公正な評価・人材育成[SDGs] 5 ジェンダー平等を実現しよう[SDGs] 8 働きがいも経済成長も[SDGs] 10 人や国の不平等をなくそう

東芝グループでは、「東芝グループ理念体系」に「新しい未来を始動させる」を掲げ、その実現のために、誠実で、変革への情熱を抱く多様性に富んだ自律的な人材が、会社の未来を思い描き、お互いに協力し合い、ともに新しい価値を生み出していくことができるよう、風通しのよい企業風土づくり、公正な人事諸制度の構築及び人材の育成・活用に力を注いでいます。

中長期目標

風通しのよい企業風土と一人ひとりが自律的に活躍する創造性と生産性が高い組織づくりを進め、「東芝グループ理念体系」の実現と、成長と変革をリードし挑戦する人材の育成と活躍を実現する。

2020年度の成果

新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、研修を集合形式からオンライン形式に移行の上、階層別研修に「ダイバーシティ&インクルージョンの推進」を反映させて理解と受容を促し、外国籍従業員の活躍支援や多様で自律的なキャリア形成を促す取り組みを拡充。更に、デジタルトランスフォーメーションにより「新しい未来を始動させる」ための啓発と人材育成の取り組みを実施。

今後の課題と取り組み

東芝グループが「新しい未来を始動させる」ために、新しい未来に向かって次々と革新を起こす人材の育成と、組織のなかで担うべき「役割」に応じた成果と行動を適切に評価し処遇する仕組みの定着を図ります。また、多彩な人材育成制度を通じて、今後も東芝グループ従業員一人ひとりのスキルアップと主体的なキャリア形成の支援に取り組むとともに、アフターコロナを見据えた安全健康経営、働き方改革、ダイバーシティ&インクルージョン推進の取り組みを加速させます。

公正な評価・人材育成の基本方針

「新しい未来を始動させる」ため、誠実で、変革への情熱を抱く人材が会社の未来を思い描き、お互いに協力し合い、ともに新しい価値を生み出していく、という考えのもと、全面的にこれを支える仕組みとして東芝グループ人事ポリシーを定めています。

東芝グループ 人事ポリシー

[評価]
挑戦する人を評価し、その行動と成果に正しく報いる
[人材(人材マネジメント、配置、育成)]
成長と変革をリードし挑戦する人材を配置し、育成する
[組織]
一人ひとりが活躍する創造性と生産性の高い組織をつくる

東芝グループ人事ポリシーに基づき、以下の取り組みを行っています。

評価

挑戦する人を評価し、その行動と成果に正しく報いる

東芝グループでは、2020年度から従業員が組織のなかで担うべき役割を明確化し、年齢や勤続に関係なく、ベンチャースピリットをもち、ファーストペンギンとして新しい未来に向かって次々と革新を起こす人材の行動と成果を適切に評価・処遇する新しい人事処遇制度を導入しました。
従業員の職務遂行能力に基づき決定する資格制度から従業員が組織のなかで担う役割を明確にし、その役割に基づき決定する役割等級制度に変更しました。
評価は、組織単位での目標管理を行い、個人の成果・貢献度を評価する「成果評価」(賃金や賞与などに反映)と、「東芝グループ理念体系」を基にそれぞれの役割等級に期待される行動を評価する「行動評価」で決定します。なお、組織長の行動評価については部下からの評価(多面評価)も参考に決定し、成果評価と行動評価により総合評価を決定し、役割等級の昇降級の検討に用いています。
なお、賞与は業績連動型としており、①役割等級別に算出される部分、②会社業績を反映する部分、③成果評価の結果に基づいて決定される個人加算部分で支給額を決定しています。②の会社業績を反映する部分については、従業員一人ひとりの会社業績への責任意識の醸成を目的として賞与支給額へ反映する仕組みとしています。また、③の成果評価については、成果評価のみでなく、行動評価も合わせて上長から本人へ適切なフィードバックを行い、今後の成長につながるよう話し合いを行っています。

