洋上風力発電に関する共同研究契約締結について

―日本版洋上風力発電の早期実現に向け、5者で共同研究契約を締結―

ニュースリリース

再生可能エネルギー

研究開発・技術

2021年4月19日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、このほど、九州大学応用力学研究所(以下、九州大学)および日立造船株式会社(以下、日立造船)、東京ガス株式会社(以下、東京ガス)、ジャパン・リニューアブル・エナジー株式会社(以下、JRE)と洋上風力発電に関する共同研究契約を締結しました。
 本件は、2020年6月に発表した九州大学、日立造船、当社の3者で進めてきた共同研究※1をベースとし、新たに東京ガス、JREを加えた5者で行います。九州大学の風況予測に関する技術を軸とし、洋上風力発電向け風況解析に適用するウエイクモデル※2を開発、発電量を最大化する配置設計に向けた研究を進めるものです。

 本共同研究では、着床式・浮体式の大規模洋上風力発電の適切な導入を支援するため、季節性や海風および陸風の洋上風況特性、洋上乱流特性を調べ、風上側の風車群が形成するウエイク相互干渉領域が風下側風車群に与える影響を、風車の耐久性および発電量などの経済性の両面から明らかにし、ウィンドファーム全体の導入・運用に関する最適化手法の確立を目指します。

 日立造船、東京ガス、JREはそれぞれ、国内の洋上風力建設予定地や風力発電サイトにおける風況計測、および九州大学の大型風洞設備を活用した実験による検証を行います。当社は、本共同研究の幹事会社として上記実証のサポートに加え、気象解析などのデータ分析・評価、風車のウエイクモデルおよび発電量評価に関する手法開発、風車配置最適化手法の開発などを推進します。

 当社は、2010年の風力事業への参入以来、大規模CFD(Computational Fluid Dynamics)解析や風況解析を用いて複雑地形での風況評価・診断を高精度に行う技術開発に取り組んできました。2018年4月から継続している当社・九州大学・日立造船の共同研究では、風力発電事業者が利用しやすい「CFDポーラスディスク・ウエイクモデル」の開発に成功し、実測データとの比較を通じて、本ウエイクモデルの有効性が実証されました。本モデルは、従来方法と比較して少ない計算負荷でウエイクが評価できることに加え、上流の風車で発生したウエイクが、後方の風車群に与える相互干渉の影響を表現可能であることが特長です。

 当社は、これまで国内陸上風力で培ってきた複雑地形向けの高い風況解析技術と、本共同研究の成果を積極的に活用し、洋上風力発電の事業性向上に深く寄与することで、国内洋上風力市場の発展とカーボンニュートラルの実現に向け貢献していきます。

※1:https://www.global.toshiba/jp/products-solutions/renewable-energy/products-technical-services/wind-power.html
※2:風車ブレードの回転に伴い、その下流側に形成される風速の欠損領域のこと。

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