イノベーション創出のための
研究開発の強化

東芝グループには、これまで140年余にわたって培ってきた製造業としての技術や経験、実績があります。このフィジカル領域の強みと、50年以上研究を重ねてきたAI技術をベースとしたデジタル技術の強みをかけ合わせた製品・サービスを提供することで、社会課題の解決に貢献します。人々の安心・安全・快適な社会の実現をめざし、社会を支え、情報化社会の進化に貢献するイノベーション創出のための研究開発を強化します。

取り組むべきKPIと実績

研究開発費対売上高比率(%)

2021年度実績 4.6 
2022年度目標 5.0 %以上
2023年度目標 5.0 %以上
2021年度実績 4.6 
2022年度目標 5.0 %以上
2023年度目標 5.0 %以上

2021年度の主な成果

  • 世界最高効率9.5%を達成した透過型Cu2O太陽電池を開発
  • 再生可能エネルギーアグリゲーション向け「電力市場取引戦略AI」を開発
  • ネットワークセキュリティに対する脅威の高まりに備え、ロンドンで世界初の量子暗号通信の商用メトロネットワークを構築
  • 電子レシート化に伴う環境貢献度見える化アプリの提供を開始

研究開発の方針


世界では、再生可能エネルギー転換を中心としたカーボンニュートラル化が加速しています。また、自然災害の激甚化、社会インフラの老朽化、労働人口の減少、パンデミックや地政学リスクによるサプライチェーンの寸断やサイバー攻撃などの脅威から、インフラレジリエンスへのニーズが高まっています。東芝グループでは、デジタル化によってエネルギー・インフラ分野の進化を加速する「エネルギー×デジタル」及び「インフラ×デジタル」を戦略として掲げ、強い差異化デバイス、コンポーネントやCPS技術(サイバーフィジカル技術)の強みを生かし、直面する社会やお客様の課題に対し最適な解決策の提供に取り組んでいます。
「エネルギー×デジタル」においては、”つくる”、”おくる”、”ためる”、”かしこくつかう”のエネルギーチェーンの一貫したカーボンニュートラル化を推進します。「インフラ×デジタル」においては、“そなえる”、”みつける”、”まもる”、”つづける”のレジリエンス・ライフサイクルを通して、長年のプラント設計・運転・保守のノウハウとAIやセキュリティなどのデジタル技術を融合した商品・技術・サービスを提供します。強い差異化デバイスである半導体・ストレージにおいても、量産ラインの増強、化合物半導体開発の推進などを通した商品力強化を進めていきます。
東芝グループは、経営理念 「人と、地球の、明日のために。」 のもと、これらの取り組みを通して喫緊の社会課題である気候変動対応やインフラレジリエンスの解決に誠心誠意取り組んでまいります。

詳細は以下ウェブサイトをご覧ください。
 

研究開発体制


東芝グループの研究開発の体制は、東芝の研究開発部門と主要グループ会社の研究開発部門及び設計・技術部門からなり、研究開発を各部門で機能分担し効率よく進めています。東芝の研究開発部門では、中長期的な視点で基盤技術を深め、新規事業領域の研究や革新的かつ先行的な研究開発に取り組んでいます。

主要グループ会社の研究開発部門及び設計・技術部門では、事業ドメインの基盤技術を支え、事業計画に則った新たな商品や差異化技術の開発、及び顧客ニーズをとらえた商品化・量産化に取り組んでいます。これら部門の密接な連携により、市場に商品を送り出しています。

詳細は以下ウェブサイトをご覧ください。
 

研究開発費


東芝グループでは、イノベーション創出のための研究開発の強化をマテリアリティと定め、研究開発費対売上高比率をKPIに設定しています。
東芝グループの売上高に対する研究開発費率は、約5%で推移しています。

研究開発費対売上高比率

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
(目標)
2023年度
(目標)
4.5% 4.5% 4.7% 4.9% 4.6% 5.0%以上 5.0%以上
2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
(目標)
2023年度
(目標)
4.5% 4.5% 4.7% 4.9% 4.6% 5.0%以上 5.0%以上

研究開発費(実績)

2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
1,787億円 1,675億円 1,589億円 1,505億円 1,519億円
2017年度 2018年度 2019年度 2020年度 2021年度
1,787億円 1,675億円 1,589億円 1,505億円 1,519億円
  • メモリ事業分野にかかわるものを除く。メモリ事業分野を含めた研究開発費は2,978億円

研究開発費内訳(2021年度)

