私たちの原子力発電所は、
安全、安心はもちろんのこと、その技術の先進性をもって、
発電所の存在が、関わる人々にとって心身共に快適であり、
関わる人々にとって誇りであり、
将来の人々の営みにエネルギーを送り続けることで、
豊かな生活の実現に貢献します。

実績あるABWRの次世代型後継機で電力の安定供給に貢献


iBRは、カーボンニュートラル社会の実現と、様々なエネルギー問題を解決し、新たな社会との共生の関係を築き上げることを目指しています。


将来にわたり持続的に成長する社会のためには、カーボンニュートラル社会の実現が不可欠です。これからの世界ではエネルギー需要の増加が見込まれるため、再生可能エネルギーだけでなく、脱炭素に貢献しうる様々なエネルギー源を活用する必要があります。特に資源に限りがある日本では、安定的かつ多様なエネルギー供給構造の実現が求められます。

iBRは、東芝がその持てる経験と技術を惜しみなく投入した、革新的な原子力発電システムです。様々なエネルギー問題の解決の一助になると自負しています。

東芝は、カーボンニュートラル社会の実現に向け、安全で、安心して使える技術・ソリューションを提供していきます。

iBRは、innovative, intelligent, inexpensive BWRを略したものです。

エネルギー問題解決に貢献するiBR


次世代のベースロード電源に求められる性能


iBRは、大容量電気出力(135万kW)の実績を誇る、東芝のABWRを進化させ開発されました。ベースロード電源として最適な大容量電力の提供はもちろん、再生可能エネルギーと共存できるよう、電力需給調整にも柔軟に対応する能力も合わせ持った、次世代の原子力発電システムです。

そして、安全に運転されることは原子力発電システムが安定的にエネルギーを供給するために何よりも重要な要素と東芝は考えます。安全システムには大規模自然災害に対する深層防護を考慮し、新規制基準への適合だけでなく、高信頼度での放射性物質の閉じ込め、外部支援なしで最大7日間のグレースピリオド(運転員操作不要期間)を確保した、軽水炉トップクラスの安全性を実現しています。

大容量電力を安定的に提供

建設実績のあるABWRをベースに、大容量の電力を安定的に提供。ベースロード電源としての役割を担います。

再生可能エネルギーとの共存

沸騰水型原子炉(BWR)特有の再循環流量制御を活用することで、電力需要や再生可能エネルギーの天候などによる変動に合わせ、柔軟に出力調整ができます。

ひとりひとりの安全な暮らしに寄与

万が一、事故が発生した時にも、高信頼度での放射性物質の閉じ込め、外部支援なしで最大7日間のグレースピリオド(運転員操作不要期間)を確保。軽水炉トップクラスの安全性で、住民の安全な暮らしに寄与します。

社会的・環境的な安定を実現

合理的で経済性の高い運用により、持続可能な社会の実現に寄与します。

iBRについて

発電プラントに求められることは、いかにエネルギーを安定供給することができるかという点です。原子力発電プラントにおいてその機能を実現するため、以下の3つの要素が不可欠であると東芝は考えます。

まず第一に、安全性の高いシステムであること。

次に、高度なシステムを実際に構築・運用できるように作り上げることができる実現性。

そして合理的な経済性です。

東芝だからこそ実現可能な、次世代の原子力発電システムをご紹介します。

安定供給 大容量電力と柔軟性、そして安全性を実現

iBRは、ABWRで実績を積み上げた大容量電力と、最新技術による革新的な安全設計により、これまでにない安全性を兼ね備えた、次世代を担う革新炉です。


ABWRのシンプルな原子炉系を継承


原子炉圧力容器内に蒸気発生システムを統合したBWRから、ABWRではさらにインターナルポンプの採用で外部再循環配管を不要にし、炉心より下方の大口径配管をなくすことで、LOCA(Loss-of-Coolant Accident)時の影響を緩和した高い安全性を有します。


革新的な静的安全システムを採用し、安全性が飛躍的に向上


ポンプなどの装置が不要な静的原子炉冷却システム(PRCS)、静的格納容器冷却システム(PCCS)、コアキャッチャ、放射性物質(FP)を封じ込める静的フィルタシステム(PFS)などを備え、万が一事故が発生した場合でも高信頼度で放射性物質を閉じ込めることができる安全コンセプトです。

緊急避難や長期移住の不要を目指した、革新的安全性


革新的静的安全系 軽水炉トップクラスの安全性


iBRは、事故が発生した場合でも、ポンプなどの装置を必要とせずに原子炉や原子炉格納容器(PCV)を冷却できるよう設計されています。静的原子炉冷却システム(PRCS)、コアキャッチャ、核分裂生成物(FP)を閉じ込める静的フィルタシステム(PFS)、更に二重円筒格納容器の導入など、軽水炉トップクラスの安全性を実現します。万が一、福島第一原子力発電所事故のような過酷事故(シビアアクシデント=SA)が発生した場合でも、高信頼度で放射性物質を閉じ込めます。


