループ内ベンチマークの参考資料として各社に共有し、各社での取り組みの一助としています。
脳・心臓疾患や生活習慣病への対策
国内東芝グループでは、生活習慣病予防のハイリスクアプローチとして、2011年度から、定期健康診断結果に対して東芝グループ共通基準による就業区分判定を実施し、脳・心臓疾患の発症リスクが高い従業員に対する勤務管理・労務管理や保健指導などの重点支援を確実に行う取り組みを進めてきました。また、東芝健康保険組合と連携して重症化予防プログラム(糖尿<慢性腎臓>病、高血圧症)を展開しています。以上の取り組みの成果は、在職中の死亡に占める脳・心臓疾患による死亡者の割合の減少や高血圧・高血糖のハイリスク者の抑制に現れています(前項参照)。
ポピュレーションアプローチとしては、2013年度から生活習慣改善などに関する目標値を定め、喫煙対策、食堂メニュー改善、各種運動機会の提供などの施策を講じ、2014年度からは年代別の健康教育を導入し、ライフサイクルに合わせた健康づくりを支援してきました。その結果、喫煙率、飲酒などの生活習慣指標が改善傾向に向かっていますが、課題のある項目も多く、設定したKPIと目標値達成に向けた更なる改善施策が必要です。
特にメタボリックシンドロームの該当者・予備群(以下、「該当者など」)の割合が全国比で高い傾向にあり、グループ共通の課題としてマテリアリティKPIに設定しています。該当者などの改善はもとより、新しい該当者などの発生を抑制するため、会社として健康セルフケア能力向上に資する各種施策(次項以降)を展開するとともに、健康保険組合では法定対象者である40歳以上の特定保健指導のほか、2024年度からは30歳代以下の若年層に対しても特定保健指導に準じた保健指導を開始しています。
マテリアリティKPI(全年齢に対するメタボ該当者+予備軍の比率)の推移
全従業員の生活習慣改善に向けた健康支援ICTツールの導入
健康課題解決に向けて、2024年4月より東芝健康保険組合では一般被保険者(従業員)を対象に健康支援ICTツールの導入を開始しました。
本ICTツールでは、アプリ内において健診結果に基づく健康年齢の表示、健康記事の配信、ウォーキングや健康クイズをはじめとするさまざまな健康イベントの開催、インセンティブポイントの付与などを通し、従業員の健康のセルフケアを支援します。
本ICTツールのグループ内への更なる普及を推し進めるとともに、各種の健康施策の展開手段として積極的に活用していきます。
食生活の改善に向けた取り組み事例
本社事業場や川崎スマートコミュニティセンターでは、食堂でデジタルサイネージやオートレジでのカロリー表示を行い、産業保健専門職による健康ニュースの発行なども実施しています。
また、京浜事業所では出張作業でコンビニ食の多い従業員にポケット健康カードを配布し、バランスのよい弁当選びを支援しています。
川崎スマートコミュニティセンターでのカロリー表示
京浜事業所のポケット健康カード
国内グループ一斉ウォーキングの試み
国内グループでは従来、大規模会社、事業場を中心に個別のウォーキング施策を積極的に展開してきましたが、小規模会社・事業場のなかには企画、運営の困難さなどを理由に、なかなか実施に結び付けられない課題がありました。
この状況を受け、2022年度からはコーポレートと東芝健康保険組合が主導するグループ一斉ウォーキングイベントを春と秋に開催しています。
スタート当初は小規模の参加でしたが、徐々に参加人数が増え、ICTツールを活用した2024年度春には1万人を超える従業員が一斉ウォーキングに参加しました。
参加人数
2022春 | 2022秋 | 2023春 | 2023秋 | 2024春 |
---|---|---|---|---|
604人 | 4,955人 | 2,256人 | 7,889人 | 11,392人 |
運動習慣化の促進事例
コーポレートでは、2022年度、運動の習慣化を目的とした活動のトライアル共同研究として公益財団法人 明治安田厚生事業団様と主要な6事業場の協力のもと、運動不足かつ健康課題を有する従業員への運動習慣改善プログラム提供を行いました。プログラムの主な構成は下表のとおりです。
①活動量の現状把握 | 活動量計を2週間装着し、普段の生活を送ることで、活発度、座り過ぎ度を調査 |
---|---|
②オンライン結果説明会 | オンラインで結果を説明するとともに目標設定への動機づけ |
③改善目標設定 | 活動量確保、座り過ぎ解消のための具体策を記載 |