人材

成長と変革をリードし挑戦する人材を配置し、育成する

東芝グループでは、後継者や経営人材の育成を重要な経営課題として位置づけており、事業責任者から作業長に至るあらゆる管理職ポジションに対して、計画的に後継者を選抜・育成する「後継者育成計画」を実行しています。
「後継者育成計画」のうち、全社でキーとなる事業部長やスタフ部長ポジションの候補者については「Next150」として、早期育成のために選抜した35歳未満のポテンシャル人材「Future300」と合わせ「経営幹部人材育成プログラム」で集中的な教育・育成を実施しています。
「経営幹部人材育成プログラム」では今後の海外における新規事業の立ちあげや既存事業の海外展開や再拡大、M&A(Mergers and Acquisitions:企業の合併と買収)後のPMI(Post Merger Integration:M&A成立後の統合プロセス)の際に海外で活躍する現地のキーパーソンのうち、グループ全体で活躍できる人材を「Universal」として更に選抜し、計画的な配置・育成を実施しています。
また、グループとして注力する専門領域において極めて高い専門スキルを有する人材を「上級エキスパート」とし、その専門性の高さに応じて「チーフフェロー」、「シニアフェロー」、「フェロー」に任命する人事処遇制度を導入しています。上級エキスパートの最適な配置や教育を通して専門性の更なる向上を図るとともに、継続的に上級エキスパートを輩出することで、事業の競争力強化につなげています。

組織

一人ひとりが活躍する創造性と生産性の高い組織をつくる

東芝グループでは、意思決定プロセスの適正化を図るとともに、上長と部下のコミュニケーションの闊達化を実現するため、組織設置ガイドラインを作成し、最大組織階層数や、下位組織数、適正な構成人数を定めて組織を構築・運営しています。

人材育成のための教育体系

グローバル人材の育成

グローバル人材育成教育グローバル人材育成教育

東芝グループでは、多様な人材の活躍と成長のために、異文化を理解しながら世界のステークホルダーと直接的なコミュニケーションを取って業務を遂行できるグローバル人材育成教育に注力しています。多様性を受容する豊かな人間性と、深く考える力を醸成するため「リベラルアーツ※1教育」を各階層に実施しています。
また、東芝グループの理解深耕とグローバルなブリッジビルダー※2の養成を目的とした「Overseas Management Course」などの全世界合同の教育も行い、グローバル人材育成を図っています。
地域別従業員教育については、特に欧州・アジアで歴史が長く、プログラム開始から20年以上が経過しました。中国では東芝中国教育学院、米州ではToshiba Universityが教育研修を実施しプログラムの強化を図っています。

  • ※1 リベラルアーツ: 教養(深く考えるための技術・知識)のこと
  • ※2 ブリッジビルダー: 海外グループ会社と日本の間で円滑なコミュニケーションを推進できる人材

AI人材の育成

東芝AI技術者教育の様子
東芝AI技術者教育の最終課題発表会で行われた
パネルディスカッションの様子
(受講生はオンラインで参加)

東芝グループが「インフラサービスカンパニー」として飛躍するには、AI技術者の増強が不可欠です。東芝グループではAI技術者を2022年度までに2,000名とする目標を掲げて、AI人材の育成に取り組んでいます。例えば、東京大学大学院情報理工学系研究科と共同で「東芝AI技術者教育」を2019年度上期に立ちあげ、約50人ずつの教育を年に2回開催することで、300人以上のハイレベルなAI人材の育成を進めています。また、従業員の知識レベル・要求レベルに合わせて、AIの知識を習得する基礎講座、AIツールを用いた実習を行う実践講座、深層学習に特化した講座などを立ちあげ、社内教育の充実を図っています。東芝グループのAI人材はさまざまな事業分野で活躍しており、製品・サービスの環境性能向上にも貢献しています。これまでの研究開発の成果は、東芝AI技術カタログをご覧ください。

研修制度

東芝グループでは、従業員が共通してもつべきベースを確立するための教育制度と、個々のニーズとキャリア特性に応じて対応できるプログラムを用意しています。

主な教育区分(東芝グループ正規従業員対象)
教育の区分 概要
基礎教育 東芝グループで働くうえで共通ベースである行動や価値観を身につけるために、コンプライアンスやリベラルアーツについて学びます。
※ 非正規従業員も対象
グローバル教育 「グローバル人材(=自国/地域の業務のみだけでなく、グローバルな東芝グループ又はステークホルダーとの直接的なコミュニケーションを取り、異文化を受容しながら業務を遂行できる人材)」を育成するための教育です。
節目研修 新たな役割(リーダー・管理職など)に任命された時に必要となる基本知識・スキル、マネジメント力の向上を図るための研修です。また、継続的に管理職に必要なマネジメント力の向上を図る研修や、グローバルビジネスで必要な知識・スキルの早期習得を目的とした教育も含みます。
職種別教育
(部門別教育)
職種・部門別にそれぞれの従業員のキャリア段階に応じて、必要な知識・スキルの習得を目的として実施する教育です。
経営人材教育 東芝グループの経営幹部候補者・将来のリーダー候補者を育成する選抜型の教育です。経営幹部層に対しても実施しています。

