研究開発・技術

【巻頭言】再生可能エネルギーの主力電源化と電力安定需給の両立に貢献する東芝グループの技術

東芝グループの発祥となる田中製造所を田中久重が設立したのは1875年、そして日本初の電力会社、東京電燈が営業を開始したのは1886年です。東芝グループは、そのときから、電力を効率良く作り、安定的に送り、高い品質で届けるために、最先端の製品や技術を途切れることなく提供し続けています。

それから130余年が経過した今、エネルギーを取り巻く環境は、自由化や、脱炭素化、分散化に加え、デジタライゼーションなどの技術革新を背景に大きな転換のときを迎えています。2015年9月に国連総会でSDGs(Sustainable Development Goals:持続可能な開発目標)が採択され、世界中で地球環境に配慮する動きが加速しています。我が国でも、2018年4月に経済産業省が2030年度を目標年次とした第5次エネルギー基本計画と2050年に向けた長期エネルギー戦略を公表し、再生可能エネルギーを"主力電源"と位置付けました。また、IoT(Internet of Things)や、AI、ブロックチェーンといった最先端技術は、今まで一方通行だった電力の流れをフレキシブルに変えられるので、新しい運用や取り引きを通じ、電力に新しい付加価値をもたらすと見込まれています。

このような時代の変化に対応し、東芝エネルギーシステムズ(株)は、グリーンエネルギーアグリゲーションを強力に推進しています。主な事業は、①太陽光や風力などの再生可能エネルギー発電の拡大、②再生可能エネルギー発電の拡大に伴う電力の分散化や安定需給といった課題を解決するために、電力を上手に束ねて調整し、市場取引などを活用しながら電力の経済性や安定需給に貢献する"エネルギーリソースアグリゲーション技術"の開発、③再生可能エネルギーに代表されるグリーンエネルギーを束ねて調整力として供給する仮想発電所(VPP:Virtual Power Plant)の構築です。

今回の特集は、新たな時代に向けて東芝グループが注力する、再生可能エネルギーの拡大や、最先端のデジタライゼーションにより電力の分散化や安定需給の課題解決に貢献するエネルギーリソースアグリゲーション、VPPなどの、エネルギー新領域への取り組みを紹介します。この特集が、エネルギーの新しい時代に向けた、東芝グループの最先端の取り組みをご理解いただく一助となれば幸いです。