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東芝グループ マテリアリティ
東芝グループ マテリアリティ

持続可能な調達活動の推進

東芝グループは、法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生・環境への配慮などの持続可能な調達活動の取り組みを通じて、調達取引先とともに、企業価値向上やお客様の価値向上に向けた活動を推進しています。

調達取引先に「東芝グループの調達方針」への同意とそのサプライチェーンまで含めた実践を要請していくとともに、CSRやサステナビリティへの取り組み評価を実施します。また、東芝グループの調達活動を行う従業員に対しても、持続可能な調達に関する教育を実施し、人権、労働、安全衛生、環境など重要なサプライチェーン上のCSRやサステナビリティ課題について啓発していきます。

「持続可能な調達」活動とは

調達取引先まで含めた法令、社会規範、人権・労働安全衛生、環境などの社会的責任を果たすことを目的とした、将来にわたり持続可能な調達のことです。2017年にはISO20400「持続可能な調達に関する手引き」が発行され、調達活動のなかで環境や人権など幅広い社会的責任の標準が定められています。

取り組むべきKPIと実績

調達方針の協力に対する
新規取引先からの同意取得率(%)

2022年度実績 100 
2023年度目標 100 
2023年度実績 100 
2024年度目標 100 
2022年度実績 100 
2023年度目標 100 
2023年度実績 100 
2024年度目標 100 

持続可能な調達調査
実施社数(のべ数)

2022年度実績 12,622
2023年度目標 13,000 
2023年度実績 13,014 
2024年度目標 13,000 
2022年度実績 12,622
2023年度目標 13,000 
2023年度実績 13,014 
2024年度目標 13,000 
  • 持続可能な調達調査:調達取引先へのCSRへの取り組み評価。主要な取引先は100%実施

持続可能な調達に関する教育のグループ
調達業務従事者への実施率(%)
 

2022年度実績 41 
2023年度目標 100 
2023年度実績 100 
2024年度目標 100 
2022年度実績 41 
2023年度目標 100 
2023年度実績 100 
2024年度目標 100 
  • 東芝テック(株)を除く

2023年度の主な成果

  • 東芝グループグリーン調達ガイドラインの改定
  • CDPサプライヤーエンゲージメントでの最高評価獲得

東芝グループのサプライチェーン

東芝グループでは、世界各地の調達取引先からさまざまな原材料や資材を調達しています。

2023年度の事業分野別調達構成比率(金額ベース)は電力・社会インフラ事業分野が51%、電子デバイスが28%、その他が21%です。地域別では、日本が74%、アジア(中国、インド含む)が24%、欧州・その他が2%です。

サプライチェーンを通じて持続可能な調達活動を推進していくうえで、東芝グループは、調達額上位で継続的に取り引きしている調達取引先のなかから、地域性や事業特性などを考慮して重要度を設定するリスクアプローチを行っています。

事業分野別及び地域(日本国内/海外)別の調達構成比率(2023年度金額ベース)

東芝グループでは、生産する品目特性・環境により、材料、部品、設備などの現地調達を適切に推進しています。各国生産拠点を中心に、海外の調達拠点 ( International Procurement Office :IPO ) も活用し、現地調達を含む最適地調達活動の推進に努め、地域社会との共生を図っています。

東芝グループの調達方針

東芝グループは、企業価値向上のみならず、お客様の価値向上のため持続可能な調達活動を推進し、調達取引先との健全なパートナーシップの構築に努めており、東芝グループ各社の生産並びにサービス提供に重要な役割を担う調達取引先に、「東芝グループの調達方針」への同意と実践をお願いしています。

東芝グループの調達方針」は、東芝が参加する国連グローバル・コンパクト(UNGC)、RBA(Responsible Business Alliance) 行動規範の趣旨に沿って定めています。法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生・環境への配慮に賛同、実行いただけることを取引先選定の条件として明記しており、「適切な労働時間の管理(適用される法規制を超えない労働時間・休日、また国際的な基準を考慮した労働時間・休日)」や、「適切な賃金の支払い(適用される法規制の最低賃金を上回る賃金、生活に必要なものを賄うことができる水準の賃金(生活賃金)の支払い)」についても調達先にお願いしています。また、「東芝グループの調達方針」は、日本語に加えて、英語、中国語、タイ語に翻訳し、社会情勢に応じて同方針の内容を改定した際は、その都度、国内外の調達取引先に周知しています。
※ 2017年10月にEICCからRBAへ名称変更しました。