国内東芝グループ人材育成プログラム体系

国内東芝グループ人材育成プログラム体系
  • ※BSはビジネススクール、ADはアドバンスの略

海外東芝グループ人材育成プログラム体系

海外東芝グループ人材育成プログラム体系
研修受講状況(国内東芝グループ)
  2019年度 2020年度
全社共通の教育・研修の年間受講者数 のべ118,989人 のべ31,455人
全社共通の教育・研修費総額 30億9,000万円 21億円
従業員一人当たりの研修時間(平均) 12.2時間 7.4時間

2020年度は新型コロナウイルス感染症の流行を受けて、感染防止の観点から研修実施を中止や延期した結果、年間受講者数、教育・研修費、従業員一人当たりの研修時間(平均)が大幅に減少しました。一方、研修の形式を従来一般的であった対面形式からオンライン形式への移行を進めたため、20年度下期にはほとんどの研修をオンライン形式で開催できるようにしました。
なお、今回の報告から受講者数については e-ラーニングなどの教育・研修受講者を含めた東芝国内グループの数値を用い、従業員一人当たりの研修時間についても東芝国内グループの従業員数を用いて算出することにしたため、2019年度の数値も見直しています。

キャリア形成を支援する制度

東芝は、従業員一人ひとりを活用・育成する観点に立ってキャリア形成を支援しています。
今後の業務内容と過去の業務成果について上長と確認する「パフォーマンスマネジメント制度」は、従来個人単位で展開していましたが、組織全体の創造性・生産性向上を図るため、組織単位の実施に見直しました。また年に一度、従業員が上長と長期的なキャリア形成の方向性を話し合い、中期的に到達すべき目標や育成・活用方法を共有化する「キャリアデザイン制度」を実施しており、2020年度は全従業員のうち87%が定期的なレビューを受けていることを確認しました。

2020年度 キャリア形成のためのレビュー実施状況(東芝)
実施割合 全従業員の87%が実施
属性別実施割合 男性 88%  女性 82%
役職者 92%  一般従業員 86%

2015年度から、業務に向き合う姿勢や行動について本人、部下、同僚、上司による多面的な調査を行う「360度サーベイ」を導入し、隔年で管理職と経営幹部を対象に行ってきました。直近では2019年度に経営幹部など264人を対象に実施しています。また、2020年度の新処遇制度の導入に合わせ、管理職については従来行ってきた360度サーベイを「多面評価」に改め、2021年度から毎年実施する仕組みとしました。これらの取り組みは、定期的に自身の強み・弱みを客観的に把握することで対象者の成長を促すとともに、リーダーシップを強化し、より健全な組織づくりや組織運営につなげることを主な目的とし、その結果を受け止めて、自らの変革・職場コミュニケーションの促進を図ることで、より良い企業風土づくりにつなげています。

また、2020年度から人事処遇制度全般の見直しに合わせ、従業員の自律的・主体的なキャリア形成を支援するさまざまな仕組みを導入しています。従業員一人ひとりが、自身の置かれている環境の制約や変化に対し受け身にならず、自身の可能性を高めて継続的な成長をめざす環境を整備することで、組織の活性化、企業価値の向上につなげていきます。

