製品安全・製品セキュリティ

東芝グループでは、「総合品質保証基本方針」と「東芝グループ行動基準」を基本に、製品安全及び製品セキュリティの確保とお客様への積極的な安全情報の開示に努めています。市場でのお客様の安全を確保するために、リコール社告製品の早期回収への取り組みを強化していきます。また、自社責任での重大製品事故の撲滅をめざし、製品安全・製品セキュリティに関する活動を全社で強化していきます。

2022年度の主な成果

  • 消費生活用製品安全法に基づく事故報告件数6件(製品起因が疑われる事故2件、製品起因か否か特定できない事故4件)
  • サプライチェーンにおける製品セキュリティの取り組みを強化

※ 今後の追加情報、事故調査進展などにより、件数が変更となる可能性があります。

製品安全・製品セキュリティに関する基本方針


東芝グループは、「製品安全・製品セキュリティに関する行動基準」を定め、関係法令遵守や、製品安全・製品セキュリティの確保に努めることはもちろん、お客様への安全情報の開示に積極的かつ誠実に取り組んでいます。また、製品提供先となる国・地域が規定している安全関連規格、技術基準(UL規格※1、CEマーキング※2など)を常に調査し、各規格・基準にしたがって安全関連規格の表示をしています。

東芝グループ製品安全・製品セキュリティに関する行動基準


  1. 国内外の製品安全・製品セキュリティに関する法令を遵守します。
  2. 製品事故の情報を広く収集し、積極的に開示します。
  3. 法令に基づき製品事故を迅速に所管官庁に報告します。
  4. 製品の回収・改修の実施について、迅速にお客様に告知します。
  5. お客様の安全を確保する使い方の啓発や注意喚起、警告表示を行います。
  6. 事故原因を徹底的に分析し再発防止を図るとともに、設計段階でリスクを予測して事故の未然防止に努めます。
  7. 製品出荷前に脆弱性の解消に努めます。
  8. 製品の脆弱性情報を広く収集し、リスク低減対策を行います。
  9. 製品セキュリティ対策の提供は、関係機関と連携して広く周知を図ります。
  • UL規格:材料・製品・設備などの規格を作成し、審査・認証する米国のUL LLCが発行する安全規格
  • CEマーキング:製品が欧州連合(EU)共通の安全関連規格に適合していることを示すマーク。指定製品にこのマークがなければ欧州経済領域(EEA)で流通が認められない

製品事故など発生時の対応体制


市場で発生した東芝製品の事故情報を入手した従業員は速やかに当該製品を所管する会社の事故対応窓口に報告し、経営トップを委員長とする「CPL委員会※1」や必要に応じて「コーポレートCPL検討委員会」に諮って必要な措置を講じています。再発が予想される重大製品事故の場合は「直ちにお客様に危険をお知らせし、使用を中止していただく」「速やかに所管官庁に報告する」「できるだけ早く対策準備を完了する」ことを徹底しています。
また、事故情報を迅速に収集するために、保守・サービス員が現場で入手した製品事故の情報とその対応状況を速やかに品質保証部門、経営トップに伝達できる情報システムを構築しています。
2022年度は、製品起因が疑われる事故2件、製品起因か否か特定できない事故4件の合計6件を東芝ウェブサイト(国内向け)の重大事故情報一覧※2に掲載しました。

  • CPL委員会:CPLはCL(契約に基づく品質保証責任)とPL(製造物責任)を合わせた略称。各社のCPL委員会では、社長を委員長として、製品事故や品質問題に関する対応を迅速に決定する
  • 消費生活用製品安全法に基づく事故報告

東芝グループの製品事故など発生時の対応体制

重大製品事故の再発・未然防止に向けた取り組み


東芝グループでは、製品開発プロセスを有する製造拠点の94%が製品安全に関する設計レビューを実施するなど(2021年12月時点)、製品安全の確保に取り組んでいます。
また、東芝グループ各社で発生した重大製品事故事例を集めて2011年に「再発防止ガイドブック(e-ブック)」を作成し、社内の品質・製品安全関係者が社内ウェブサイト上で情報を閲覧できるようにしています。重大製品事故そのものは、製品の品質・安全に対する大きな「警鐘」であると同時に製品開発・評価における貴重な「知見」となっていることから、今後も東芝グループ全体で情報を共有し、製品事故の再発・未然防止に努めていきます。

「再発防止ガイドブック」を作成し
再発防止を徹底

製品安全に関する法令、規程、ルールなどの遵守徹底

品質統括責任者が中心となって、製品安全にかかわる法令、規程、ルールをグループ全体に浸透させるとともに、定期的に遵守状況を監視・監査しています。東芝グループの製品に関連の深い電気用品安全法(以下、電安法)については、関係する国内全従業員(2022年度75,246人)を対象にe-ラーニングを実施(受講率100%)し、電安法への理解を更に深め、事故防止を図っています。
また、一般社団法人日本電機工業会(JEMA)一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)一般社団法人電波産業会(ARIB)などの工業会での活動を通じて、国際電気標準会議(IEC)での規格化作業に参画するとともに最新情報の入手も積極的に行い、これら団体が定めた基準の遵守に取り組んでいます。