④改善プログラムの提供 | 各自の目標達成に向け実践。習慣化支援のため昼休みに約1か月半、20分/回、3回/週のオンライン運動プログラム(スローエアロビック、筋トレ&ストレッチ、スロートレーニング、プチ講座など)を実施。後刻アーカイブ配信 |
⑤活動量の再評価 | 活動量計を2週間装着し、活発度、座り過ぎ度の変化を確認 |
①活動量の現状把握 | 活動量計を2週間装着し、普段の生活を送ることで、活発度、座り過ぎ度を調査 |
---|---|
②オンライン結果説明会 | オンラインで結果を説明するとともに目標設定への動機づけ |
③改善目標設定 | 活動量確保、座り過ぎ解消のための具体策を記載 |
④改善プログラムの提供 | 各自の目標達成に向け実践。習慣化支援のため昼休みに約1か月半、20分/回、3回/週のオンライン運動プログラム(スローエアロビック、筋トレ&ストレッチ、スロートレーニング、プチ講座など)を実施。後刻アーカイブ配信 |
⑤活動量の再評価 | 活動量計を2週間装着し、活発度、座り過ぎ度の変化を確認 |
結果としてプログラムの全工程に参加した従業員の歩数・活動量は総じて増加し、座位時間の短縮傾向がみられた一方、参加者の動機づけ、関係スタフの負担感、運動プログラムの開催時間帯やアーカイブ動画確認環境の整備など、今後解決していくべき課題も得られました。
府中事業所では、職場体操にロコモシンドローム・転倒災害予防も兼ねた「ロコレッチ」を考案し、職場体操として実施しています。府中市とも連携し、地域とともに健康づくりに取り組んでいます。2020年度からは、本社事業場でも「皆で」と所在地の「港区」をかけ合わせて名づけたオリジナル体操「みなトレ」をつくり、従業員向けに動画を公開しています。
また、東芝ライテック(株)では、スマホアプリで記録した歩数の累積でバーチャルに日本各地の各拠点を訪れるウォーキング企画で従業員の運動習慣を大幅に改善し、厚生労働省の「健康寿命をのばそう!アワード」で表彰を受け、スポーツ庁のスポーツエールカンパニーにも認定されました。
府中事業所オリジナル職場体操
東芝ライテック(株)のバーチャルウォーク日本縦断
喫煙対策の推進
国内東芝グループでは、従業員への健康配慮の観点から就業時間(出張や在宅勤務を含む)や構内など、会社の管理権限が及ぶ範囲における完全禁煙(就業中喫煙から離れること)を完了※しています。これらの対策の結果、従業員の喫煙率は徐々に低下しています(表参照)。東芝グループでは、喫煙者への禁煙支援の提供も含め、更に喫煙対策を進めていきます。
喫煙率
※完全禁煙までの経緯
- 2019年度の安全健康経営会議において国内東芝グループ全社で就業時間内禁煙、屋内喫煙所の原則廃止を決定し、全国労働衛生週間トップメッセージや社内広報誌でも周知をするとともに、各事業場で禁煙キャンペーンを推進
- 2020年1月から就業時間内禁煙、同3月までに喫煙所の原則屋外化を実施
- 2020年度の安全健康経営会議で2021年度末での構内喫煙所全廃を決定
- 2021年度末には構内喫煙所全廃
社内広報誌 TOSHIBA LIFE Vol.454 P26-27より
喫煙禁止に関する周知ツール例
メンタルヘルス対策
国内東芝グループでは、日本企業のなかでもいち早く先進的なメンタルヘルス対策に取り組み、従業員をとりまく生活環境や職場などを含む包括的な体制での4つのケアを進めてきました。今後は、ニューノーマルな働き方を念頭に、従業員が心身の健康維持に自律的に取り組む支援も実施していきます。
1. セルフケア
メンタルヘルスの啓発・教育活動
社内広報誌「TOSHIBA LIFE」や東芝健康保険組合の広報誌「Kenpo Information」などを通じて、 メンタルヘルスの啓発・教育活動を行っています。2022年度は、「TOSHIBA LIFE」で3回にわたる連載記事でメンタルヘルスのセルフケアを取り上げました。また、毎年国内グループ会社に対しセルフケアe-ラーニング教育を実施しており、自律的なこころの健康づくりをサポートしています。
2023年度は教育対象の98.4%となる国内グループ会社62,484人が受講しました。e-ラーニングが受講できない製造現場の従業員にも資料を配布し、国内グループの全従業員の受講に努めています。
TOSHIBA LIFEの連載記事
「ストレスチェック」によるストレスへの気づきと対処
従業員一人ひとりのストレスへの気づきと自身での対処を主な目的に、ストレスチェックを実施しています。健康診断システムと連動した独自システムを構築し、2018年度からは、法令の要請がない50人未満の事業場にも実施を義務づけ、グループを挙げてストレスチェックを推進しています。タイムリーなフォローの結果、グループ全体の回答率は全国平均よりも高い値(2023年度90.5%)となっています。