この「東芝グループの調達方針」に加えて、環境に関しては「東芝グループグリーン調達ガイドライン」 を定め、責任ある鉱物調達に関しては「東芝グループ責任ある鉱物調達方針」を定めています。また、人権の尊重については、2022年3月に新たに「東芝グループ人権方針 (PDF形式)(485KB)」を制定しました。この方針制定を受け、ESGを念頭にした調達取引先の選定基準の明確化及び調達取引先へのお願い事項の見直しを目的とし、東芝グループ調達方針を改定しました。

東芝グループの役員・従業員に対しては「東芝グループ行動基準」を定め、法令、社会規範の遵守はもとより、公正な取引を通じて、調達取引先とともに企業の社会的責任を果たし、相互理解と信頼関係を構築することを基本方針として設定しています。

時期 内容
2022年3月改定 法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生・環境への配慮に賛同、実行いただけることを取引先選定の条件として明示
調達取引先のお願い事項について、RBA行動規範などの国際的な基準をふまえて改定
2021年2月改定 調達取引先へのお願い事項について、「東芝グループ責任ある鉱物調達方針」の改定を反映し、それぞれ個別に要請をしていた「東芝グループグリーン調達ガイドライン」、「お取引先様のための東芝品質保証ガイドライン」、「お取引先様のための東芝ソフトウェア品質保証ガイドライン」、「お取引先様のための東芝製品セキュリティ品質保証ガイドライン(ソフトウェア編)」を追記
2014年10月改定 「調達方針」に、東芝が参加する国連グローバル・コンパクト、RBA行動規範の趣旨に沿った活動を推進するよう明示
2012年5月改定 新規取引開始時及び継続取引にあたって、法令・社会規範の遵守、人権への配慮を調達取引先選定の優先条件とすることを明示
調達取引先へのお願いとして、あらゆる利害関係者への贈賄行為の禁止(英国贈収賄法などの国際的な腐敗防止に関する規制を考慮)、人身売買や奴隷などの禁止(米国カリフォルニア州トランスペアレンシー法を考慮)、紛争鉱物の不使用(米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)を考慮)を明示
2008年5月改定 調達取引先へのお願いとして、人権・労働安全衛生への配慮について明示し、調達取引先に自身の調達活動での実践を要請
2005年2月 「東芝グループの調達方針」を制定し、法令・社会規範の遵守、環境への配慮などを国内外の調達取引先に対して要請
時期 内容
2022年3月改定 法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生・環境への配慮に賛同、実行いただけることを取引先選定の条件として明示
調達取引先のお願い事項について、RBA行動規範などの国際的な基準をふまえて改定
2021年2月改定 調達取引先へのお願い事項について、「東芝グループ責任ある鉱物調達方針」の改定を反映し、それぞれ個別に要請をしていた「東芝グループグリーン調達ガイドライン」、「お取引先様のための東芝品質保証ガイドライン」、「お取引先様のための東芝ソフトウェア品質保証ガイドライン」、「お取引先様のための東芝製品セキュリティ品質保証ガイドライン(ソフトウェア編)」を追記
2014年10月改定 「調達方針」に、東芝が参加する国連グローバル・コンパクト、RBA行動規範の趣旨に沿った活動を推進するよう明示
2012年5月改定 新規取引開始時及び継続取引にあたって、法令・社会規範の遵守、人権への配慮を調達取引先選定の優先条件とすることを明示
調達取引先へのお願いとして、あらゆる利害関係者への贈賄行為の禁止(英国贈収賄法などの国際的な腐敗防止に関する規制を考慮)、人身売買や奴隷などの禁止(米国カリフォルニア州トランスペアレンシー法を考慮)、紛争鉱物の不使用(米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)を考慮)を明示
2008年5月改定 調達取引先へのお願いとして、人権・労働安全衛生への配慮について明示し、調達取引先に自身の調達活動での実践を要請
2005年2月 「東芝グループの調達方針」を制定し、法令・社会規範の遵守、環境への配慮などを国内外の調達取引先に対して要請

