研究開発・技術

電気推進実験船による移動型水素燃料電池システムの運転試験

近年,船舶からの温室効果ガスの排出量削減が喫緊の課題となっており,化石燃料を使用しない推進技術の開発が求められている。

東芝エネルギーシステムズ( 株 )は,国立大学法人 東京海洋大学(以下,東京海洋大学と略記)及びNREG東芝不動産( 株 )と共同で,水素社会実現に向けた燃料電池船の実用化を目指している。洋上での燃料電池の運転試験及び船舶の安全設計検証を目的として,電気推進実験船" らいちょうN"に当社製定置用燃料電池システムH2Rex ™ 3.5 kW機を2台搭載して,洋上での運転試験を2016年10月から2年間実施した。実船試験を問題なく終了後,H2Rex ™を解体調査した結果,船舶の振動や,温湿度,塩分による影響などは認められず,十分な耐久性を確認できた。発電性能の低下もなく,水素燃料電池システムの洋上運用が可能なことが検証できた。この結果を基に,小型化した30 kWモジュールの移動型水素燃料電池システムを開発し,実証試験を実施している。

30kW移動型水素燃料電池システム