無線マルチホップ技術を用いた静止画伝送の実証実験について

― 静止画を定期的に撮影し、遠隔地から常時監視が可能 ―

ニュースリリース

デジタルトランスフォーメーション

研究開発・技術

2020年12月17日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、この度、LPWA注1技術の一つである920MHz帯の無線マルチホップ技術注2を用いた静止画伝送の実証実験を、電源開発株式会社 水力発電部 西日本支店管内(以下、電源開発)のダムで実施しました。本実証実験は、今年度末まで行う予定です。

 ダム設備を始めとするインフラ設備の監視を光ファイバーや4G、5Gのような高速大容量のネットワークを用いて行う場合、大規模な設備が必要となり、コストが高くなるのが課題でした。このような中、当社は、独自で開発したLPWA無線マルチホップ技術を応用して、監視に最低限必要な静止画の伝送に特化し、コストを抑えた実証実験システムを作成しました。
 今回開発したシステムではダムの上流、下流や、監視したい屋外のポイントに汎用のネットワークカメラと静止画伝送の通信ユニットを設置し、定期的に静止画を撮影します。さらにデータを分割して920MHz帯の無線マルチホップ技術で管理棟に置いたコンセントレータ注3に伝送します。
 コンセントレータは携帯電話事業者のLTE閉域網サービスを使って分割されたデータを遠隔地の収集装置に伝送し、収集装置で元の静止画に組み立て直してデータベースに格納します。システムは30分おきに静止画を自動収集するように設定されており、データベースに蓄積します。今回、収集装置は関西地区に配置しますが、電源開発の閉域網サービスに加入しているパソコン、タブレット、スマートフォンであれば全国どこでも静止画注4を見ることが可能となり、コストを抑えつつ、保守業務の利便性を向上できます。
 本システムは、災害などで専用の画像監視インフラ設備が使用できない場合でも、応急設備として簡単に設置が可能であり、監視ポイントも簡単に移設できます。

 当社は今年2月に省電力無線IoTソリューションLPISTM注5を商品化し、水力発電を始め、様々な業種にIoTデータ収集ソリューションを提案、提供しています。今後、このLPISTMに静止画伝送技術を組み合わせることで、センシングデータに静止画のビジュアル情報を加えた多角的な情報収集を可能とし、情報の付加価値を高めて顧客ニーズに合わせたサービスの実用化を検討していきます。

静止画伝送技術の概要・システム構成(イメージ)

 無線マルチホップ技術は、中継器がデータをバケツリレー方式で次々と伝送し、無線の伝送の範囲を越えた距離でのデータ通信を可能にするものです。当社は、無線マルチホップ技術のアプリケーションの一つとして、一定量のサイズのデータを分割し、再送制御を行いながら安定して伝送する技術の開発を行ってきました。この成果を静止画伝送に応用したのが今回実証する技術になります。

システム構成イメージ図

注1 LPWA(Low Power Wide Area):省電力で広域をカバーする無線技術の総称
注2 リレー方式でデータを中継することで広い通信範囲をカバーすることが可能な通信方式
注3 無線機からLPWA省電力マルチホップ無線技術を用いて送信した信号(920MHz)を受信してWAN回線に送信するシステム
注4 Super VGA(800×600ピクセル)の静止画像(昼間はカラー、夜間は白黒)
注5 LPIS™ : Low Power IoT Solution 省電力無線IoTソリューション

ニュースリリースに掲載されている情報(製品の価格/仕様、サービスの内容及びお問い合わせ先など)は、発表日現在の情報です。予告なしに変更されることがありますので、あらかじめご了承ください。最新のお問い合わせ先は、東芝エネルギーシステムズ株式会社に関するお問い合わせをご覧下さい。

「ニュースリリース」のトップへ