持続可能な調達活動の推進体制

東芝グループは、2020年4月から、東芝の本社調達部内に持続可能な調達活動のための独立した専門組織を設置し、人権・労働安全衛生・環境などの持続可能な調達活動の推進にあたっては、サステナビリティ戦略委員会を通じて、サステナビリティ推進部門、環境部門など関連部門や各事業部門と連携を図っています。2021年度には持続可能な調達活動の推進を東芝グループのマテリアリティとして特定し、関連するKPIをサステナビリティ戦略委員会で決定しました。持続可能な調達活動の推進にあたっては、関連取り組みの実施のための予算も毎年確保のうえ、サステナビリティ推進体制と連携し、持続可能な調達活動の推進体制を通じて、各グループ会社に対し施策展開や教育を行っています。なお、取締役会へは調達担当役員から適宜報告を行い、監督・助言を受けています。

東芝グループの持続可能な調達活動推進体制


従業員への教育


「東芝グループ行動基準」、「東芝グループの調達方針」、「持続可能な調達」に関する教育を、新入社員研修、転入者研修を含む調達部門の階層別教育などに取り入れています。2023年度はこれら階層別教育において、グループ調達業務従事者約40人に持続可能な調達に関する教育を実施しました。更に、東芝グループ従業員向け人権に関するe-ラーニングをグループ調達業務従事者全員が受講しました。

業界団体との連携

東芝は、サプライチェーンにおける法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生、環境、倫理にかかわるCSRを果たすため、RBA行動規範の趣旨に沿った取り組みを推進しています。
調達取引先に対しては、毎年重要調達取引先に対してRBA行動規範の準拠を確認するCSRセルフアセスメントを依頼し、法令・社会規範の遵守、人権・労働安全衛生、環境、倫理にかかわる取り組み状況を確認しています。アセスメントの結果を受けて、リスクレベルに応じて調達取引先を個別に指導し、改善を依頼しています。

東芝は環境分野で高い影響力のある国際的な非営利団体 CDP やサステナビリティを専門とする国際的な非営利団体BSR  (Business for Social Responsibility)に参加し、環境や人権などに関する評価を受けて持続可能な調達活動を推進しています。また、JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)の責任ある鉱物調達検討会やCSR委員会のメンバー、JaCER(一般社団法人 ビジネスと人権対話救済機構)の正会員となり、団体と連携した活動を行っています。

持続可能な調達活動の実践(調達取引先デューディリジェンス)


調達方針の徹底


2022年度は2022年3月に改定した調達方針について直接の調達取引先約12,000社(のべ数)に対して徹底を依頼し、同意いただきました。新規調達取引先については、東芝グループの調達方針を配布、説明し、二次調達取引先に対する東芝グループ調達方針の推進も含め、同意を要請しています。2023年度は、東芝グループ各社で定めた選定基準に基づき、約2,700社を新規調達取引先として選定しました。
継続的に取引のある調達取引先に対しては、品質監査時などに製造現場の管理状況を確認し、必要に応じて改善を要請・支援しています。調達取引を新規に開始する場合は、調達取引先の製造現場や管理の仕組み、環境、人権、労働、安全に関する法令遵守状況、経営状況などが東芝グループの調達・選定方針に則しているかを確認しています。
各拠点では、継続的に環境、人権、労働、安全にかかわる説明会や、自主点検を含む調達方針に関する状況調査(拠点モニタリング)を実施しています。2023年度は、調達取引先の人権・労働58社、安全衛生134社、環境101社の調査を実施しました(社数は東芝グループ、のべ社数)。

  • 東芝グループでは、取引契約ごとに調査を実施。同一取引先との間に複数の契約を締結している場合は1契約を1社と数えるため、会社数の集計はのべ数。また、実数は業務上の機密情報のため概数で開示。

説明会参加と調査実施調達取引先数(2023年度、東芝グループ、のべ社数)

内容 説明会参加 調査実施 実地調査
人権・労働 348社
572社
58社
安全衛生 1,304社 719社 134社
環境 904社 3,606社 101社
  • 調査にはRBA SAQ(Self-Assessment Questionnaire)による自己点検、第三者による監査、独自基準による調査・監査を含みます。

持続可能な調達調査


2021年度から、サプライチェーン全体でのESG課題への取り組み強化を目的に、人権・労働安全衛生、環境、倫理、BCPの観点で、リスクベースアプローチによる調達取引先の持続可能な調達調査を実施しています。

