人権の尊重[SDGs] 4 質の高い教育をみんなに[SDGs] 8 働きがいも経済成長も[SDGs] 10 人や国の不平等をなくそう[SDGs] 16 平和と公正をすべての人に

東芝グループは、経営理念において「人間尊重」を基本とし、顧客・株主・従業員など、すべてのステークホルダーを大切にすることを宣言しています。「世界人権宣言」をはじめ、人権や労働などに関する普遍的な原則を支持し、健全な事業活動を通じて人権を尊重していきます。

中長期目標

  • 継続的な人権啓発教育により、人権尊重の意識を浸透させる。
  • 国内の人権啓発研修受講者総数を2020年度実績から10%増加をめざす。
  • 優先的に取り組む地域を選定して人権インパクト・アセスメントを実施し、人権リスクが高い拠点に対して人権デューディリジェンスを100%実行する。

2020年度の成果

  • 現代奴隷法に対応したステートメントの作成・更新
  • 東芝グループ行動基準の「人権の尊重」に関するe-ラーニングを実施し、受講率99%を達成
  • 国内の人権啓発研修を120回実施し、のべ7,300人が参加
  • 国内・海外の連結グループ会社を対象とした人権に関する調査を211社に実施

今後の課題と取り組み

人権インパクト・アセスメントによって特定した人権リスク(潜在リスクも含む)及び毎年国内外グループ会社に実施している人権に関する調査の結果を基に、計画的な改善に努めます。また、外国人技能実習生の人権リスクなど、日本特有な人権リスクについても国内のグループ会社に対して調査を行い、リスクを回避・低減するための仕組みづくりに取り組んでいきます。更に、人権に関する有識者やステークホルダーとコミュニケーションをとり、人権課題への理解を深め、世界の動向を注視していきます。人権啓発教育については継続的に実施し、職場でのトラブル発生を防ぐこと、あらゆる差別事象を発生させないことに努めていきます。

人権の尊重に関する方針

東芝グループは、東芝グループ行動基準において人権の尊重を第1条に定めて、人権に配慮した企業活動を行うことを宣言していますが、近年のグローバル社会における人権に対する意識の変化を踏まえ、2022年3月に「東芝グループ人権方針」を策定しました。企業活動が人権にインパクトを与えることを理解し、東芝グループの企業活動にかかわるすべてのステークホルダーの人権を尊重することで、企業としての責任を果たしていきます。

方針の策定にあたっては、国連グローバル・コンパクトの署名企業として、国連ビジネスと人権に関する指導原則や世界人権宣言、ISO26000をはじめとする国際規範やガイドラインを参照し、人権を専門とした外部機関の意見や提案を反映しています。本方針は、東芝グループ行動基準および東芝グループサステナビリティ基本方針を補完する関係にあり、役員・従業員を含む東芝グループで働くすべての者に適用し、ビジネスパートナー、調達取引先およびその関係者に対しても本方針に沿った活動を求めていきます。

なお、本方針の運用の責任は、サステナビリティ推進部、人事・総務部の担当執行役が担っています。

東芝グループ行動基準

東芝グループ人権方針 (PDF形式)(486KB)

企業活動において参照している人権関連の国際的規範やガイドラインなど

  • 世界人権宣言
  • OECD多国籍企業行動指針
  • 責任ある企業行動に関するOECDデュー・ディリジェンス・ガイダンス
  • ビジネスと人権に関する指導原則(国連)
  • 国連指導原則報告フレームワーク
  • 労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言
  • 多国籍企業及び社会政策に関する原則の三者宣言(ILO)
  • 国連グローバル・コンパクト
  • ISO26000(社会的責任に関する手引)
  • GRIスタンダード
  • RBA (責任ある企業同盟) 行動規範

人権の尊重への取り組みは、東芝グループだけでなくサプライチェーンにわたって徹底していくことが重要であると認識し、「東芝グループの調達方針」のなかで「調達取引先様へのお願い」として人権への配慮について遵守を依頼するとともに、CSR調査を通じて遵守状況を確認しています。