二重円筒格納容器の効果 シビアアクシデント時の圧力低減、核分裂生成物閉じ込めに加え、耐震性も強化


iBRは、二重円筒格納容器を採用しています。二重円筒部分(アウターウェル=O/W)の構成により原子炉格納容器(PCV)の容積がその分増加しています。アウターウェルは、ドライウェル(D/W)やウェットウェル(W/W)と同様に耐圧性と気密性を持たせており、シビアアクシデント時に発生する貴ガスや水素を閉じ込めつつ、PCVの過圧破損も防止します。また、二重円筒構造とすることで耐震性も向上しています。

  • 二重円筒格納容器の効果:シビアアクシデント時の圧力低減、核分裂生成物閉じ込めに加え、耐震性も強化
  • 静的原子炉冷却システム(PRCS):長期SBO時にも原子炉を7日間冷却することが可能
  • 静的格納容器冷却システム(PCCS):冷却時、核分裂生成物を外部に放出させないシステム
  • コアキャッチャ:落下した燃料デブリを静的に冷却することが可能

安全システムの区分分離


安全設備を独立して配置し、安全機能を確保


iBRの安全システムは、事故発生時に炉心の著しい損傷を防止する「設計基準事故対処設備」(DB設備)とそれを超えるような過酷事故時に対応する「重大事故等対処設備」(SA設備)で構成されます。これらの設備を多重に配置し、それぞれの区分を分離して独立性を確保することで、内部での火災や溢水のような共通要因で同時に喪失することがないようにしています。
さらに、iBRでは「重大事故等対処設備」となる静的安全システムを建屋上部に、動的安全システムを建屋下部に配置するレイアウトにより、高さ方向での位置分散によっても独立性を確保できるようにし、共通要因に対して安全機能が喪失することを防止しています。

APC対策


外部ハザードへの耐性強化


航空機衝突にも耐える、頑健な鋼板コンクリート(SC)構造ドーム

静的安全システムは建屋内に内包する構造とし、これらは鋼板コンクリート(SC)構造のドームに厳重に守られています。航空機衝突(APC)や、さまざまな自然災害による被害から安全設備を防護します。

東芝のノウハウを駆使したプラント設計


系統構成 実績あるABWRの系統構成を継承


高い安全性能や、カーボンニュートラル社会実現に貢献する発電プラントとなるためには、複雑な技術を合理的に構成する必要があります。東芝は、実績あるABWRの系統構成をベースとしてiBRを設計することで不確定な要素を低減。長年培ったノウハウも駆使し、実現可能な次世代原子力プラントシステムをご提案します。

ヒューマンマシンインターフェース / HMI


HMIコンセプト 人とプラントの能力を最大限に活用


福島第一原子力発電所の事故を教訓に、シビアアクシデント(SA)への対処設備の追加が必要となりました。既存の中央制御室にこれら対処設備が追加される構造では、操作性の面で課題が多くなり、保守の負担も増大します。

iBRでは、中央制御室設計にあたり初期コンセプト段階から再考し、対象となるプラントの状態を拡張し、通常運転時はもちろん、定期検査からシビアアクシデントまで、統一された操作環境を実現します。


中央制御室 コンパクトで運転しやすい操作環境を提供


通常時からシビアアクシデント時、また定検時において、運転員、保修員をサポートするコンパクトで運転しやすい中央制御室を提供します。最新の技術を用いるとともに、通常時はもちろん、非常時にも健全かつシームレスに機能し続けるよう設計します。

ABWR建設の豊富な実績

1966年事業開始からの長年の実績により、さまざまな基礎開発や研究の成果が蓄積されています。豊富な実績と知見により、堅実で経済的なプラント建設をお約束します。

さまざまなニーズに対応したフィールド技術を提供

フィールド(建設現場)では、多くの土木、建築、機電工事会社などが錯綜し作業します。東芝はこれら多様なメンバーと、設計、計画段階から綿密に連携することで工事を遂行します。

「並行作業の実施」「現地作業の削減」「現地作業の効率向上」など、更に、下記に示すような具体的な施策や対策を、関係するメンバーと連携・協創し構想、立案、実行することで、効率的にフィールド作業を実行します。

高い経済性を実現


原子炉系合理化設計 革新的なシンプルさを追求してきたBWR~ABWRの歴史


BWRは原子炉圧力容器内(RPV)に蒸気発生システムを統合し、さらにABWRではインターナルポンプ(RIP)の採用で大口径の外部再循環配管が不要となり、シンプルな設計となっています。iBRも同様の特長を踏襲しています。


柔軟な運用性


原子力発電プラントの運用上の経済性を評価する上で、高い電気出力を持つことはもちろん、近年活用が進む再生可能エネルギーと共存するための性能を持つかどうかが重要なファクターとなります。iBRでは、制御棒位置制御だけでなく、再循環流量制御により柔軟な出力制御が可能です。再循環流量制御方式は、再循環流量の調整により炉心の蒸気泡(ボイド)量を加減し、これにより炉心内の出力分布をほぼ一定に保持しながら、高速かつ大幅に原子炉出力を調整することができます。

革新的なシンプルさ
格納容器内の主要機器は、RPVとRIPのみの、シンプルな設計です。

小さな負荷/高いNet出力
RIPにかかる負荷が小さく、所内負荷が抑制されるため、高いNet出力を達成します。

高い経済性を実現 高い経済性を実現

iBRカタログ ダウンロード

iBRの詳細カタログがご覧頂けます。

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