重力波望遠鏡KAGRAへの技術貢献について

― 低温・真空状態を作り出すための大型装置を納入 ―

お知らせ

原子力

受注・納入

2016年5月25日

株式会社東芝 エネルギーシステムソリューション社

 当社は、国立大学法人東京大学宇宙線研究所が中心となり建設を進めている大型低温重力波望遠鏡・KAGRA(以下、KAGRA)向けに、低温・真空状態を作り出すための大型装置「クライオスタット」を納入し、KAGRAの計画に貢献しています。KAGRAは、3月25日に試験運転を開始し、2017年度から本格的な運転が開始される予定です。

 重力波望遠鏡は、重力がもとになって生まれる宇宙からの波動「重力波」を直接観測する装置であり、光が重力波によってゆがんだ空間に沿って進む性質を利用して重力波を検出します。KAGRAは、二つの光を直角方向に発射し、真空状態のダクトの両端に設置されたサファイア鏡で反射させ、戻ってきた光の到達時間の差を測定することで、重力波による空間のゆがみの有無を調べます。また、観測の妨げとなる振動が地上よりも少ない地底で観測を行うため、従来の観測装置に比べ検出感度の大幅な向上と、年数回以上の検出を見込んでいます。

 当社が製造を担当したクライオスタットは、サファイア鏡を超高真空・極低温で格納するための装置です。本装置により、サファイア鏡を極低温状態にすることができ、わずかな歪みを観測することが可能になります。鏡を冷却する機能を持つクライオスタットを採用しているのは、世界の大型重力波望遠鏡の中でもKAGRAだけであり、同装置はKAGRAの検出感度向上に重要な役割を果たしています。また当社は、KAGRAの前身の試験装置である低温レーザー干渉計「CLIO(クリオ)」向けにも、クライオスタットを設計・製造しています。

 当社は、1960年代から核融合や極低温・超伝導の研究を開始しており、核融合機器や加速器、さまざまな超電導応用機器の納入実績があります。これらの機器で培ってきた超高真空技術と伝導冷却技術が評価され、納入に至りました。当社は、原子炉内構造物の豊富な組み立て経験があり、大型機器の組み立て技術も、本装置の設計・製造に活かされています。

 当社は、今後も国立大学法人東京大学宇宙線研究所とともに、重力波天文学の発展に貢献していきます。

当社が納入したクライオスタット
当社が納入したクライオスタット
(東京大学宇宙線研究所 重力波観測研究施設/大学共同利用機関法人高エネルギー加速器研究機構)

以上

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