ストレスチェックの結果、スコアが設定した基準を超える全従業員に対しては面談希望を確認し、希望者には面談にてストレス対処法へのアドバイスなどを実施しています。
2. ラインによるケア
教育、トップメッセージなどの各種機会を通じ、従業員の健康状態を把握するため、「いつもと違う」様子に注意し、職場のなかで積極的な「気づき、声かけ」を実践することを、管理者による部下のメンタルヘルスケアのポイントとして、周知・徹底しています。また、組織・チームの安全健康意識を向上させるため、各種ミーティング(在宅勤務の浸透にともなう1on1ミーティングを含む)などの機会を活用したコミュニケーションの活性化にも取り組んでいます。
管理職メンタルヘルス教育
1977年度から管理監督者リスナー教育を開始し、時代の変化に対応した管理職など各階層教育を実践してきました。現在も事業場の管理職は昇格時ラインケア教育に加え、自社研修センターでマネジメントセミナー「メンタルヘルス」教育も受講できます。マネジメントセミナーでは、最重要ポイントとなる企業の安全配慮義務に、2019年度の法改正を受けたパワハラをはじめとするハラスメント防止の留意点も追加し、更には多忙な管理者自身のセルフケアについても重要性を説いています。
マネジメントセミナーの資料(例)
管理職への職場のストレス判定図のフィードバック(ストレスチェック)
ストレスチェックを実施したグループ各社の10人を超える組織については、その管理者(及び勤労担当者)に対し、組織の従業員の相対的ストレスを示す「職場のストレス判定図」をフィードバック※し、管理者による職場改善のヒントを提供しています。各管理者は、必要に応じ産業保健専門職や総務部門の支援を受けながら、さまざまな職場改善を実施しています。制度開始後8年が経ち、良好な改善事例も蓄積され、グループ各社の職場改善施策の共有機会などを通じ、国内東芝グループ全体のストレス管理レベルの向上を図っています。
- 職場のストレス判定図の東芝グループ全体集計では、「仕事の量‐コントロール」、「上司-同僚の支援」ともに全国平均レベルより良好な状態にあります。
職場健康リスクの点数
3. 事業場産業保健専門職によるケア
産業保健専門職(産業医、保健師、心理専門職などのスタフ)は、各種の面談(健康診断の事後措置面談、時間外超過者面談など)や従業員からの相談の機会を通じ、従業員自身のセルフケア(一次予防)を支援し、必要に応じて職場・総務部門・家庭・医療機関などと連携しながら、メンタル不調者の早期発見・早期治療(二次予防)や休職者のスムーズな復帰・再発予防(三次予防)を促進する「コーディネーター」として活躍しています。
職場復帰支援プログラム
国内東芝グループでは、メンタル休職者の適正な三次予防をめざし、2003年度に全国に先駆けて職場復帰支援プログラムを開始し、休業した従業員が円滑に職場復帰し再発しないようにサポートしています。2022年度には、在宅勤務をふまえた復職基準にも対応したプログラムへと改修しています。産業保健専門職は、主治医や職場及び家族などと連携をとりながら、適切な就労時期や場所、仕事の仕方を提案します。
【参考】産業保健専門職のスキルアップなど
相談対応を含む産業保健専門職としてのスキル向上を目的に、定期教育(入社時・3か月後教育、産業看護専門教育など)や定期会議(産業医会議<2回/年>など)を実施し、継続的な知識のブラッシュアップ、東芝グループ安全健康施策の共有を図っています。
【参考】健康情報の取り扱いについて
健康情報は機微な個人情報であることに鑑み、グループ各社・各事業場では「健康情報取扱い規程」を定め、産業保健専門職をはじめとするグループ各社のスタフに対し、業務上知り得た従業員の健康情報などを適切に取り扱うことを徹底しています。
4. 事業場外資源によるケア
各事業場では、産業保健専門職が中心となり、地域の外部医療機関やリワーク施設とのネットワークを構築し、治療が必要な従業員に対し適正な医療が受けられるよう支援しているほか、小規模で常駐の産業保健専門職が不在の事業場は、地域の産業保健総合支援センターと連携し、産業保健専門職によるケアを補っています。
全社的には、セルフケアe-ラーニング教育や会社、健康保険組合の機関紙、ウェブサイトをはじめとする各種媒体を通じ、要相談者の状況・環境に応じたさまざまな相談窓口の周知に努めています。
グループ社外相談窓口の設置
