ニュースリリース

国内初となる自然由来ガスを用いた環境調和型の電力会社向けGISを受注

~東京電力パワーグリッド株式会社 府中変電所へ納入決定~

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2022年07月12日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東電PG)向けに、自然由来ガスを用いたガス絶縁開閉装置注1(以下、GIS)を受注しました。本件は、国内で初注2となる自然由来ガスを用いた電力会社向けGISで、2022年12月末までに据付完了を予定しています。

 今回受注したのは東電PGの府中変電所(東京都府中市)のリプレース案件で、72kVのGISです。本製品は、絶縁媒体として地球温暖化ガスであるSF6ではなく、安全性が高く、かつ漏えい時の地球温暖化への影響がない窒素および酸素の混合ガス(ドライエア)を用います。本製品は2020年より当社が株式会社明電舎(以下、明電舎)と進めてきた共同開発注3の成果であり、所定の形式試験を完了し、販売を開始しています。当社はGIS全体を、明電舎は主要部品である真空遮断器(VCB)部分の開発を担当し、本製品においてもVCBは明電舎から供給を受け、当社の浜川崎工場でGISを製造します。

 当社グループは、1960年代よりGIS開発に着手し、1969年には日本で最初となる72kV GISの商用運転開始に貢献するなど、GIS全体の製品開発ノウハウを多く持っています。一方、環境負荷低減対策として、自然由来ガスを用いた機器の研究開発を15年以上行ってきております。
 欧州および北米を中心に電力用SF6ガスの環境規制が進展している状況を見据え、環境リスクが無く、かつ取扱いも簡便な自然由来ガスを用いた電力機器を「AEROXIA TM注4」ブランドとして国内外で製品拡充していきます。本製品は変電所のデジタル化にも対応し、IEC61850規格注5に準拠した監視・診断システムを搭載可能です。

 当社は、本製品をはじめとする、環境調和性の高い製品展開を積極的に行うことにより、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

本製品の開発・製品化背景


 SF6は化学的に安定で、かつ高い絶縁性能や大電流遮断能力に優れていることから、絶縁媒体として過去50年以上にわたり全世界のGISを含む高電圧変電機器に多く用いられてきました。しかしながらSF6はCO2に比べて25,200 倍の高い地球温暖化係数(GWP)を有することから、最近では各国でSF6を使用しない機器の開発が進んでいます。
 さらに、今年4月には欧州連合(EU)のフッ素ガス規制注6の改定案が公開され、その中では自然由来ガス機器が実用化されれば、SF6ガスをはじめとしたGWPの高いガスを用いた製品の新規販売が禁止となることが提案されました。定格電圧に応じて2028年以降から順次規制が掛かる計画が提案されており、自然由来ガス機器の需要は今後ますます高まることが予想されます。
 当社は今後も自然由来ガスを用いたGISの高電圧・大容量化を目指した開発を積極的に進めていきます。

注1:ガス絶縁開閉装置(GIS)は、送電線に異常が生じた場合に電流を遮断して他の電力機器への影響を防ぐための遮断器や、送電系統を切り換えるための断路器、避雷器、計器用変成器などから構成される設備です。
注2:当社調べ(2022年7月12日時点)
注3:https://www.global.toshiba/jp/news/energy/2021/06/news-20210621-01.html
注4:“AERO”(自然由来ガス)+“AXIA”(ギリシャ語で価値)の当社造語。
注5: IEC 61850は、電力設備自動化に必要な通信ネットワークとシステムに関する国際標準規格であり、全世界で数百箇所以上の変電所が、この規格に基づいて構築されています。
注6: Regulation (EU) No 517/2014 on fluorinated greenhouse gases

 

AEROXIA(TM)の写真


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