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東芝グループ マテリアリティ
東芝グループ マテリアリティ

イノベーション創出のための研究開発の強化

東芝グループは、創業以来、事業を通じて社会課題の解決に取り組んでいます。グループの強みである技術と開発のダイバーシティを活かし、エネルギー、インフラ、デバイスといった事業領域を核にデータの力を重ね合わせることで、そのポテンシャルを最大限に発揮させながら、カーボンニュートラルとサーキュラーエコノミーを実現するイノベーション創出に向けた研究開発を強化しています。

2024年度の主な成果

  • 岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備の導入によりカーボンニュートラル社会の実現に貢献
  • 小規模下水処理施設向け前処理装置Habuki™
    ~下水処理施設の能力増強、省エネ対策、老朽化対策に貢献~
  • ~窪地やアンダーパスの冠水による車両水没被害を軽減 ~
    「車両水没緊急アラート」の実証実験を開始
  • LFP電池と同等の体積エネルギー密度を持ちながら、超急速充電と長寿命性能を両立する電池を開発
    ~大型商用電気自動車向けニオブチタン酸化物(NTO)負極電池、LFP電池の約10倍以上の充放電回数を実現~

研究開発の方針

東芝グループは、「人と、地球の、明日のために。」の経営理念のもと、カーボンニュートラル・サーキュラーエコノミー社会の実現、安心・安全な社会インフラの実現のために、確かな技術力に支えられた製品・ソリューション・サービスをつくりあげていきます。東芝グループの強みである技術のダイバーシティを最大限活用し、これらの技術を支えている技術者や研究者が刺激し合い、成長できる場を醸成することを大切にし、パートナーやお客様、社会との共創により深刻な社会課題に挑み、克服していきます。

詳細は以下ウェブサイトをご覧ください。
 

研究開発体制

東芝の研究開発組織の多くは、2025年4月1日に総合研究所(本社)に統合されました。総合研究所では本社・分社会社の設計・技術部門や社外のパートナーとの協働により、事業ドメインの基盤技術を支え、事業計画に則った新たな商品や差異化技術の開発、及び顧客ニーズを捉えた商品化・量産化に取り組んでおります。また、中長期的な視点で基盤技術を深め、新規事業領域の研究や革新的かつ先行的な研究開発にも取り組んでいます。

「総合研究所」傘下には、当社グループの事業領域の革新的システム・技術の研究開発を担う「エネルギーシステムR&Dセンター」「インフラシステムR&Dセンター」「先端デバイスR&Dセンター」の3組織に加え、各事業領域を超えた研究開発と、生産技術を担う「AIデジタルR&Dセンター」「デジタルイノベーション技術センター」「生産技術センター」「マテリアルズ&フロンティア研究センター」の4つの組織を新設しました。あらゆる事業領域や設計・製造プロセスで重要性が高まるAIやデジタル技術については、「AIデジタルR&Dセンター」及び「デジタルイノベーション技術センター」が核となり、他のセンターと連携してDXやデジタルサービスの創出を加速します。併せて「デジタルイノベーション技術センター」は、「生産技術センター」とともに、ハードウェアとソフトウェア、業務プロセスの生産性・品質向上のための技術開発・全社展開を担い、事業成長に貢献します。また、「マテリアルズ&フロンティア研究センター」では、量子コンピュータなど、既存の事業領域にとらわれない革新的な研究にも取り組みます。新組織のもと、現在、主要な事業・生産拠点に駐在するラボ機能を強化するとともに、2024年1月に開所した研究開発新棟「イノベーション・パレット」を活用した社会や企業との共創活動を強化していきます。また、複数の領域をまたがる技術者同士の協働や、これらの共創活動を通じて、当社グループの将来を支える技術人材の育成に注力していきます。

本社研究組織体制図

  • エネルギーシステム技術開発センターは、(株)東芝 総合研究所 エネルギーシステムR&Dセンターの機能を兼ねています。 総合研究所では、他のセンターと連携して研究開発を進めています。

詳細は以下ウェブサイトをご覧ください。

研究開発費

東芝グループでは、イノベーション創出のための研究開発の強化をマテリアリティと定めています。
東芝グループの売上高に対する研究開発費率は、約5%で推移しています。

研究開発費対売上高比率

2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
2023年度
2024年度
4.5% 4.7% 4.9% 4.6% 4.7% 4.9%
4.4%
2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
2023年度
2024年度
4.5% 4.7% 4.9% 4.6% 4.7% 4.9%
4.4%

社会課題の解決に貢献する研究開発事例

岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備の導入によりカーボンニュートラル社会の実現に貢献


東芝エネルギーシステムズ(株)と中部電力株式会社が協力して、愛知県岡崎市に国内最大規模の熱容量となる岩石蓄熱エネルギーマネジメント設備の導入に向けた調査及び検証を進めています。この設備は、再生可能エネルギーを効率的かつ最大限に利用し、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。
具体的には、再生可能エネルギー由来の電力を熱に変換して岩石に蓄え、必要なときに熱や電気として供給する仕組みです。これにより、電力の需要と供給の平衡が可能になり、再生可能エネルギーの導入が進むことで、環境への負荷を減らすことが期待されています。
このプロジェクトは、2026年度末までに最適な設置場所及び熱容量を決定し、2027年度から順次、機器の製作を開始、2029年度までに、住居や公共施設、企業に熱や電気を供給することをめざしています。
この技術は、CO2排出量削減による環境貢献だけでなく、経済性や設備信頼性の観点で高い優位性が期待されています。

