東芝の源流となる田中製造所を創業した発明家・田中久重が掲げた看板の「万般の機械考案の依頼に応ず」と、もう一つの源流である白熱舎を創業した工学博士・藤岡市助の「至善」は、これまで東芝のあり方を定義し、東芝が続いてきた理由となってきたと思っています。常に新しいものに挑戦し、世の中にないものを自らの知恵と技術でつくり上げ、これが、世の中のためになってきたということは、東芝の経営理念「人と、地球の、明日のために。」に通じていると思っています。
一人ひとりの生活、そして地球が持続可能であるためには、企業は、複雑化・深刻化する社会課題を長期的な目線で捉え、事業を通じて解決することが必要です。これが企業価値の向上にもつながります。現代は多くの人が携帯端末で情報をやり取りし、産業においてもIoTやセンサーの充実で豊富な情報が集積されています。そして、AIの進化とその急速な普及により、産業構造は大きく変化しています。 この時代に私たちが生かすべきは「データの力」であり、デジタルエコノミーの発展を機会とできるか否かが企業の競争力をも左右します。
東芝グループが目指すのは、「人と自然が共生する社会」および「安全・安心な社会」の実現です。この実現に向けて、創業から受け継がれるベンチャースピリットを胸に、培ってきた発想力と技術力を結集します。東芝の強みであるエネルギー、デジタルインフラ、デバイス&テクノロジーの各事業を通じて、生成AIなどのデジタル技術を駆使し、自然や社会の「再生(Regeneration)」と「循環(Circulation)」の視点から社会課題の解決に取り組み、サステナビリティ経営を推進します。ステークホルダーと共に「新しい未来を始動させる。」ため、東芝は、これまで培ってきた量子応用技術などの強みを活かし、社会課題の解決に取り組み、安全・安心で人と自然が共生する社会の実現を目指してまいります。
企業価値の持続的向上にあたっては、信頼を損なう行いは絶対に許さないという強い自覚のもと、生命・安全とコンプライアンスをあらゆる経営課題に優先させます。また、国連グローバル・コンパクト署名企業として、倫理的で透明性のある経営基盤の構築のために、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の強化に努め、さまざまなステークホルダーと連携し、豊かな価値を創造します。そして、SDGsの10のゴールに注力し、各ゴールに対するポジティブ・インパクトの最大化とネガティブ・インパクトの最小化に取り組み、すべての企業活動を通じてその達成に貢献します。
東芝グループが注力する10ゴール
株式会社 東芝
代表取締役 社長執行役員 CEO
島田 太郎
※ SDGs:Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)。国連で2015年に採択された2030年までに達成すべき目標。