重大製品事故情報の共有と対応

東芝グループでは、電安法違反による重大事故の再発・未然防止に向け、グループ会社の関係者が集まる電安法責任者会議を行っており、そのなかで各社の事故情報の共有を行っています。また、調達品起因による重大事故に関しても、調達品品質推進会議のなかで同様に情報を共有し、DB化することにより調達品品質改善に役立てています。製品セキュリティに関しては、製品セキュリティ窓口連絡会で、事故事例やJPCERTコーディネーションセンター(JPCERT/CC)などの関連団体から入手した最新情報の共有を行い、製品の脆弱性に起因する事故の未然防止を図っています。

製品を安全に使用していただくための情報提供

あらゆる製品には各種の安全装置が取り付けられていますが、長期間使用した場合や使用環境や条件が変化した場合に、安全装置だけでは十分に安全を確保できないことがあります。
そこで、東芝グループでは、製品を安全にお使いいただくために、取扱説明書に正しい取り扱い方法をわかりやすく記載するとともに、新聞、ウェブサイト、チラシ、教育用資料などで注意を喚起するといった情報提供に力を入れています。
なお、白物家電や映像商品など、東芝グループ外に事業譲渡した東芝ブランド製品につきましても、事故情報の共有や対応について事業譲渡先と連携し、情報開示を積極的に進めています。

東芝製品をお使いの皆様への情報公開、情報提供


製品を安全にお使いいただくためのお知らせ
製品安全・製品セキュリティに関する注意喚起 ほか

長期使用製品安全点検制度・表示制度について

エレベーター、エスカレーターを安全に快適にご利用いただくために

製品安全・品質不具合に関する情報開示


製品・サービスの欠陥やその使用・利用にともなう重大事故が発生した場合は、法に則って所管官庁に速やかに報告します。また、被害の重大性や発生頻度などに応じてお客様にできる限り早くお知らせするために、新聞社告、ウェブサイトなどによって直接お客様に事故情報を開示しています。東芝のウェブサイトには、消費者庁のウェブサイトで公開された当社の製品事故情報を掲載しています。また、製品に起因するか否かが特定できない重大製品事故につきましても、お客様に注意を喚起するため、積極的に情報を開示しています。
なお、白物家電など東芝グループ外に事業譲渡した東芝ブランド製品につきましても、事故情報の共有や対応について事業譲渡先と連携し、情報開示を積極的に進めています。

また、リコール社告案件のなかで、特に火災リスクの大きいエアコンや、その他ノートパソコン用バッテリーパック、縦型洗濯乾燥機、電球形蛍光ランプの複合チラシを準備し、修理・点検訪問の際にお客様宅に対象製品がないかを確認し、電力検針票とともにチラシを配布。ケアマネージャーが要介護者宅の社告品有無を確認するなど、早期回収に向けたさまざまな活動を展開しています。
また、東芝グループ全従業員に対して、家庭のみならず「ご親戚」「ご近所様」「お知り合い」にも情報提供を依頼するなど、製品の捕捉・改修への協力をお願いしています。

2022年度は国内市場において製品安全にかかわるリコール社告1件を開始し、お客様に安心してご使用いただくために、追加したソフトウェアに更新する予防措置の実施を行っています。対象台数は、住宅用太陽光発電システム 蓄電ユニット(オムロン(株)製)で191台です。

製品セキュリティ強化への取り組み


東芝グループでは、製品・システム・サービスに対するセキュリティを確保するため、製品セキュリティマネジメント体制のもと、品質保証部門、調達部門と連携して、製品の開発プロセスにおけるセキュリティの確保、製品で利用される他社製品のセキュリティの確保について取り組みを行っています。
「セキュア開発マネジメント」、「脆弱性情報ハンドリング」、「サプライチェーンセキュリティ」、「教育・人材育成」を製品セキュリティの重点施策とし、リスクベースの優先順位づけに基づく製品セキュリティ態勢強化計画を策定しています。製品の開発プロセスの各フェーズでは、チェック項目をまとめた「製品セキュリティチェックリスト」、チェックリストに対応するガイドラインと標準推奨ツールの整備をグループ全体で進めています。
調達取引先へは東芝グループの製品セキュリティの考え方をご理解いただくとともにガイドラインを配付し、安全な製品・システム・サービス提供の実現にご協力いただいています。また、東芝グループの多種多様な製品のセキュリティリスクを客観的に判断するための新たな基準を設け、自社製品開発及び調達取引先を含むサプライチェーンにおける、リスクベースによる製品セキュリティ強化への取り組みを進めています。
人材育成の面では、製品セキュリティに関する理解と実践のため、東芝グループのすべての役員と従業員を対象に、毎年製品セキュリティに関するe-ラーニングを実施しているほか、担当業務に応じた人材タイプや役割レベルを定義し、これに基づく専門教育の実施、セキュリティ人材の社内資格認定制度の整備、運営を行っています。これらの活動を通じて、日々の業務において、製品開発時のセキュリティ品質の向上、脆弱性やインシデントに素早く適切に判断、対応できるよう、役職や所属部門を問わず広く製品セキュリティに関わる人材の育成を行っています。
製品セキュリティの詳細な取り組みについては、サイバーセキュリティ報告書をご覧ください。

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