第14回電気技術顕彰「でんきの礎」として2件の技術が電気学会より顕彰

-超電導マグネットおよび変電機器に関する技術での貢献を評価-

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電力流通

受賞

研究開発・技術

2021年3月10日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 この度、一般社団法人電気学会が選定する第14回「でんきの礎」において、当社が開発した「冷凍機冷却ニオブ・チタン超電導マグネット」、および東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東京電力)、当社、日本ガイシ株式会社(以下、日本ガイシ)、株式会社日立製作所(以下、日立製作所)、三菱電機株式会社(以下、三菱電機)が開発に関わった「100万ボルト変電機器の開発と実証試験」の2件が顕彰され、本日オンラインにて授与式が行われました。

 「でんきの礎」は社会生活に大きく貢献した電気技術の功績を称えるもので、その価値を広く世の中に周知して、多くの人々に電気技術の素晴らしさ、面白さを知ってもらい、今後の電気技術の発展に寄与することを目的とし、技術史的価値、社会的価値、学術的・教育的価値のいずれかを有するおおよそ25年以上経過した電気技術を顕彰するものです。2008年の制度化以降、総計87件が顕彰されており、当社グループとしては、これまで「送信用アレキサンダーソン型高周波発電機」や、「日本語ワードプロセッサ」、「インバータエアコン」、「電球形蛍光ランプ」などが顕彰されています。

 今回受賞した「冷凍機冷却ニオブ・チタン超電導マグネット」は当社が1993 年に実現し、1995 年に商品化に成功した液体ヘリウムを使用しない超電導マグネットです。本マグネットは当社独自の構成となっており、冷凍機には磁性蓄冷材、電流リードには熱侵入の少ない高温超電導体を用いることで、従来使っていた液体ヘリウムを使用しません。このため、操作性・安全性およびコストメリットに優れ、ユーザーと適用分野が拡大し現在までに冷凍機冷却超電導マグネットの世界標準となっています。さらには貴重な資源であり、近年、供給逼迫が懸念されているヘリウムの保護にもつながり、循環型社会を形作る技術の一つとしても、学界・産業界への大きな貢献となった点も評価いただきました。本技術は、「令和2年度科学技術分野の文部科学大臣表彰」※1も受賞しています。
 当社はこの超電導マグネットの技術を用い、これまでに研究機関や産業界へ様々な製品を提供してまいりました。最近では、医療分野では重粒子線治療装置の回転ガントリーに世界で初めて適用し、患者さんの負担軽減に貢献しています。この超電導マグネットはガントリーの回転に伴い方向を360度変えて運用されるため液体ヘリウム冷却方式ではほぼ不可能で、本方式が実用化に大きく貢献しました。

 「100万ボルト変電機器の開発と実証試験」は、電力需要の増大に対応するために、1980年代から始められた100万ボルト(以下、UHV:Ultra High Voltage)昇圧に向けたさまざまな技術開発に加え、実機相当の設備を実際の変電所とほぼ同じ条件で設置して行った各種実証試験の成果・知見とこの技術成果の国内下位系統への展開、およびUHV技術の国際標準化活動推進への貢献などに対する取り組みに対し、総合評価いただいたものです。当時、UHV昇圧は世界的にも過去にほとんど実績のない画期的な取り組みであり、また日本固有の立地条件(地震・台風・山岳立地・機器の輸送制約)や系統条件(大容量・大電流)を踏まえた変電機器開発技術の確立を図っていく必要がありました。当社はUHV変圧器、GIS、避雷器、保護制御システムなどの開発・設計・製造・据付を担当し、東京電力パワーグリッド(株)新榛名変電所(群馬県)構内に建設されたUHV機器試験場での実証試験にも参加しました。UHV技術の国際標準化においては、IEC(International Electrotechnical Commission、国際電気標準会議)の技術委員会や分科委員会に社内から多くの専門家が参加し、各種の関連規格において積極的な活動を通じた貢献をしています。

 当社は、今後もエネルギーを支える様々な要素技術、応用技術を通じて人々の暮らしを支えていけるよう貢献してまいります。

※1https://www.global.toshiba/jp/news/energy/2020/04/news-20200414-01.html

顕賞技術に関する写真

超電導マグネット
超電導マグネット

東京電力パワーグリッド(株)新榛名変電所構内のUHV機器試験場
東京電力パワーグリッド(株)新榛名変電所構内のUHV機器試験場注:東京電力パワーグリッド㈱提供、共同受賞者の㈱日立製作所、三菱電機㈱製作の機器も含めて撮影

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