岩石蓄熱エネマネ設備の機器構成イメージ
岡崎市の岩石蓄熱エネマネ設備導入計画イメージ
  • 環境省 地域共創・セクター横断型カーボンニュートラル技術開発・実証事業にて検討実施しております。

小規模下水処理施設向け前処理装置Habuki™
~下水処理施設の能力増強、省エネ対策、老朽化対策に貢献~



近年、下水処理施設では、広域化・共同化による施設規模の変更に伴う建設コストの増大や、カーボンニュートラル推進のための省エネ対策(消費電力量の削減)などが課題となっています。
東芝 社会システム事業部はこれらの課題を解決するため、OD法※1向け前処理装置「Habuki™」を提供しています。Habuki™は、内部の回転繊維体に大量の微生物を保持し、空気中の酸素を取り込みながら下水中の汚濁物質を効率的に除去することで反応タンクに流入する汚濁負荷を軽減します。これによりOD法の反応タンクの処理能力を150~190%程度増強することができ、施設規模の変更に伴い流入下水量が増加する場合でも反応タンクの増設が不要となり、建設にかかるコスト・CO2排出を削減します。また、曝気にかかる消費電力量を20%程度削減することができます。
下水処理施設の処理能力増強と省エネを実現するHabuki™は、持続可能なインフラの構築、カーボンニュートラルの実現、水資源の保全などさまざまな課題に貢献していきます。

回転繊維体を用いたOD法向け前処理装置 Habuki™
Habuki™導入時の下水処理フロー(イメージ)
  • OD法:オキシデーションディッチ法。小規模の下水処理施設で用いられる下水処理方式の一つ。
  • BOD:生物化学的酸素要求量。水中の有機物が微生物により分解される際に使用される酸素の量のことであり、下水中の汚濁物質量の指標となる。

~窪地やアンダーパスの冠水による車両水没被害を軽減~
「車両水没緊急アラート」の実証実験を開始


東芝デジタルソリューションズ(株)と三井住友海上火災保険株式会社は、埼玉県、千葉県、静岡県、愛知県の4県で、車両水没被害の軽減に向けた「車両水没緊急アラート」の実証実験を2025年4月より開始しました。
自然災害を起因とする自動車の被害は、近年多発する降雹(こうひょう)のほか、窪地やアンダーパスの冠水による水没も多く見られます。車両水没を回避するためには、地形等を考慮したリアルタイムの雨量分析により、冠水の危険性の高い場所を把握することが求められます。しかし、局地的かつ突発的に急激な雨水の増加をもたらすゲリラ豪雨は事前予測が難しいとされています。
このような中、東芝グループが気象レーダシステム事業で培ったデータ解析技術を活用し、車両水没の被害軽減に向けたアラートを配信する実証実験を行います。
本実証実験では、約30分先の降雨予測情報を基に、車両水没の危険性を知らせるアラートをSMSで対象者に配信し、被害の予防効果を検証します。
両社は、アラート配信を通じてお客様の行動変容を促し、車両の水没被害を未然に防ぐとともに、本実証実験で得られた知見を活用し、防災・減災に資するソリューションを拡充していきます。

LFP電池と同等の体積エネルギー密度を持ちながら、超急速充電と長寿命性能を両立する電池を開発
~大型商用電気自動車向けニオブチタン酸化物(NTO)負極電池、LFP電池の約10倍以上の充放電回数を実現~


東芝は、ニオブチタン酸化物(Niobium Titanium Oxide、NTO)を負極に用い、リン酸鉄リチウムイオン電池(LFP電池)と同等の体積エネルギー密度を持ちながら約10倍以上※1の回数で超急速充電が可能なリチウムイオン電池を開発しました。本電池は、5分間で約70%の超急速充電が可能で、15,000回以上の充放電でも80%以上の電池容量を維持し長寿命です。また、原理的にリチウム析出が起こらず、低温~高温環境下でも安全です。稼働率が高く、厳しい外気温の中で運行されることが多いバスやトラックなどの大型商用車の電動化に適しています。また、超急速充電と長寿命性能から搭載量と交換頻度を減らすことで、導入及び運用のコスト低減が期待できます。2018年にはCBMM(ブラジル)及び双日株式会社と共同開発契約を締結し、本電池の商業化に向けた協業を進めています。3社は、開発した本電池を電気バスに搭載し、2024年6月からCBMMが権益を所有するブラジル・ミナスジェライス州のアラシャ鉱山で、実走行の実証実験を行っています※2

SCiB Nb (テストサンプル)
東芝、双日、CBMMでのEVバス実証実験開始のセレモニー
  • 超急速充電サイクルを想定した部分充放電サイクル(完全充放電ではなく、一定の容量範囲内での充放電)において当社比較
  • 東芝、双日、CBMMが超急速充電に対応するニオブチタン酸化物を用いた次世代リチウムイオン電池搭載の電気バス試作車を公開