国内東芝グループでは、2000年に全国に先駆けて社外EAP(従業員支援プログラム)制度を導入し、その機能は現在、24時間相談窓口「こころとからだの健康相談」に継承され、東芝健康保険組合と東芝が共同で運営しています。
本窓口では、電話、メール、チャットボット、オンラインを含む面会カウンセリングなどの手段で、プライバシーを確保しながら、心身の健康問題、育児・介護などさまざまな問題の相談に対応しています。従業員のほか、その家族も利用が可能で、多くの相談が寄せられています。
時間外超過者健康管理
国内東芝グループでは、時間外労働を前提としない働き方への転換(働き方改革の実践)を第一義としながら、2006年の「労働安全衛生法」改正に先立ち1か月に80時間以上の時間外労働をした、又は1か月に45時間以上の時間外労働をして医師が面接を勧める、あるいは自身が面接を希望する従業員に医師による面接指導(時間外超過者面接指導)を義務づけており、時間外労働による健康障害の防止に取り組んでいます。
この基準は2019年4月から施行されている改正安全衛生規則も十分満たしているものです。
海外駐在者に対する健康管理
国内東芝グループでは、海外に駐在する従業員の健康管理を支援する専門部署を日本国内に設置しています。法定の赴任時・帰任時健康診断に加え、駐在期間中も家族を含め年1回の健康診断の実施を義務化し、特に駐在員に対しては健康診断結果に基づき、国内勤務の従業員と同様の支援活動を実施しています。また、各国の医療事情に応じた最適な支援ができるよう、従業員とその家族に対して相談対応や現地医療機関の案内、緊急時の搬送などを手配できるサービスを導入しています。
感染症対策
海外における感染症(結核、マラリア、HIV/AIDSなど)の発生や流行に対して、随時、外務省、海外安全危機管理や国際医療の専門会社、海外リスクメディア及び現地などから最新情報を収集し、対象国などに周知することで注意喚起・啓発をしています。また、海外に赴任する可能性のある従業員及び海外赴任する従業員の帯同家族を対象とした研修を実施し、海外の生活・医療・安全・感染症対策などについて説明しています。海外赴任が決まった従業員には、赴任前に改めてオリエンテーションを実施し、事前の健康診断、予防接種なども実施しています。このほか、国内東芝グループでは、新入社員に配布する冊子のなかで後天性免疫不全症候群(HIV/AIDS)の知識について触れ、その他の教育機会と併せて、感染の予防と誤解による不当な差別の禁止を呼びかけています。また、各事業場においては、健康診断の場を提供する形で、国の進める対象年齢層への風しん抗体検査に協力しています。
両立支援の取り組み
コーポレートでは、多様な働き方を制度や健康面から支える「両立支援制度」や「相談窓口」の関係資料・連絡先を社内ウェブサイトからアクセス可能なコーポレート情報ポータル(CIP)に公開するとともに、これらのマインドや制度を各種セミナー、トップメッセージやe-ラーニングなどの手段で定期的にPR展開をしています。
<一例:がんの治療と両立支援>
コーポレートでは毎年、保険制度の紹介を含めた、がんにかかわる「両立支援セミナー」を開催。また、CIPで公開している「がん予防と両立支援」ページでは、がん予防の知識とともに罹患時活用できる各種制度を紹介し、「相談窓口の紹介」ページでは従業員と家族が利用可能な「がんの治療と仕事の両立支援」の専用窓口をもつ「こころとからだの健康相談」の利用案内を掲載しています。
「健康の維持・向上への施策」の予算化について
上記の活動を継続的に実施するため、下表の事項について適宜予算化しています。
コーポレート | グループ各社・事業場 | 東芝健康保険組合 | |
---|---|---|---|
脳・心臓疾患や生活習慣病への対策 | 共通健康管理システム維持費など | 健診費用、検診会場費用、共通健康管理システム利用費など 各種教育・健康イベント費用など |
がん・生活習慣病検診費用、健康ICTツールの利用料と付与ポイント利用料、社外相談窓口業務委託費への補助など |
メンタルヘルス対策 | 啓発・教育媒体作成費用など、社外相談窓口業務委託費など | 各種教育費用・健康イベント費用など | |
海外駐在者・感染症対策 | ‐ | 海外駐在者健診・予防接種費用など | ‐ |
コーポレート | グループ各社・事業場 | 東芝健康保険組合 | |
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脳・心臓疾患や生活習慣病への対策 | 共通健康管理システム維持費など | 健診費用、検診会場費用、共通健康管理システム利用費など 各種教育・健康イベント費用など |