環境に関しては、2023年度はのべ13,014社の調達取引先に対して「環境経営評価」を通じて確認を行いました。「環境経営評価」では、「東芝グループグリーン調達ガイドライン」に沿って「環境未来ビジョン2050」に則した東芝グループの環境経営について共有するとともに、同ビジョンの主要施策である「気候変動への対応」、「循環経済への対応」、「生態系への配慮」に関する調達取引先の取り組み内容についての調査と評価を行い、高評価の調達取引先様からの調達を優先しています。更に、調達取引先の取り組みに課題が確認された場合は改善、指導を行っています。2023年度の調査においては、当社基準以上のお取引先様が99.95%であることを確認しました。なお、2023年度については「温室効果ガス(GHG)排出量調査」も併せて実施し、調達取引先とのパートナーシップ強化及び東芝グループの「Scope3カテゴリ1」算定精度の向上に向けた検証活動を実施しました。

人権、労働安全衛生に関しては、日本、およびEUが発行した紛争地域及び高リスク地域(CAHRAs)のリストやUNEP FI(国連環境計画金融イニシアティブ)Human Rights Guidance Toolのなかで参照されている人権リスクに関する地域情報などの外部参照情報に記載された国や地域を調査対象として絞り込み、約8,000社に対して人権・労働・環境・法令に関するリスク評価を行いました。リスクのある回答があった調達取引先約2,500社に対しては、質問ごとに、国際的な基準を基に望ましい対応の概要を説明する書面を作成、配布し、是正及びトレーニングを行っています。更に、一部の調達取引先には直接ヒアリングし、事実を確認したうえで是正指導を行っています。
この調査では、調達取引先における外国人労働者の雇用状況(特に日本においては技能実習生)及び調達取引先の拠点所在地がリスクの高い国・地域(社会的保護が整備されていないなど)に該当するか確認したうえで、人権・労働安全衛生のリスクを把握するため、差別、機会均等、結社の自由と団体交渉権、児童労働・若年労働者、強制労働、労働安全衛生に関して質問しています。


調達取引先への働きかけ・トレーニング


東芝グループは、調達取引先と相互信頼に基づいたパートナーとしての関係づくりを進めています。人権・労働安全衛生・環境などに配慮した調達品を適正な価格と品質で安定的に供給していただくため、調達取引先に対する支援や啓発活動を通じて、より良いパートナーシップの構築に努めています。
持続可能な調達調査においてリスクのある回答があった調達取引先に対しては、質問ごとに、国際的な基準を基に望ましい対応の概要を説明する書面を作成、配布し、是正及びトレーニングを行っています。更に、一部の調達取引先には直接ヒアリングし、事実を確認した上で是正指導を行っています。

活動事例: 東芝情報機器フィリピン社での取り組み


東芝情報機器フィリピン社は、調達取引先やサービスプロバイダとの良好なパートナーシップの構築を積極的に推進しています。毎年、すべてのサービスプロバイダを対象に、東芝グループの経営理念体系が掲げるコンプライアンス遵守のもと、RBA行動規範をベースとしたSocial Accountability Management Systemの研修を実施しています。本研修は、コンプライアンスの本質を伝えながら、社会、環境分野における社会的責任についてビジネスパートナーに理解を深めていただくことを目的としています。
また2023年度には、選定した27社に対して、人権、労働、安全衛生、環境、倫理に関する東芝情報機器フィリピン社の社会的責任の要求事項について、遵守状況を確認するためにリモートでのコンプライアンス・チェックを実施しました。監査に先立ち社会的責任マネジメントシステム及びRBA行動規範の要求事項について再教育を実施しました。継続的な教育・啓発プログラムとエンゲージメントにより、サプライチェーンにおけるサステナビリティ経営の推進とコンプライアンスの取り組みを強化していきます。

リモートでのコンプライアンス・
チェックの様子

活動事例: 電池事業における取り組み


東芝の電池事業部では、東芝の環境未来ビジョンの達成のみならず、欧州電池規則への対応なども背景に、CO2排出量削減に向けた取り組みを調達取引先と積極的に推進しています。具体的には、説明会などを通じて、東芝の環境未来ビジョン2050を念頭に、欧州電池規則内容、CO2排出量算出方法、削減に向けた取り組みについて調達取引先に伝達し、最新の排出量の把握と削減に努めています。今後も更なるCO2排出量低減のため、調達取引先と協働し、カーボンニュートラル実現に向けた活動を推進していきます。