従業員の自律的・主体的なキャリア形成を支援する仕組み(東芝及び主要グループ会社
制度名称 概要 実績(2020年度)
年代別
キャリア研修
年代別に、従業員の自律的なキャリア形成を支援するための研修 受講人数 35歳研修 361人
45歳研修 502人
50歳研修 919人
55歳研修 913人
キャリア
アドバイザー面談
社内のキャリアアドバイザーとの面談をとおして、従業員個々のキャリア形成を支援し、組織活性化にも結びつける仕組み 面談人数 1,828人
キャリアチャレンジ
制度
各部門から社内向けに公開された求人に対し、強い意欲と関心をもつ従業員が自ら応募し、選考を経て、異動を実現できる仕組み 異動成立人数 91人
副業 従業員から副業の申し出があった場合は、一定の条件を満たすものについて認めていく仕組み
  • ※2020年度は一部部門でトライアル実施
    2021年度はトライアル部門を拡大して実施
実施人数 58人
社外留職 グループ外の会社・組織との人事交流により組織を活性化し、新しい価値の創造につなげる仕組み 新規派遣人数 2人
Nextキャリア
支援制度
自身のスキルを活かした転職や起業、新しい分野への挑戦等、社外での新たなキャリアを志向する50歳以上の従業員を支援する仕組み 利用人数 25人
  • ※東芝エネルギーシステムズ(株)、東芝インフラシステムズ(株)、東芝デバイス&ストレージ(株)、東芝デジタルソリューションズ(株)

従業員意識調査

東芝グループでは、従業員の声を聞く仕組みとして2003年度から「従業員意識調査(TEAMサーベイ)」を毎年実施し、各種施策に対する従業員の理解度や組織への浸透度を定期的にモニタリングし、見えてきた課題について改善に努め、組織風土の改善に役立てています。
2020年度は、国内外の東芝グループ79社、約6万人を対象に無記名調査を実施し約92%の従業員から回答を得ました。内容としては会社施策に対する従業員の理解度や、能力を発揮するための環境整備状況に加えて、2015年度からは社長及び経営陣に対する意識、コンプライアンス状況などについても項目を設け、調査しています。回答傾向としては、昨年度に比べ「部門長からのフィードバック成長・キャリアに関する仕組み」のスコアが減少しましたが、それ以外の項目は改善しました。特に、「倫理性・誠実さ」、「企業理念の浸透」、「会社への誇り」に関するスコアが大幅に改善し、メイン指標である「エンゲージメントスコア」は前年度より2ポイント改善し、22%でした
この調査結果を基に、経営陣・管理職・一般従業員が一体となって、改善に取り組むべく、まずは上位者である経営陣が率先してコミットメントを表明し、本音を言い合える職場環境づくりに取り組んでいます。トップメッセージの発信、情報開示などを積極的に進めることで、風通しのよい企業風土の醸成に努めています。
また変革を率先して進めていくための組織づくりや組織風土改善のために、各職場におけるアクションプランの作成・推進に加え、従業員意識調査の担当者向けにエンゲージメント向上や組織開発に関する教育を実施し、当事者意識の醸成や組織風土改善に向けた行動を促しています。このように、リーダーシップ・仕掛け・職場のそれぞれがドライバーとなって組織力の向上をめざしています。

全従業員が変革に対するオーナーシップをもち組織風土の改善へ取り組むことをめざす

全従業員が変革に対するオーナーシップをもち組織風土の改善へ取り組むことをめざす

従業員意識調査実施サイクル(年間)

従業員意識調査実施サイクル(年間)
  • ※エンゲージメントに関する6問に「強くそう思う」と「そう思う」を回答した東芝及び主要グループ会社(東芝エネルギーシステムズ(株)、東芝インフラシステムズ(株)、東芝デバイス&ストレージ(株)、東芝デジタルソリューションズ(株))の従業員の割合

相談窓口の設置

東芝は、法令違反、不正取引など、コンプライアンス違反にかかわるリスクの発生を未然に防止することや、問題の解決を促すことを目的として、法令、社会規範、企業倫理、東芝グループ行動基準、社内規程などに照らして問題と思われる行為についての情報提供や相談を受ける窓口「東芝相談ホットライン」を設置しています。この窓口では国内東芝グループで働く非正規従業員を含むすべての従業員が個々に抱える悩みについても相談を受けており、職場風土や人間関係、人事処遇、ハラスメントなどに関する相談を電話又は電子メールにて記名・匿名を問わず受け付け、専任の相談員が対応しています。
2020年度は、職場内のハラスメントに関係する通報など、129件の通報があり、いずれも通報者本人の同意を得てから本人や関係者へのヒアリングなどを実施し対応を行っています。

相談窓口「東芝相談ホットライン」