がん・生活習慣病検診費用、健康ICTツールの利用料と付与ポイント利用料、社外相談窓口業務委託費への補助など |
メンタルヘルス対策 | 啓発・教育媒体作成費用など、社外相談窓口業務委託費など | 各種教育費用・健康イベント費用など | |
海外駐在者・感染症対策 | ‐ | 海外駐在者健診・予防接種費用など | ‐ |
社外からの評価
健康管理に関する取り組みの結果、東芝及び主要グループ会社、東芝ライテック(株)、東芝プラントシステム(株)、東芝産業機器システム(株)、東芝ITコントロールシステム(株)、西芝電機(株)、東芝デバイス(株)が大規模法人部門、東芝プレシジョン(株)、東芝ホクト電子(株)、東芝保険サービス(株)、東芝健康保険組合が中小規模法人部門において日本健康会議※から「健康経営優良法人2024」に認定されました。また、上位500法人として東芝ライテック(株)、東芝産業機器システム(株)は「ホワイト500」、東芝プレシジョン(株)は「ブライト500」としても認定されました。
- 経済産業省支援のもと、経済団体などの民間組織にて組織された会議体
請負業者の安全健康
東芝グループでは、「東芝グループ安全健康基本方針」記載の「事業にかかわる多様な立場の働く人々およびその代表と安全健康への取組みを適切に協議し、参加を支援」の具体策として、下記の取り組みを実施しています。
<事業場内>
事業場総務部門が事業場に出入りする請負業者の代表と安全衛生協力会を構成し、事業場の安全健康基本方針や目標を共有するとともに、各請負業者の安全実績の監視、事業場における休憩所の設置、作業場における危険有害作業の明確化と請負業者への周知、緊急対応技術の向上支援、避難訓練の共同実施などを行っています。
<フィールド作業>
特に東芝グループ会社が元請となる作業場については、各サイトを所管する事業部フィールド部門が、業務を遂行する請負業者・パートナー企業に対し、安全実績の監視、従業員と同等の安全衛生教育、作業場の巡視、事故の発生を想定した避難訓練などを通して安全衛生活動の情報の共有を図るとともに、サイト・フィールド部門・事業部・グループ会社など各層の連携を促進するなど、元方事業者として安全文化の醸成に努めています。
これらの取り組みにもかかわらず、2021年度から2023年度までの3年間で請負業者従業員の業務上死亡災害が2件(2021年度_事業場内・感電、2022年度_サイト・墜落)発生しており、請負業者の安全管理水準の更なる向上が喫緊の課題となっています。
サプライチェーンでの安全健康
東芝グループは、国連グローバル・コンパクト(UNGC)、RBA(Responsible Business Alliance)行動規範の趣旨に沿って調達活動を推進しています。調達取引先の事業活動においても、基本的人権を尊重するとともに、安全で清潔な職場環境の実現に努めるよう要請しています。すべての調達取引先に人権・労働・安全衛生への配慮を含む「東芝グループの調達方針」を説明し、同意を求めています。
原子力における放射線管理・安全管理
1.放射線業務従事者の被ばく低減への取り組み
当社グループは原子力発電所などで作業を行う当社グループ及び協力会社の放射線業務従事者に対して被ばく低減対策を徹底することにより、個人被ばくの低減に努めています。特に福島第一原子力発電所の廃炉作業においては、過酷な放射線環境下での作業となることから、被ばく低減を考慮した設計・手順の検討を行うとともに、モックアップ訓練を行い、被ばく低減に取り組んでいます。また、現場の状況に合わせた管理ツールや放射線測定器を独自開発するなど、安全で効率的な現場管理となるよう取り組んでいます。
2.放射線業務従事者の安全管理・健康管理に対する取り組み
当社グループでは、全国の原子力発電所などにおける個人の線量実績を一元的に管理する東芝放射線管理システムを運用し、1960年代から現在まで当社グループにおける放射線業務従事者10万人を超える被ばく実績を個人ごとに把握・管理しています。このシステムを有効に使い、協力会社従事者を含め、法令限度より厳しい社内基準を満たした線量管理を行っています。
安全管理に関しては、さまざまな教育・訓練メニューを用意し、特に体感訓練を通した実地訓練に力を入れ、当社グループ及び協力会社従事者の安全意識向上、災害の撲滅に取り組んでいます。
健康管理についても、当社グループ及び協力会社を含め、現場ごとに必要な健康診断を実施するとともに、産業医による心身の健康指導を行っています。