東芝グループの調達方針

現代奴隷法への対応

東芝グループでは、英国現代奴隷法や豪州現代奴隷法に基づき、奴隷労働と人身取引に関する声明を開示しています。

株式会社 東芝 (PDF形式)(156KB)

Toshiba International (Europe) Ltd (PDF形式)(113KB)

Toshiba Europe Limited (PDF形式)(131KB)

Toshiba TEC U.K. Imaging Systems

Toshiba (Australia) Pty Ltd (PDF形式)(401KB)

Toshiba International Corporation Pty Ltd (PDF形式)(4.41MB)

過去のステートメント

人権を尊重するための体制

人事・総務担当執行役を委員長とする人権啓発推進委員会のもと、人権尊重に関する基本方針に則り、主要研修項目を織り込んだ人権啓発研修計画を策定・実施しています。また、人事・総務部は、人権啓発推進委員会の事務局として、人権啓発に関する基本方針の策定と全社への徹底、社内推進体制の確立、教育・研修に関する全社方針の立案・推進、研修資料の作成、指導員の育成、研修状況フォロー、社外団体に対する折衝・とりまとめ、東芝グループ内に対する指導・援助などの活動を行っています。

推進体制

推進体制

人権リスクの特定、モニタリング

東芝グループでは、事業活動を行うなかでどのような人権リスクがあるかについて、ISO26000に基づく活動レビューなどにより点検を行ってきました。また、2017年度は米国のCSR 推進団体であるBSR (Business for Social Responsibility) とともに、事業別の人権インパクト・アセスメントを再度実施し、人権に関して東芝グループの事業活動がどのような影響を与えているかについて理解を深め、以下の重要な項目を認識しました。

人権インパクト・アセスメントの実施手法

人権インパクト・アセスメントの実施手法

人権インパクト・アセスメントで抽出された主な人権テーマ

この結果に基づき、事業分野や国・地域ごとに異なる人権課題への対応について、各社の現状を把握して、問題がある場合には適切な対応を図っています。また、継続的な状況のモニタリングとして、国内外のグループ会社を対象とした人権に関する調査(人権デューディリジェンス)や調達取引先を対象としたCSR調査、鉱物調達調査などを行っています。

調達取引先を対象としたCSR調査

鉱物調査

人権デューディリジェンス関連プロセス

人権デューディリジェンス関連プロセス

人権に関する調査は、東芝グループ リスクマネジメントシステムのプログラムの一環として行い、児童労働や強制労働に関する内容を中心に2005年から継続的に行っています。
2020年度はグループ211社に対して調査し、アジアのグループ会社の一部で雇用に際して行う健康診断において、必要性が認められない妊娠検査や医学的検査が行われていることがわかりました。その後の詳細調査やインタビューにより、これらの検査は勤務に支障がないかという確認や採用後の勤務形態を検討するためであることが判明しましたが、同時に、このような検査が差別につながるという認識が不足していることも明らかとなりました。検査を行っていた会社では、その結果が差別につながる可能性があることを理解し、現状の採用規定やハンドブックなどを見直して、グローバル基準やRBA行動規範に準拠した内容に変更するなど改善を行っています。また、日本国内のグループ会社に対しては、借金による強制労働のリスクが高いとされる外国人技能実習生について調査を行い、2020年12月現在、ベトナム、タイ、中国からグループ合計で287名の技能実習生を受け入れていることが確認できました。2019年には、日本国内の関係法令を遵守していることは確認していましたが、今後は技能実習生がこれまでに法外な手数料を請求されていないかなど更なる調査を行い、技能実習生の人権侵害が発生しないよう施策を検討し、講じていきます。

人権を尊重するための教育・啓発

人権啓発推進委員会が中心となって、従業員への人権尊重意識の浸透を図り、グループ全社・全事業場を対象に、「東芝グループ行動基準」の周知徹底や、入社時及び昇格・役職任命前後の研修で人権教育を実施しています。

人権啓発研修

日本国内の東芝グループ会社において、人権問題をテーマにした「一般者・役職者研修」、新入社員を対象にした「新入社員研修」、資格昇格者を対象にした「資格昇格者研修」、採用面接官を対象にした「採用面接官研修」などを2020年度は120回実施し、のべ7,300人が参加しました。

