長野県と岐阜県を結ぶ東京中部間連系設備の増設工事が完了

―国内初の50Hzと60Hzの異周波間をつなぐ直流送電システム―

ニュースリリース

電力流通

受注・納入

2021年4月 1日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社が設計、調達、据付を担当した東京電力パワーグリッド株式会社(以下、東電PG) 新信濃変電所交直変換設備(長野県朝日村、定格450MW×2、DC±200kV、DC2250A)が増設され、昨日、営業運転を開始しました。本設備は交流の電力を一度直流に変換して送電する直流送電システム(HVDC注1)であり、東西で異なる50Hzと60Hzの異周波数間をつなぐHVDCの変電所としては国内初注2となります。2017年から順次、主要機器を納入した後、東西間での最終確認試験および試運転を経て営業運転を開始したものです。

 日本では、主に東日本は50Hz、西日本は60Hzと異なる周波数で電気が供給されており、以前は周波数の異なる系統は直接接続することができませんでした。その後、複数の周波数変換所の建設により、東京中部間の連系容量は新信濃変電所(既設FC注3)も含めた2変電所および1変換所で1,200MWとなっていました。東日本大震災での供給量不足の経験から、東京中部間連系の重要性が増し、様々な検討を重ねた結果、今回新たに、東の東電PG側の新信濃変電所に増設、西の中部電力パワーグリッド側に飛騨変換所(岐阜県高山市)の新設を実施し、昨日より新たに900MWの連系設備が増強されたものです。今回の設備稼働により、東西間の連系設備の容量は1,200MWから2,100MWとなり、異なる地域間の電力融通拡大に大きく寄与します。

 今回の連系設備は50Hz、60Hzともに直流送電の電気を安定的に送電するために、500kV高電圧系統に接続しました。当社は、新信濃変電所の交流・直流機器の全てを担当し、交流・直流フィルタ、気中開閉器、計算機システムなど設備全体を最適な形でトータルに提供しました。
 また今回、コストを抑えつつ、既設変電所内にコンパクトに設備を設置することをコンセプトとし、直流に変換する変換設備の心臓部でもあるサイリスタバルブ注4のサイリスタ素子数を構成部品の仕様見直しにより約10%削減し、バルブ構造を簡素化並びに低層化を実現しました。そのサイリスタバルブの設置場所であるバルブホールは、従来設計より縮小化することを実現しています。
 新信濃変電所にはすでに周波数変換設備(1号FC、2号FC合わせて計600MW)が設置されていたため、同一の変電所に900MWのHVDCを増設することにより送電に影響が出る可能性がありました。東電PGと当社は、既設の変換設備も考慮した安定度解析、過渡応答注5などに関し、共同で解析手法を用いて検討し、最適なシステム設計により影響を最小限としました。

 近年頻発している大規模災害や再生可能エネルギー導入の拡大などから、異なる地域間での電力融通のニーズは高まっています。当社は今回の設備の製造や建設に伴い培ってきた知見や実績をもとに、高品質な製品の供給を通じ、より安定した電力供給に貢献していきます。

注1:HVDC: High Voltage Direct Current 送電側の電力を、交流から直流に変換した上で送電し、受電側の系統では交流に戻して電力を使用する。
注2:2021年4月1日付時点。東電PG/東芝ESS調べ
注3:Frequency Converter
注4:サイリスタとは、直流から種々の周波数をもつ交流をつくることができる半導体素子のこと。
注5:回路に対して電圧などの変化が発生した際に、それまで電流・電圧が一定の状態(定常状態)であったものが十分な時間経過した後に別の定常状態に達するまでの間に時間的に変化する電流や電圧の応答のこと。

昨日運転を開始した新東西間連系設備(交直変換器)

昨日運転を開始した新東西間連系設備(交直変換器)

550kV GISと連系用変圧器

550kV GISと連系用変圧器

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