社会課題の解決に貢献する研究開発事例


世界最高効率9.5%を達成したCu2O太陽電池の開発
対応する社会課題 : 気候変動への対応


東芝は、低コストで高効率なタンデム型太陽電池の実現に向けて活用が期待されている透過型亜酸化銅(Cu2O)太陽電池において、発電層の不純物を抑制し、発電面積を従来の3mm角から10mm×3mmに拡大したことで、世界最高の発電効率9.5%の実現に成功※1しました。更に、このCu2O太陽電池をシリコン(Si)太陽電池に積層したCu2O/Siタンデム型太陽電池が、Si太陽電池の世界最高効率26.7%※2を超えるポテンシャルを有することを確認しました。本太陽電池を電気自動車(EV)に搭載した場合、充電なしの航続距離は1日当たり約37kmと試算することができます※3。カーボンニュートラル実現に向けた課題の1つである「運輸の電動化」への貢献に向け、2025年度を目標に実用サイズのCu2O/Siタンデム型太陽電池の製造技術の完成をめざします。

発電効率9.5%の透過型Cu2O太陽電池セル

EVへのCu2O/Siタンデム型
太陽電池搭載イメージ

再生可能エネルギーアグリゲーション向け「電力市場取引戦略AI」の開発
貢献する社会課題 : 気候変動への対応


東芝は、再生可能エネルギーアグリゲーション向けに、電力市場取引における事業者の戦略的取引を支援する「電力市場取引戦略AI」を開発し、東芝ネクストクラフトベルケ(株)及び東芝エネルギーシステムズ(株)が参加する経済産業省の再エネアグリゲーション実証事業において、2021年12月1日から開始した実証実験で活用されました※1。このAIは、電力会社から高い評価を得た東芝独自の高精度な予測技術を用いた再エネ発電量予測※2と市場価格の予測に基づき、各アグリゲーターの戦略的取引を収益最大化の観点で最適化します。東芝は、再エネアグリゲーターへの包括的な支援を通じ、再エネの主力電源化の促進、長期的な電力の安定供給へ貢献することで、気候変動への対応に取り組みます。

  • 令和3年度再生可能エネルギーアグリゲーション実証事業を完了(2022年3月29日)
  • 2019年度に、北海道電力株式会社主催の太陽光発電量予測技術コンテストでグランプリを受賞

世界で初めて量子暗号通信商用メトロネットワークをロンドンに構築
貢献する社会課題 : サイバーレジリエンスの強化


東芝、東芝デジタルソリューションズ(株)と英国BT Group plcは、量子コンピューティング時代におけるネットワークセキュリティに対する脅威の高まりに備え、2022年4月26日より英国ロンドンにて世界初※1の量子暗号通信の商用向けメトロネットワークのトライアルサービスの提供を開始しました。量子暗号通信は、暗号化を行うために暗号鍵を量子の一種である光子にのせて伝送します。「光子は分割できない」、「光子の状態は完全にコピーできない」という量子力学的な性質を使って暗号鍵を通信するため、暗号鍵を盗むことができず、理論上盗聴が不可能です。この暗号通信技術を用いることで、サイバー攻撃からのデータ通信基盤保護やデータの安全利用・長期保存が可能となります。本トライアルサービスにより東芝と東芝デジタルソリューションズ(株)が提供する量子暗号通信(QKD:Quantum Key Distribution)がどのように安全にデータを拠点間で転送できるかを示し、量子暗号通信ネットワークが顧客企業にもたらす効果を明らかにしていく予定です。
今後も量子暗号通信技術の開発を進め、情報化社会に求められるサイバーレジリエンスの強化に取り組みます。

  • 東芝及びBT Group plc調べ、2022年4月27日現在

電子レシートサービスを活用した環境貢献度見える化アプリの提供開始
貢献する社会課題 : 気候変動への対応


東芝データ(株)は、東芝テック(株)が開発、運営している電子レシートサービス「スマートレシート®※1」を活用して、レシート電子化に伴う紙レシート削減量(cm)、CO2削減量(リットル)を推計※2し、数値化することを可能にしたウェブアプリ「わたしの環境貢献度」を提供開始しました。お客様一人ひとりの行動が環境や社会にとって優しい選択となっている事実を数値として可視化し、行動変容についてアプリでのキャラクター「ほっきょくぐま」が感謝を伝えます。自身の貢献を実感・楽しみながらSDGs13番「気候変動に具体的な対策を」に貢献できるアプリです。

  • スマートレシートは東芝テック(株)の登録商標です。
  • レシート長は概算であり、実際の長さとは異なります。

アプリ画面例
個人の環境貢献に対する行動変容について
感謝を伝えるアプリキャラクターの「ほっきょくぐま」

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