- 電力流通
作業停止計画の策定を効率化します
作業停止計画とは
電力流通を支える変電所などの電力設備の工事や保全作業などを行う際は、設備を停止する必要があり、設備の停止には様々なことを考慮する必要があります。例えば、設備を停止した際にも問題なく電力を供給可能な経路が存在するか、設備を停止した状態で系統に事故が発生したとしても問題なく電力供給可能であるか、工事や保全作業を実施するリソースは確保可能か、など非常に多くの要素を考慮しながら設備停止作業のスケジュール調整(計画策定)していく必要があります。これらの調整は、「停電作業調整」や「設備作業停止計画」、「設備停止計画」とも呼ばれます。
現状の作業停止計画の策定
作業停止計画の策定は、各所への設備停止作業要求や系統運用主管による作業調整のすべてが手作業で行われており、その調整が年々難化しています。
<難しさの要因(一例)>
- 近年の再エネ大量連系、あるいは経年設備の増加による作業調整の複雑化
- 再エネ連係に伴うセミオフグリッド化による停止制約の多様化
- 再エネ導入に伴い、需要家側からの逆潮流が発生し、これまでの重負荷順調流に加えて再エネ連係の拡大による「軽負荷逆潮流」での調整が必要
- 停止中系統でのN-1信頼性確保対策とともに再エネ出力抑制回避を考慮した最適系統構成の決定問題
- 働き方改革等の業務環境の変化
東芝は新たな手法を用いて、年間・月間停止作業計画での作業系統の構成と調整を自動化する「作業停止計画支援システム」を開発し、複雑・多様化するお客様の電力系統運用のサポートに貢献します。
なお、東芝のエネルギーIoTサービス「TOSHIBA SPINEX for Energy」に作業停止計画策定支援を実装(オンプレ/クラウド双方に対応)し、お客様にサービスをご提供予定です。
作業停止計画策定支援システムによる効果
本システムでは、業務の流れを根本から見直すことで大きな効率化が期待できます。
- 停電作業要求を行う設備主管に対し、停止可能日を事前に提示。
- 保安規程に基づく変電機器点検計画の最適化を図ります。 (長期スパンで平準化、停電回数の最小化など)
- 大量の作業要求での個々の作業要件による年間等指定期間の最適計画を策定します。
業務の効率化想定 | |
---|---|
停電作業調整業務(作業要求から調整全般) | 1/4 程度に削減 |
変電機器点検計画業務 | 1/4 程度に削減 |
作業停止計画策定支援システムの主な特徴
❶ 停止作業調整業務の効率化
停電作業調整専用のユーザインタフェースを提供します。
a.全供給ルートの年間停止可能日と作業中の最適系統構成を自動作成します。
・電圧、潮流制約による停止可能日抽出
・供給信頼度維持対策(最適系統構成)の作成
・同時作業制約(残回線事故時等での停電復旧ルート)の明示
b.複数作業の同調・同時停止回避と自動調整を行います。
・抽出した停止可能日と点検計画の紐付け
・同調/作業制約基づく目的系統作成
・管内整合性判定(基幹系との協調含む) など
c.電力系統作成のための各種計算エンジンによる自動計算
・最適潮流計算(OPF)における電圧調整の自動化(発電機Q、連変タップ、調相器)
・潮流制約付き経済負荷配分計算
・送電可能電力の最大を目的関数とした系統構成の作成 など
❷ 作業計画の最適化エンジンを搭載
a.変電機器点検計画の策定支援
・変電所内最適停止グループの作成
・超長期点検計画の平準化
・長期計画での費用最小化/平準化、停電回数の最小化
・年間計画での業務量平準化
b.送電線作業計画の策定支援
・送電線作業計画の支店・全店大集約(工事会社制約等による主管調整等)
東芝が提供する作業停止計画策定支援システムの優位性
- 設備停止件名の各々作業要件及び作業希望日にて多断面の作業系統を作成(送電可能電力最大)
- 上流工程となる設備部門での作業計画を最適化