研究開発・技術

電源開発(株)竹原火力発電所新1号機蒸気タービンの最新技術

 低炭素社会の実現に向け,火力発電システムの更なる効率向上を目指した技術開発が進められている。電源開発(株)は,高効率化と環境性能の向上を図るために,竹原火力発電所内の2基の既設設備を廃止し,超々臨界圧(USC)発電方式の新1号機への更新を進めており,2020年の運転開始を計画している。

 東芝エネルギーシステムズ(株)は,竹原火力発電所新1号機の電気発生装置を受注し,更なる高効率化実現に向けた蒸気タービンの開発を行った。熱効率を向上させるためには,再熱蒸気を更に高温化するとともに,蒸気タービンの通路部やボイラー給水ポンプ駆動用蒸気タービンなどの補機類を含めた性能向上技術が求められる。基本設計では,長期間の材料試験の実施や長年培ってきた冷却技術の駆使などで高クロム(Cr)鋼の運用信頼性を担保するとともに,蒸気タービンの構造の最適化を行った。その結果,信頼性と経済性を両立させながら再熱蒸気温度630 ℃が実現できることを確認した。

FEM解析による再熱蒸気入り口部の温度分布
FEM解析による再熱蒸気入り口部の温度分布