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特集・トピックス:ガントリー納入

世界初・超伝導技術を用いた重粒子線回転ガントリー

回転ガントリー
量研/放医研殿ご提供

重粒子線がん治療の可能性、そして課題

日本人の死因の1位と言われる "がん"。日々進歩を続けている治療法の中で今「重粒子線がん治療」が注目を集めています。加速した炭素イオンをがん病巣に照射する治療法です。

X線やガンマ線を用いた治療に比べ線量集中性が高く照射回数が少ないため、治療期間が短くなり、患者様の負担を軽減することが可能です。
一方で従来型の重粒子線がん治療で課題となっていたのは、機器の都合上、照射の方向に制限があることでした。脊髄や神経など重要器官を避ける必要がある場合、患者様を傾けて不自然な体勢で治療しなければならないなど、患者様の肉体的負担も大きいものでした。

また任意の角度から照射を可能にする技術が「回転ガントリー」ですが、従来の粒子線治療装置の回転ガントリーは巨大であり、一般医療施設での導入が難しいという問題がありました。

世界初、超伝導電磁石を採用した回転ガントリー

患者様の負担を減らした安全な治療および装置の小型化を目指し、量子科学技術研究開発機構 放射線医学総合研究所(放医研)と東芝は共同で、世界で初めて超伝導電磁石を採用した回転ガントリーを完成させました。重粒子線を様々な方向から照射可能な重粒子線回転ガントリーは、東芝の超伝導電磁石を用いることで従来型(全長25m)と比べ直径11m、長さ13mと大幅な小型、軽量化を実現しています。小型化により一般輸送も可能になり、2017年には放医研新治療棟に設置されました。

量研/放医研殿ご提供

世界で初めて超伝導電磁石を採用した回転ガントリーの外観

量研/放医研殿ご提供

回転ガントリーの工場出荷の様子

量研/放医研殿ご提供

回転ガントリーの深夜輸送の様子

最新技術を、治療に関わるすべての人のために

この回転ガントリーを用いた重粒子線がん治療は2017年5月から開始されました。1例目となる頭頸部がん患者様の治療は、16回照射(4週間)を行い、6月2日に終了しました*1。角度を細かく調節することで重要器官を避けてがん病巣に重粒子線を集中できるため、より精度の高い照射や自然な姿勢での治療など、患者様の負担を軽減した治療を実現しました。

今回、超伝導電磁石を用いて回転ガントリーが大幅に小型化したことにより、粒子線治療装置の一般医療施設への導入が可能になります。がん治療の現場に重粒子線がん治療がより身近な存在になっていくことでしょう。また回転ガントリーと呼吸同期3次元スキャニング照射の組み合わせ実現により、治療効率を向上させています。このような新しい技術が、照射精度の向上、治療時間の短縮、患者様への肉体的・社会的負担の低減、さらにこれまで治療困難であったがんの克服にも力を発揮していきます。

この画期的な「重粒子線がん治療用超伝導回転ガントリー照射装置の開発」が認められ、東芝、放医研とともに平成29年度科学技術分野の文部科学大臣表彰科学技術賞(開発部門)を受賞しました。

回転ガントリー技術は患者様の負担を減らし、治療はもとよりQOL(クオリティ・オブ・ライフ)にも貢献できる技術です。患者様、そしてがん治療に携わる医療従事者の皆様を含め、すべての人たちの負担を軽減する技術が、重粒子線がん治療の世界普及、さらには日本の粒子線治療装置の国際競争力向上にも寄与していきます。あらゆる最新の技術は患者様も含めた重粒子線がん治療に関わるすべての人のために。これからも東芝の重粒子線がん治療分野への挑戦は続きます。

*1: 日本初となる回転ガントリーを用いた重粒子線がん治療を開始 | 放射線医学総合研究所(放医研)
https://www.qst.go.jp/site/qms/1489.html(国立研究開発法人量子科学技術研究開発機構)

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