東芝グループでは「循環経済への対応」をマテリアリティの一項目とし、「環境未来ビジョン2050」で掲げる「循環型社会の実現」に向けて、当社のめざすサイバーフィジカルシステムテクノロジ―企業への変革を促進することで資源循環の輪やカーボンリサイクルの輪を更につなげていきます。
ガバナンス
東芝グループは環境経営推進体制を構築し、「循環経済への対応」に向けた取り組みをグループ全体で推進しています。資源循環に関する各種環境アクションプラン及び重点施策は東芝グループ地球環境会議で策定及び進捗確認を行い、その内容をサステナビリティ戦略委員会及び取締役会へ報告しています。
戦略
事業活動及び製品ライフサイクルを通じて、資源生産性の向上、すなわち資源消費や環境負荷と経済活動のデカップリング(分離)をめざした活動を推進していきます。
具体的には、国内外の生産工程において投入資源を抑制し、製造段階の無駄を排除することによって環境負荷とコストを同時に削減する活動や、製品の小型化などによる省資源化量の拡大、包装材を含め再生プラスチック利用拡大を進めていきます。
その他、経済産業省が2023年3月に策定した「成長志向型の資源自律経済戦略」に基づき設立された産官学の連携を促進するためのパートナーシップ「サーキュラーパートナーズ」に参画するなど、業界団体、行政、他企業などとの積極的な連携を図っていき、サーキュラーエコノミー関連ビジネスの新市場開拓や市場拡大を機会と捉え、循環経済型ビジネスモデルの構築をめざした活動を社内で推進しています。
リスク管理
大量生産、大量消費、大量廃棄を前提とする直線型経済システムのなかで、資源の枯渇リスクや廃棄物処理の限界、海洋プラスチックごみなどによる環境負荷が増大し、潜在的な経済成長率の低下が顕在化してきています。
東芝グループでは、資源利用や廃棄に関する規制強化にともなう管理コストの増加や、資源制約による原材料調達コストの増加をリスクと捉え、経営に大きな影響を及ぼすリスクについては、事業遂行上の経営判断において、東芝グループの持続的成長と企業価値向上を目的とした経営判断基準、許容できるリスク範囲、事業撤退の考え方を明確化し、「ビジネスリスク検討会」において案件ごとにリスクチェックの実施、最大リスクの確認、モニタリング項目の設定を行っており、特に重要度の高い案件は経営会議で審議する仕組みとしています。ビジネスリスク検討会は月に複数回、案件が発生するごとに開催されます。
指標と目標
各事業において共通的な指標を「環境アクションプラン」として定めて年度別の目標値を設定し進捗を管理しています。また、その他にも事業固有の資源循環に関しては、課題解決に向けて個々に目標値の設定又は環境パフォーマンスデータのモニタリングを行っています。
東芝グループが取り組む“資源”と“カーボン”の循環
資源の循環
製品・サービスの設計・調達・製造・流通・使用・回収の各フェーズにおいて、資源の価値最大化につながる取り組みを展開しています。ライフサイクルを通じた資源の有効活用をめざし、省資源化や環境負荷の小さい材料の選定、長寿命化、使用後のリサイクル最大化などを可能にする環境配慮設計を行い、材料調達段階においてはグリーン調達を推進します。製造段階では高効率な生産プロセスを構築し、環境負荷の低減に努めます。使用段階ではデジタルを活用したプロダクトサービスシステムの構築と社会実装に取り組み、循環型ビジネスの拡大をめざします。
カーボンの循環(カーボンリサイクル)
サーキュラーエコノミーと同時にカーボンニュートラルを実現するため、温室効果ガスの一つであるCO2を合成燃料や化学原料などの新たな用途として再資源化させる「カーボンリサイクル(CO2の資源化)」の実用化にも取り組んでいます。