当社は、ペロブスカイトとシリコンの2つの発電層から成る2端子タンデム型ペロブスカイト太陽電池について、エネルギー変換効率(PCE)31.3%(in house)を実現しました。エネルギー変換効率30%以上は、現在普及している単結晶シリコン型の太陽電池の変換効率より高く、実用化に向けたひとつの節目と考えられており、今般その基準を達成しました。ペロブスカイトは当社が担当し、シリコンは京セラ、明治大学、豊田工業大学、名古屋大学の協力を得ました。電極形成等は、当社の共同研究機関である産業技術総合研究所及び電気通信大学の協力を得て作製しました。測定は新潟大学で行いました。

 

2025年2月に閣議決定された第7次エネルギー基本計画では、2040年度の全エネルギーに占める再生可能エネルギーの比率を4割~5割、太陽光発電について23%~29%に引き上げることを目標として掲げています。特にペロブスカイト太陽電池については2040年度までに20GWの導入目標が掲げられる程に期待されています。

 

当社は現在、シリコン型の太陽電池を用いた産業用太陽光発電システムの事業を行う一方で、ペロブスカイト太陽電池をはじめとした次世代太陽電池の開発にも力を入れており、2020年からタンデム型ペロブスカイト太陽電池を開発しています。本太陽電池はペロブスカイトとシリコンの2つの発電層から成る2端子型であり、ペロブスカイトとシリコンが1つのセルとなっています。2端子型タンデム型は、ペロブスカイトとシリコンそれぞれの発電層を持つ構造となっており、それぞれに光を分配し、同等に光電変換することで最大電力が得られます。

 

2端子のタンデム型太陽電池は、従来のシリコン太陽電池と同等のシステムで発電動作が可能であり、既存のシリコン型の太陽電池の置き換え用途として、より発電効率が高く安価な太陽光発電システムの構成要素として期待されています。

 

今般開発した太陽電池は、シリコン太陽電池並の高フィルファクター(FF)のペロブスカイト太陽電池を開発することで、高PCEを達成しました。FFが1に近い程、太陽電池から効率よく電力が取り出せますので、今後のフィールド試験で高い安定性が期待できると考えています。

今後当社は、さらなる大面積化を進めます。

 当社は、カーボンニュートラル社会の実現への貢献を目指し、今後も次世代型太陽電池の実用化に向けた開発を加速していきます。

2端子タンデム太陽電池の構造
2端子タンデム太陽光パネル