人権週間講演会

毎年12月に、人権週間及び東芝グループサステナビリティ月間の行事として「人権週間記念講演会」を開催しています。2020年度は「同和問題(部落差別)に関する基本認識」と題し、同和問題(部落差別)とは何か、同和問題の歴史的経緯、同和問題解決に向けての対応について(公財)東京都人権啓発センター古田武夫氏にご講演いただきました。また、サステナビリティ経営で重要となる人権については、ロイドレジスタージャパン株式会社の冨田秀実氏に「ESG投資時代のビジネスと人権」と題して、東芝グループで必要な取り組みをご説明いただきました。
なお、両講演の動画は、東芝グループ国内従業員が閲覧できるように社内ホームページで掲載しました。


  • ※東芝グループでは、2006年度から、毎年12月をサステナビリティ月間(2020年度にCSR月間からサステナビリティ月間に改称)と定めて、さまざまな取り組みを行っている

古田武夫氏「同和問題(部落差別)に関する基本認識」

富田秀実氏「ESG投資時代のビジネスと人権」

人権に関するリスクマネジメント事例集の公開

社内ホームページ上に人権侵害に関連する外部事例を掲載し、従業員の意識啓発を図っています。リスク管理のポイントや、関連法令などをわかりやすくまとめて紹介しています。

人権ワークショップ

東芝グループにおける人権課題についての理解を深めるために、各地域で人権ワークショップを実施しています。

人権ワークショップの実施実績
実施時期 場所 参加者 内容
2020年1月 日本 東芝グループ CSR推進者、ハラスメント相談窓口担当、多様性推進担当者約150人
  • 外部講師によるLGBT理解促進のための研修とワークショップを実施
  • 社内講師による最近のハラスメント動向の研修とワークショップを実施
2019年3月 日本 東芝グループ CSR推進者24人
  • 「ビジネスと人権に関する指導原則」に基づいた人権デューディリジェンスの重要性について理解を深化
  • 人権ワークショップでケーススタディを通して、潜在リスクの洗い出し方やリスク回避、また未然防止策について学習
2018年3月 日本 東芝グループ CSR推進者40人
  • 人権に関するグローバルな動向や人権問題の背景及びビジネスにかかわる人権侵害のリスクについて、外部講師による勉強会とワークショップを実施
  • ワークショップでは、事業グループ別にバリューチェーン上の人権リスクを確認
2015年4月 タイ タイ東芝グループ現地法人14社の人事・総務・調達責任者、担当者33人
  • グローバルな人権問題及びタイにおける人権侵害について学習
  • 各社で起こり得るリスクについてグループ会社間で意見交換、情報の共有
2014年12月 日本 国内の東芝、グループ会社24社の人事・総務担当者53人
  • 「世界人権宣言」や「国連ビジネスと人権指導原則」などのグローバルなスタンダードについて学習
  • 事業ごとのバリューチェーンの各ステップで想定される人権リスクを洗い出すワークショップを実施
2014年11月 中国 中国の東芝グループ31社の人事総務責任者54人
  • グローバルな問題への理解、自社で起こりうるリスク、ビジネスへの影響について、具体的な事例をもとに学習
2014年2月 フィリピン アジア地域9か国の人事責任者45人
  • 人権侵害の事例や国際規範の概要に関する講義
  • 自国で想定される人権リスクについてのグループディスカッション

2019年3月に日本で行われた人権ワークショップ

2019年3月に日本で行われた人権ワークショップ

2019年3月に日本で行われたワークショップの様子

ハラスメント防止教育

東芝グループでは、「東芝グループ行動基準」で、東芝グループの役員・従業員の行動規範として、人種、宗教、性別、国籍、心身障がい、年齢、性的指向などに関する差別的言動、暴力行為、セクシャルハラスメント、パワーハラスメント(職場のいじめ、嫌がらせ)等の人権を侵害する行為をしないことを明示しています。
こうした考えのもと、就業規則や労働協約において、セクシャルハラスメント、パワーハラスメントなどのハラスメントを禁止し、その行為者に対しては懲戒に処することを定めています。
また、職場ごとの相談窓口を設置し、窓口担当者向けの研修を定期的に実施しています。
2020年度は、ハラスメントに関する基礎知識を習得し、相談を受ける際の心得・対応方法についてオンラインで研修を行いました。

