ニュースリリース

NEWS RELEASE


「回転繊維体を用いたOD法向け前処理技術」が
日本下水道事業団の新技術Ⅰ類に選定

~下水処理施設の能力増強、省エネに貢献~

2025年03月31日

東芝インフラシステムズ株式会社

 当社注1が開発した「回転繊維体を用いたオキシデーションディッチ法注2(OD法)向け前処理技術」が、地方共同法人 日本下水道事業団(以下、JS)との共同研究の成果に基づき、このたび、JSの「新技術Ⅰ類注3」に選定されました。本選定は、当社の技術として初になります。

 本技術はOD槽の処理能力を150~190%程度注4増強、曝気注5に係る消費電力を20%程度削減できる新技術として、今後JS受託建設事業での導入が期待されます。当社は本技術の能力増強効果により下水処理施設の最適化を図るとともに、省エネ化にも貢献していきます。

今回の選定内容

1.選定技術名称

回転繊維体を用いたOD法向け前処理技術

2.技術の概要

1.立体網目状の回転繊維体を用いるOD法の前処理技術であり、生物膜法の一種

2.大量の微生物が保持可能な回転繊維体の採用により高負荷運転が可能

3.従来OD法と比較して除去BOD注6あたりの消費電力量が少なく、省エネ効果を発揮

4.回転繊維体上の生物膜は固形物滞留時間が長く、汚泥の自己分解効果により余剰汚泥発生量を削減

5.既存のOD法を稼働しながら設置が可能

3.適用条件

対象下水:家庭汚水を主体とした都市下水
水温:13℃以上(月間平均水温の年間最低値)
OD槽流入BOD/N比:OD槽へ流入するBOD/N比が3.0以上(高度処理OD法へ適用する場合)
FSの実施:事前にFSを実施し、導入効果(能力増強効果および経済性)を確認する

4.システムフロー

5.導入効果

・処理能力増強
 OD槽の処理能力を150~190%程度増強
 ⇒流入下水量が増加する場合においてもOD槽の増設が不要
 ⇒施設能力に対し流入下水量が減少している場合、OD槽の稼働数削減が可能

・省エネ
 OD槽へ流入する有機物負荷低減によりOD槽における必要酸素量を削減
 ⇒曝気に係る消費電力を20%程度削減

・下水処理施設のLCC(Life Cycle Cost)削減
 OD槽の増設不要による建設コストの削減、及び維持管理コストの削減(消費電力・余剰汚泥量の削減等)により下水処理施設のLCCを最大22%程度削減

6.おわりに

 当社は本技術を「回転繊維体を用いたOD法向け前処理装置 Habuki™」として昨年7月より販売しております。当社は、このHabuki™とともに長年培ってきた水処理技術・ソリューション技術と豊富な経験を生かし、安心・安全な水・環境のソリューションパートナーとして、今後も上下水道事業者の皆様が抱える課題の解決につながる技術開発に取り組んでまいります。 

 

注1 東芝インフラシステムズ株式会社は、2025年4月1日付で株式会社東芝に統合予定
注2 無終端水路を反応タンクとして活性汚泥による処理を行い、最終沈殿池で汚泥と処理水を分離する方法
注3 JSが共同研究等により開発に関与した技術のうち、開発が完了、または、実用化に一定の目途が立った技術について、共同研究者からの申請に基づき、JSの受託建設事業における適用性についてJSが審査し、選定するもの。
注4 水温16~20℃、MLSS 3,000mg/Lの条件における試算値
注5 反応タンクに空気を送り込む下水処理工程の一種
注6 Biochemical Oxygen Demandの略。水中の有機物が一定時間(5日間)・一定温度(20℃)で、微生物が酸化分解するときに消費される酸素量。水の中の汚れ(有機物)がどれくらいあるかを示すもの。

 

日本下水道事業団 新技術導入制度:
新技術導入制度 | 技術開発 | JSの事業 | 地方共同法人 日本下水道事業団 -Japan Sewage Works Agency

「Habuki™」 紹介サイト:
回転繊維体を用いたOD法向け前処理装置Habuki™ | 社会システム | 東芝インフラシステムズ

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