東芝は、これまで多くの方々に支えられ、昨年創業150周年という大きな節目を迎えることができました。東芝の源流となる田中製造所を創業した発明家・田中久重が掲げた看板の「万般の機械考案の依頼に応ず」という精神、そして、もう一つの源流である白熱舎を創業した工学博士・藤岡市助の「至善」の志は、長きにわたり東芝のあり方を形づくり、今日まで歩みを続けてこられた礎となっていると考えています。常に新しいものに挑戦し、世の中にないものを自らの知恵と技術でつくり上げ、それを社会の発展に役立てていくという、創業以来受け継がれてきた価値観は、東芝の経営理念「人と、地球の、明日のために。」に通じるものだと思っています。

 

私たち一人ひとりの生活と持続可能な地球環境の実現に向けて、複雑化・深刻化する社会課題を長期的な視点で捉え、事業を通じて解決することが企業に求められています。こうした課題解決への取り組みは、企業価値の向上にもつながります。私たちを取り巻く環境は、近年大きく変化しており、特にAIの急速な進展は、電力、産業機械、ロボティクス、社会インフラなど幅広い分野に普及し、産業構造そのものを変える大きな潮流となっています。また、世界各地で地政学リスクが高まる中、防衛力強化への対応に加え、サプライチェーンやサイバーセキュリティの強化がこれまで以上に重要となっています。さらに、頻発・激甚化する自然災害に備え、社会インフラのレジリエンス強化が強く求められています。こうした変化は社会に新たな課題をもたらす一方で、東芝グループが培ってきた技術や知見を通じて新たな価値を創造する大きな機会でもあります。私たちは、この好機を捉え、成長するという強い意志のもと、その実現に向けてスピード感を持って取り組んでまいります。

 

東芝グループが目指すのは、「人と自然が共生する社会」および「安全・安心な社会」の実現です。この実現に向けて、創業以来受け継がれてきたベンチャースピリットを胸に、培ってきた発想力と技術力を結集します。東芝の強みであるエネルギー、デジタルインフラ、デバイス&テクノロジーの各事業を通じて、生成AIなどのデジタル技術を駆使し、自然や社会の「再生(Regeneration)」と「循環(Circulation)」の視点から社会課題の解決に取り組み、サステナビリティ経営を推進します。また、さまざまなステークホルダーと共に「新しい未来を始動させる。」ため、これまで培ってきた量子応用技術をはじめとする東芝グループの強みを活かし、世の中にない新しい価値を創造してまいります。

 

企業価値の持続的な向上に向けては、信頼を損なう行為を決して許さないという強い自覚のもと、生命・安全とコンプライアンスをあらゆる経営課題に優先してまいります。また、国連グローバル・コンパクト署名企業として、倫理的で透明性の高い経営基盤の構築のために、E(環境)S(社会)G(ガバナンス)の強化に努めます。

株式会社 東芝
代表取締役 社長執行役員 CEO
島田 太郎