調達取引基準違反時の対応


調達取引基準に違反した場合の基本的な対応としては、まず是正措置の要求を行うとともに、必要に応じて是正指導、支援を行います。それでも、是正が困難と判断された場合は、取り引きを停止します。2023年度に拠点モニタリングを実施した人権・労働、安全衛生、環境の実地調査結果から調達取引先の人権・労働16社、安全衛生209社、環境56社の指導・支援を実施し、作業手順書の見直しと周知徹底などを要請しました(社数は東芝グループ、のべ社数)。

拠点モニタリングにより指導・支援及び取引停止をした調達取引先数(2023年度、東芝グループ、のべ社数)

内容 指導・支援 取引停止
人権・労働 16社 0社
安全衛生 209社 0社
環境 56社 0社

指導・支援事例(2023年度)

人権・労働
  • 適切な採用条件、労務管理に関する改善指導
  • 製錬業者へのコンフリクト・フリー認証 取得の支援
安全衛生
  • リスクアセスメント報告会、安全パトロールの実施
  • コンフリクト・フリー認証: 紛争鉱物の不使用(コンフリクト・フリー)を第三者機関が認証する制度

調達取引先を対象とした通報制度


東芝グループは「クリーン・パートナー・ライン(お取引先様通報制度)」を開設しています。これは、東芝グループの関係者が、調達などの取引に関して法令、東芝グループの行動基準・調達方針、取引契約、企業倫理などに違反又は違反の疑いがある場合に、その旨を調達取引先から通報していただく窓口です。通報した方の個人情報は、ご本人の承諾を得ない限り「クリーン・パートナー・ライン」事務局外の者に開示されません。また、通報内容は厳正に取り扱い、通報したことを理由として通報者及びその勤務先を不利益に取り扱わないように配慮しています。関係調達取引先へ制度を周知するとともに、活用をお願いしています。2023年度は3件の通報があり、いずれも関係部門と連携して調査を行いました。取引上の不適切な状況や疑わしい行為などが発見された場合には、改善指示や注意喚起を実施しています。
また、2021年度は、サプライチェーン上の人権侵害などに関する対応を目的に、JEITA CSR委員会のビジネスと人権対話救済機構(JaCER)の設立に向けた検討会に参画しました。2022年度に同機構の「対話救済プラットフォーム」に正会員企業として参加し、ビジネスと人権課題に関する苦情・通報の受付を開始しました。

責任ある鉱物調達について

2013年1月に米国金融規制改革法(ドッド・フランク法)の紛争鉱物問題に関する1502条が施行され、米国証券取引所に上場していない東芝グループも、上場企業のサプライチェーンに連なる企業として、コンゴ民主共和国及びその近隣周辺地域で採掘された紛争鉱物の使用状況について調査し、顧客に報告しています。
東芝グループは、この法施行に先立ち、2011年10月に紛争鉱物に関する社内体制を整備し、「東芝グループ紛争鉱物対応方針」を定めてウェブサイトで公開しました。
また、近年鉱物調達において、DRC及び周辺国のリスクのみならず、その他紛争地域及び高リスク地域での紛争、児童労働を含む人権侵害全般や汚職などにリスクが広がっていることを受け、2020年9月に紛争鉱物対応方針を見直し、「東芝グループ責任ある鉱物調達方針」を定めました。

東芝グループ責任ある鉱物調達方針


東芝グループは、紛争地域及び高リスク地域での紛争への加担、強制労働や児童労働などの人権侵害、環境汚染、汚職などにかかわる、錫、タンタル、タングステン、金及びコバルトの使用を禁止するよう以下のとおり推進します。

  • 「OECD紛争地域および高リスク地域からの鉱物の責任あるサプライチェーンのためのデュー・ディリジェンス・ガイダンス」にしたがって、サプライチェーンを適切に管理していきます。
  • 調達取引先に対し、RMIが確立したResponsible Minerals Assurance Process(RMAP) に準拠した製錬所から鉱物を調達するよう要請します。
  • 紛争地域及び高リスク地域から産出された鉱物すべてを使用しないのではなく、同地域で紛争や人権侵害、環境汚染、汚職などにかかわらない鉱物は使用していきます。
  • 調達取引先とは東芝グループの調達方針及び責任ある鉱物調達方針を共有し、サプライチェーンを通じて製錬所に関する情報提供をお願いするとともに、紛争地域及び高リスク地域におけるリスクの排除、軽減に貢献するよう対話や協働に努めます。
  • サプライチェーンにおいてリスクの可能性を確認した場合は調達取引先を通じて是正要請を行い、是正状況に応じて取引停止措置などを講じます。

