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東芝グループ マテリアリティ
東芝グループ マテリアリティ

イノベーション創出のための研究開発の強化

東芝グループは、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。グループの強みである技術と開発のダイバーシティを活かし、エネルギー、インフラ、デバイスといった事業領域を核にデータの力を重ね合わせることで、そのポテンシャルを最大限に発揮させながら、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現するイノベーション創出に向けた研究開発を強化しています。

2025年度の主な成果

  • 自然由来ガスを適用した420/550kV GIBを国内メーカーで初めて製品化
  • 高出力での充放電に対応する鉄道車両向けハイパワーバッテリモジュールの新製品を開発
  • 「気象データサービス」による雹(ひょう)被害の回避・軽減の取り組みが、環境省「令和7年度気候変動アクション環境大臣表彰」を受賞
  • SiCデバイスのノイズ低減・損失低減を実現する次世代ゲートドライバー技術を開発

研究開発の方針

東芝グループは、「人と、地球の、明日のために。」の経営理念のもと、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー社会の実現、安心・安全な社会インフラの実現のために、確かな技術力に支えられた製品・ソリューション・サービスをつくりあげていきます。東芝グループの強みである技術のダイバーシティを最大限活用し、これらの技術を支えている技術者や研究者が刺激し合い、成長できる場を醸成することを大切にし、パートナーやお客様、社会との共創により深刻な社会課題に挑み、克服していきます。

詳細は以下ウェブサイトをご覧ください。
 

研究開発体制

東芝の研究開発組織の多くは、2025年4月1日に総合研究所(本社)に統合されました。総合研究所では本社・分社会社の設計・技術部門や社外のパートナーとの協働により、事業ドメインの基盤技術を支え、事業計画に則った新たな商品や差異化技術の開発、及び顧客ニーズをとらえた商品化・量産化に取り組んでおります。また、中長期的な視点で基盤技術を深め、新規事業領域の研究や革新的かつ先行的な研究開発にも取り組んでいます。

「総合研究所」傘下には、当社グループの事業領域の革新的システム・技術の研究開発を担う「エネルギーシステムR&Dセンター」「インフラシステムR&Dセンター」「先端デバイスR&Dセンター」の3組織に加え、各事業領域を超えた研究開発と、生産技術を担う「AIデジタルR&Dセンター」「デジタルイノベーション技術センター」「生産技術センター」「マテリアルズ&フロンティア研究センター」の4つの組織を新設しました。あらゆる事業領域や設計・製造プロセスで重要性が高まるAIやデジタル技術については、「AIデジタルR&Dセンター」及び「デジタルイノベーション技術センター」が核となり、ほかのセンターと連携してDXやデジタルサービスの創出を加速します。併せて「デジタルイノベーション技術センター」は、「生産技術センター」とともに、ハードウェアとソフトウェア、業務プロセスの生産性・品質向上のための技術開発・全社展開を担い、事業成長に貢献します。また、「マテリアルズ&フロンティア研究センター」では、量子コンピュータなど、既存の事業領域にとらわれない革新的な研究にも取り組みます。新組織のもと、現在、主要な事業・生産拠点に駐在するラボ機能を強化するとともに、2024年1月に開所した研究開発新棟「イノベーション・パレット」を活用した社会や企業との共創活動を強化していきます。また、複数の領域をまたがる技術者同士の協働や、これらの共創活動を通じて、当社グループの将来を支える技術人材の育成に注力していきます。

本社研究組織体制図

社会課題の解決に貢献する研究開発事例

自然由来ガスを適用した420/550kV GIBを国内メーカーで初めて製品化
~国内最高クラスの電圧に対応し、送変電機器の温室効果ガス削減に大きく貢献~


(株)東芝 エネルギーソリューション事業領域

当社は、電気を「送る」役割を担う送変電機器事業において、温室効果ガスである六フッ化硫黄(SF6)を一切使用せず、自然界に存在するガス(自然由来ガス)のみを使用した「ガス絶縁母線(GIB)※1」を国内で初めて製品化しました。今回開発したGIBは、環境負荷を大幅に低減しながら、国内最高クラスとなる定格電圧550kVにも対応できることが最大の特長です。
当社では、自然由来ガスを適用した送変電機器のブランド「AEROXIA™」を立ち上げ、ガス絶縁開閉装置(GIS)※2やGIBの開発・製造を行ってきました。自然由来ガスを適用した送変電機器は、脱SF6を進め電力供給の安定性と持続可能性を両立するソリューションであり、国内外の電力会社や再生可能エネルギー事業者から高い期待が寄せられています。当社は今後、自然由来ガスを適用した220kV以上の基幹系統向けGISの開発を加速し、環境に調和した持続可能な社会の実現に貢献してまいります。