2021年2~3月に行われたハラスメント相談窓口担当者向け研修の様子

2021年2~3月に行われたハラスメント相談窓口担当者向け研修の様子

2021年2~3月に行われたハラスメント相談窓口担当者向け研修の様子

ダイバーシティ&インクルージョンの推進

通報・相談窓口の設置

東芝グループは、従業員や取引先向けの窓口を通じて、人権にかかわる内部通報や相談を受け付けています。

従業員向け通報窓口「東芝相談ホットライン」

東芝は、法令違反、不正取引など、コンプライアンス違反にかかわるリスクの発生を未然に防止することや、問題の解決を促すことを目的に、法令、社会規範、企業倫理、東芝グループ行動基準、社内規程などに照らして問題と思われる行為についての情報提供や相談を受ける窓口として「東芝相談ホットライン」を設置しています。この窓口では、東芝国内グループで働く従業員(非正規従業員も含む)が個々に抱える悩みについても相談を受けており、職場風土や人間関係、人事処遇、ハラスメントなどに関する相談を、電話又は電子メールにて記名・匿名を問わず受け付け、専任の相談員が対応しています。なお、通報者・相談者の了解が得られない限り、所属・氏名・連絡先などの個人情報はほかに開示しないことになっています。また、通報・相談をしたことによって、通報者・相談者が不利益な取り扱いを受けることがないように社内規程で規定されています。
2020年度は、「東芝相談ホットライン」へ129件の通報があり、いずれも通報者本人の同意を得てから本人や関係者へのヒアリングを実施するなど、相談に対応しています。

※ 東芝及び国内連結対象子会社に限る

従業員向け相談窓口「ハラスメント相談窓口」

東芝グループは、従業員がハラスメントを相談しやすい体制を構築し、相談者と相談員で一緒になって考え、風通しのよい働きやすい企業風土づくりをめざしています。主要グループ会社では「ハラスメント相談窓口」を設け、相談員を男性・女性1人ずつ配置しています。

従業員向け通報窓口「監査委員会ホットライン」

東芝は、執行役社長の指揮命令を受けない監査委員会に対して直接通報できる「監査委員会ホットライン」を2015年度に設置しました。監査委員会ホットラインは、法令違反、不正取引など、主としてコンプライアンス違反にかかるリスクの発生を未然に防止することや、 問題の解決を促すことを目的として開設しています。

取引先通報制度「クリーン・パートナー・ライン」

調達取引に関連した従業員のコンプライアンス違反を防止するため、調達取引先から通報を受け付ける取引先通報制度「クリーン・パートナー・ライン」を2006年4月から設けています。

リスクマネジメント・コンプライアンス

ステークホルダーとともに進める活動

業界、団体での活動への参加

国際機関や業界における人権問題への取り組みに積極的に参加しています。

  • 電子業界のCSR推進団EICC(現Responsible Business Alliance) (2011年加盟)
  • 米国CSR推進団体BSR主催 「人権分科会(グローバル)」(2015年度以降継続)
  • 米国CSR推進団体BSR主催 人権勉強会「Japan Human Rights Study Forum」(2012年度)
  • 経済人コー円卓会議日本委員会(CRT)主催 人権課題の特定・対処について実践的に議論する 「ステークホルダーエンゲージメントプログラム」(2014~2017年度)
  • 経済人コー円卓会議日本委員会(CRT)主催 人権セミナー「2016 ビジネスと人権に関する国際会議 in 東京」
  • 経済人コー円卓会議日本委員会(CRT)主催 人権セミナー「2014 CSRリスクマネジメントに関する国際会議」
  • グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパン (GC-NJ) の「人権デューディリジェンス分科会」(2013~2015年度、2018年度以降継続)
  • (一財)企業活力研究所主催 「新興国等でのビジネス展開における人権尊重のあり方についての調査研究」(2012年度)