東芝グループは常に鉱物調達にかかわる情報収集に努め、調達取引先と連携しながら、本方針に基づいた事業活動を行います。
東芝グループの調達取引先の皆様も、責任ある鉱物調達方針にご協力いただくようお願いいたします。


東芝グループ責任ある鉱物調達対応推進体制


東芝グループでは、サステナビリティ推進担当役員が責任者となり、関係するスタフ部門からなる「責任ある鉱物調達対応コーポレート事務局」が、「東芝グループ責任ある鉱物調達方針」にしたがった活動を推進しています。グループ会社は、それぞれ責任者・副責任者・事務局を選任し、コーポレート事務局が主催する「事務局連絡会」や社内ウェブサイトでの情報を活用し、取り組みを徹底しています。

東芝グループ責任ある鉱物調達対応推進体制


東芝グループ責任ある鉱物調達調査


東芝グループの調達取引先に対して、錫、タンタル、タングステン、金(3TG)、コバルトの使用状況、製錬所情報を確認する調査を、RMIが発行するテンプレート(CMRT(紛争鉱物レポーティング・テンプレート)など)を使用して実施しています。
2023年度は、3TGを使用している可能性のある調達取引先717社(のべ数)を調査しました。また、コバルトについては295社(のべ数)を調査しました。


調達取引先に対する教育


責任ある鉱物調達への理解を深めていただくために、JEITA「責任ある鉱物調達検討会」のメンバーとして、説明会の開催に参画しています。2023年度はオンライン説明会が開催され、鉱物調査の最新動向や最新版の調査票の解説資料作成を行いました。


社外との連携・対話


責任ある鉱物調達の推進と啓発に向けて、業界団体や官民連携プロジェクトへ積極的に参加するほか、NGOとの対話にも努めています。

鉱物問題に関する社外との主な連携・対話

関係団体/プロジェクト 東芝グループの活動内容

RBA(Responsible Business Alliance)

2011年6月に加盟
RMI(Responsible Minerals Initiative) メンバーの一員として検討会やワークショップへ参加
JEITA(一般社団法人 電子情報技術産業協会)
「責任ある鉱物調達検討会」
2011年11月から参加し、業界団体との連携を推進
同検討会内の「コンフリクト・フリー・ソーシング ワーキンググループ」 に参加し、日本の自動車・電機各社と連携してコンフリクト・フリー調達を推進・啓発
同検討会内の「啓発・広報チーム」に参加し、調査における課題の把握と対応を行い、調査説明会を実施
同検討会内の「製錬所支援チーム」に参加し、コンフリクト・フリー製錬所の認証を取得していない国内外の製錬所に対し、認証プログラムへの参加を要請する文書を継続的に送付

グリーン調達・グリーン購入


グリーン調達


東芝グループは、サプライチェーン全体にわたる環境配慮の一環として、グリーン調達を推進しています。調達取引先にはグリーン調達に関する東芝グループの考え及び具体的なお願い事項について示した「東芝グループグリーン調達ガイドライン」を配布しており、同ガイドラインに基づいて積極的に環境経営を推進している調達取引先から、環境負荷の小さい製品・部品・材料・サービスなどを優先的に調達しています。
同ガイドラインは世の中の動きや東芝グループの環境方針などに応じて随時改定しており、2022年3月には東芝グループの長期環境ビジョン「環境未来ビジョン2050」を反映した内容にリニューアルし、その後も、気候変動への対応などを中心に内容を拡充しています。


グリーン購入


東芝グループは、事務機、文房具など事務用品の調達品につき、エコマーク認定品などの環境配慮商品を登録するなど、環境負荷がより小さい調達品を選定するよう努めています。社内で使用するパソコン、コピー機、コピー用紙などを対象に、グリーン購入を実施しています。

サプライチェーンリスクへの対応


サプライチェーンにおける新型コロナウイルス感染症対応


新型コロナウイルス感染症に対しては、調達取引先と連携して供給を確保し、事業への影響を最小限に抑えるよう努めています。具体的には、感染が拡大している地域における企業の活動状況や物流の状況などのリスクを見極め、事業への影響を最小限に抑制する対策を講じています。


地政学リスクへの対応


東芝グループでは、地政学リスクを常に考慮し、最適な調達活動を行っています。
ウクライナ情勢をふまえた対応についても、ロシアからの調達のリスクを見極め、代替調達先の確保など事業への影響を最小限に抑えるよう努めています。