  • ガス絶縁母線(Gas Insulated Busbar、GIB)は主に変電所内で開閉装置と送電線や変圧器との接続部分を広範囲につなぎ電力伝送を担う機器で、ガス絶縁開閉装置(GIS)と並び、高電圧変電所設備の小型化や高信頼化を実現するための重要変電機器の一つです。
  • ガス絶縁開閉装置(Gas Insulated Switchgear、GIS)は、送電線に異常が生じた場合に電流を遮断してほかの電力機器への影響を防ぐための遮断器や、送電系統を切り換えるための断路器、避雷器、計器用変成器などから構成される設備です。
図1 GIBおよび及びGISについて
図2 GIBの断面図(イメージ)

従来の3倍の高出力で充放電が可能な鉄道車両向けハイパワーバッテリモジュールを新たに開発
~従来品よりも更に効率よく貯めた電力を列車の加速走行のアシストなどにも活用し、鉄道運行の省エネ化やカーボンニュートラルの実現に貢献~


(株)東芝 デジタルインフラソリューション事業領域

東芝は、当社のリチウムイオン二次電池SCiB™セルを適用した、従来よりも高出力・高効率な鉄道車両向けハイパワーバッテリモジュールを新たに開発しました。列車のブレーキ作動時に発生する回生エネルギーを蓄電し、活用する鉄道車両向けシステムにおいて、より効率的に有効活用するために、バッテリモジュールの架線電圧に対する適用範囲を広げ、高電圧下での絶縁性能の強化と充放電時の発熱発生の抑制を両立させました。

当社従来品比で約3倍の高出力※1での充放電に対応したことで、列車のブレーキ作動時に発生する回生エネルギーを従来品よりもさらに効率よく蓄電し、万が一電力供給が断たれた際に退避運転を行う電力を供給する非常用蓄電池として活用するほか、蓄電した電力を加速走行など列車運行のアシストにも活用でき、鉄道運行で使用する電力量の更なる削減やCO2排出量低減によるカーボンニュートラルの実現に貢献します。

  • 約300kW。同様のバッテリモジュール構成における従来の最大出力は約90kW。
ハイパワーバッテリモジュール適用 システムイメージ

「気象データサービス」による雹(ひょう)被害の回避・軽減の取り組みが、環境省「令和7年度気候変動アクション環境大臣表彰」を受賞


東芝デジタルソリューションズ(株)

東芝デジタルソリューションズ(株)が提供する「気象データサービス」による雹被害の回避・軽減の取り組みが、環境省が主催する「令和7年度気候変動アクション環境大臣表彰」において「開発・製品化部門(適応分野)」で表彰されました。
「気象データサービス」のひとつである「降雹予測サービス」は、250m単位で実測された気象データを活用し、最大30分前に精緻で正確な降雹の予測を事前通知することが可能です。実際にサービスを導入いただいた保険会社では、保険契約者へSMSで降雹予測アラートを配信し、人的被害や自動車損害の回避・軽減に役立てられています。雹被害に対する実効的な対応策につながっている点、更にSNSのビッグデータを組み合わせて降雹予測の精度を向上させている技術的刷新性についても高く評価されました。
当社は今後も、社会インフラを支える民間事業者や自治体へ気象データサービスを提供し、防災・減災に貢献してまいります。

表彰式の様子

SiCデバイスのノイズ低減・損失低減を実現する次世代ゲートドライバー技術を開発
~パワー半導体分野におけるEV・データセンター向け電源システムの小型化・低コスト化、低消費電力化を実現~


(株)東芝

当社は、パワー半導体分野において、次世代デバイスであるSiC(炭化ケイ素)デバイスの性能を最大限引き出す2つの次世代ゲートドライバー技術を開発しました。
高性能SiCデバイスの実現には、高速動作によりノイズが発生し結果として効率が低下するという、トレードオフの最適化に加え、駆動ICで発生する損失(以下、駆動損失)の増加への対応が不可欠です。
今般当社は、世界初の自動駆動波形生成機能により、損失とノイズの最適バランス制御を可能とする「フィードバック型アクティブゲートドライバー技術」、及び少ないキャパシタ構成で多段の階段状のゲート電圧生成を世界で初めて実現し、駆動損失を大幅に削減する「低損失ゲートドライバー技術」を開発しました。
本技術により、EVなどにおけるエネルギー効率の向上や、UPS(無停電電源装置)をはじめとするデータセンター向け電源システムの高電流密度化を通じて、脱炭素社会の実現に貢献します。

開発したフィードバック型アクティブゲートドライバーと特性改善効果
開発した低損失ゲートドライバーと特性改善効果