ニュースリリース

タービン発電機向け検査ロボットを実用化

~発電機の形状に合わせ、2 種類のロボットによる保守サービスを提供~

  • ニュースリリース
  • 火力
  • 原子力
  • 研究開発・技術

2022年10月12日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、このたび、発電所用タービン発電機向け検査ロボットのサービス提供を本格的に開始します。
 当社は2018年に本ロボットの開発を行い、実用化に向けた準備を進めてきましたが、改良を加え、このたび中・大型発電機に加え、小型発電機にも対応可能な「薄型検査ロボット」とバッフル注1乗り越えを可能とする「高機能型検査ロボット」の2種類のラインナップを用意し、国内外発電所向けの検査サービスを幅広く展開します。「薄型検査ロボット」は、一部の海外原子力発電所で検査サービスを開始しており、この度本格的にサービス開始します。一方「高機能型検査ロボット」は2023年度から国内外向け検査サービスを提供します。

 従来は、専門検査員が4年毎に回転子を固定子から引き抜き、タービン発電機の精密検査を実施していました。発電所の稼働率向上のためには、発電機の検査期間の短縮と検査周期の延長が課題であり、短期間で高精度な検査の実施が求められています。
 近年、ロボットによる発電機機内検査技術が開発されていますが、固定子にバッフルが取り付けられている発電機では、バッフルがロボット検査の障壁となっていました。当社が開発した「高機能型検査ロボット」は、固定子側に3本のアームを突っ張らせ、ロボットを回転子に押し付け走行することで、これまでロボットでは検査が難しかったバッフル付き発電機でのロボット検査を実現しました。
 また、液体接触媒質を使用しない非破壊検査技術の開発により、回転子を固定子から引き抜くことなく、回転子の亀裂検査を実施することが可能となりました。

 さらに、これまで検査が困難であった小型発電機の検査を可能にする薄型タイプの検査ロボットを開発しました。「薄型検査ロボット」は、固定子鉄心表面に磁力で吸着して走行し、バッフルが取り付けられていない発電機への適用が可能です。「薄型検査ロボット」は、業界最薄クラスの厚さ10mm(突起を含まないフレーム厚さ)であるため、従来、「高機能型検査ロボット」の厚さ33mmでは適用できない狭い構造をもつ発電機に対しても、ロボット検査が可能となります。機能面では、「高機能型検査ロボット」に搭載されているバッフル回避機能と回転子非破壊検査機能を除く品質検査項目一式の検査が可能となっています。

 本ロボットを使うことで、回転子を引き抜くことなく、従来の精密検査期間の約半分の12日注2程度(発電機分解組立期間含む)で発電機内の回転子と固定子の詳細検査が可能となります。なお、本ロボットは、当社製タービン発電機のみならず、他社機設備への適用も可能です。

 当社は、本ロボットを活用し、火力や原子力発電所向けの保守メンテナンスサービス事業を展開していきます。国内のみならず、欧州、北米、東南アジアなどグローバルに既設発電所向け保守メンテナンスサービス事業を強化し、顧客利益の最大化に貢献していきます。

注1 機内通風整流化の為に固定子に設置された壁
注2 発電機によって各種検査ポイント数が異なるため、所要日数は変わる場合あり。

ロボットの概要


<高機能型検査ロボット>
外形寸法:厚さ33mm(アームを畳んだ状態でのフレーム厚さ)
長さ700mm、幅315mm
質量  :約4.7kg
走行  :アームにより固定子鉄心、回転子間で姿勢を保持し、回転子上を走行
     バッフル付大型発電機の検査が可能

<薄型検査ロボット>
外形寸法:厚さ10mm(突起を含まないフレーム厚さ)
長さ325mm、幅172mm
質量  :約0.75kg
走行  :固定子鉄心表面に磁力で吸着して走行

主要検査機能について


ロボットの写真・動画


高機能型検査ロボット:

薄型検査ロボット:

ロボットの適用範囲


発電機タイプと検査ロボットの適用範囲

ニュースリリースに掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝エネルギーシステムズ株式会社に関するお問い合わせをご覧下さい。