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東北電力ネットワーク上北変電所向け自励式静止型無効電力補償装置(STATCOM)の受注について

~世界最大規模の装置導入で、再エネ電力の導入拡大に伴う電力系統の安定化に貢献~

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2023年03月28日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、東北電力ネットワーク株式会社(以下、東北電力NW)向けに自励式静止型無効電力補償装置(STATCOM注1)を受注しました。本装置は、再エネ電力の導入拡大に伴う大容量送電時の系統安定度を改善し、系統事故時の安定供給を目的に設置されるもので、2031年末までに東北電力NW上北変電所(青森県上北郡七戸町)での運転開始を予定しています。本件で納入するSTATCOMは世界最大規模注2の出力容量で±800MVAとなり、当社が基幹系統に納入するSTATCOMとしては初案件となります。なお、主要機器は府中工場や浜川崎工場など、東芝グループの国内工場にて製造されます。

 今回納入するSTATCOMは、当社独自の圧接型IEGT注3素子を適用した自励式変換器を用いています。圧接型IEGTは、従来の汎用素子と比較して、高耐圧、大容量、運転損失低減、効率的な冷却構造などの利点があります。なかでも、素子故障時に短絡することで導通状態を維持することができるため、従来素子では必要な付帯機器が不要で、高い信頼性とシンプルな構造を実現しています。
 また、低損失で高調波が小さくモジュール冗長性のあるMMC注4(変換器ユニット多直列)方式を採用することで小型化を実現し、かつ、冗長性を有する信頼性の高いシステムを実現しました。

 当社は、2019年に納入した新北海道本州間連系設備向けの直流送電システム(HVDC注5)において、圧接型IEGTとMMC方式の両技術を採用した国内初の自励式HVDCシステムを実現し、国内基幹系統における大規模な工事を完遂しました。このHVDCの技術や工事の実績も評価され、今回、世界最大規模のSTATCOMプロジェクトを受注しました。

 当社は、1970年代より電力系統の安定化に寄与するため、国内外で無効電力の制御・補償を行うSVC注6や、時代に応じて高性能に進化してきたSTATCOMの納入を行ってきました。また、HVDC等の機器も納入し、パワーエレクトロニクス機器による電力レジリエンス強化に貢献してきました。今後もお客様の課題・ニーズに合わせて、本製品をはじめとする製品展開を積極的に行うことにより、カーボンニュートラルの実現に貢献していきます。

本装置導入の背景


 近年、太陽光の導入や洋上風力の増加に伴い、発電した再エネ電力の安定的な送電における課題が増加しています。再エネなどの電源を集約する変電所から大電力を送電する送電線で事故等が発生した際、高速に無効電力を調整して系統電圧を維持することは、安定的な送電を実現するための重要な対策です。
 今回納入するSTATCOMは、東北電力NW 北部エリアの再エネ電源連系拡大に伴い送電量が増大する基幹送電線系統において、送電線事故時に無効電力を高速で供給することで、電力系統の安定度を向上させるために採用されたものです。

 

注1:STATCOM:Static Synchronous Compensator(自励式静止型無効電力補償装置、自励式SVC)の略。変圧器と自励式変換器で構成するシステムで、自励式変換器による高速スイッチングで交流電圧を自在に発生させることで、無効電力出力を高速に制御することが可能。系統電圧が低くても安定的に出力電流を制御することができるため電圧低下時の電圧サポートや系統動揺を抑制する性能に優れている。
注2:2023年3月現在、当社調べ。
注3:IEGT: Injection Enhanced Gate Transistorの略。 東芝デバイス&ストレージ株式会社独自で開発した圧接型のパワーデバイス。https://toshiba.semicon-storage.com/jp/semiconductor/product/igbts-iegts/iegt-ppi.html
注4:MMC: Modular Multilevel Converterの略。 高電圧に適したモジュラー マルチレベル変換器。
注5:HVDC: High Voltage Direct Currentの略。 高圧直流送電。
注6:SVC:Static Var Compensator(他励式静止型無効電力補償装置、他励式SVC)の略。変圧器・サイリスタバルブ・交流フィルタで構成するシステムで、サイリスタバルブによるリアクトル電流の高速かつ連続的な可変制御や、コンデンサの高速な入り切りにより、系統への無効電力出力を高速に制御可能。

STATCOMの模式図(イメージ)


※実際の構成とは一部異なります。

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