東芝のデザイン思考

Customer Value Design

人間中心のアプローチを複合的に用いて、
顧客価値を生み出すデザイン

共創・協働で実現する
「うれしさの循環®」

共創・協働で実現する
「うれしさの循環®」

IdeaWallMap®

カスタマーバリューデザイン®は、UXデザイン、デザイン思考、サービスデザインをはじめ、様々な人間中心のデザインアプローチを複合的に用いる東芝独自のデザイン手法体系です。東芝のこれまでの幅広い「人を想う®」デザイン活動のなかで、工夫し、振り返り、進化させてきました。

カスタマーバリューデザイン®では、様々なステークホルダーとの共創を通して、ユーザーひとりひとりの経験価値を高め、それが相互に関わり合って事業価値となり、さらには社会全体の課題を解決することで生活がより豊かになる「うれしさの循環®」を目指します。

プロセス

ビジョン共有 課題発見 課題解決

様々な分野のエキスパートの専門性を十分に活かす、東芝独自のトリプルダイヤモンドプロセスによるワークショップのためのフレームワークです。

発散と収束の課題発見と課題解決のダイヤモンドプロセスに

ビジョン共有を加えた東芝独自のフレームワークです。

ビジョン共有

プロジェクトで創り出す価値が、どんな人・企業・社会に関わり、どのような未来に向かうのかを、お客様を含めた関係者で構想し、共有します。

ビジョン共有 図

ワークの例

  • IdeaWallMap™ 人や社会を取り巻く様々なトレンドを俯瞰できるデジタルツール「IdeaWallMap®」で、未来のありたい姿を思い描き、視野を広げます。
  • うれしさの循環マップ 価値の連鎖を構造化する「うれしさの循環®マップ」で、人・企業・社会の価値の循環を考察し、目標となるゴールイメージを定めます。

課題発見

誰のどんな困りごとを解決するプロジェクトなのかを明らかにします。お客様を含めた関係者と共に、目に見える問題の背後に隠れた原因をつきとめたり、複雑に絡み合った現状を解きほぐして「真の課題」を見つけ出します。

課題発見 図

ワークの例

  • 行動観察 問題をはっきりと認識していなくても、実際の行動を観察し分析することで、客観的に問題点を浮き彫りにすることができます。
  • システム思考 システム思考を応用し、複雑に絡み合った要因どうしの関係から、最も効果的な改善が見込める真の課題を見つけ出します。

課題解決

これまでに明らかにした「真の課題」を解決するアイデアを創出します。そして、アイデアを素早く次々と試して洗練することで、お客様をはじめとした様々なステークホルダの視点から、最も効果の高い解決策にまとめ上げます。

課題解決 図

ワークの例

  • アイディエーションWS 様々な発想法を用いたワークショップで、真の課題を解決するためのデザインアイデアを発散させます。
  • プロトタイピング 必要最小限の製品やサービスを作ってテストし、改善を加えます。この検証と改善を繰り返しながら完成度を上げていきます。

※Idea Wall Map、うれしさの循環、人を想う、カスタマーバリューデザインは、株式会社東芝の登録商標です。

旅館のおもてなしを向上させる情報共有システムの開発に向けた取り組み

旅館のおもてなしを向上させる情報共有システムの開発に向けた取り組み
老舗旅館である元湯陣屋様は、宿泊客に対するおもてなしを向上させたいと考えていました。このニーズに対し、東芝グループは、多くの旅館スタッフのご協力のもと、さまざまな専門家の知見を集めてサービスデザインを実施しました。その結果、宿泊客へのおもてなしを向上させるために、宿泊客の目に触れない、いわばバックステージで働く旅館スタッフの情報共有や記録業務を改善することが効果的であることが分かりました。そこで、音声認識技術を利用した情報共有システム「 RECAIUSフィールドボイスインカム 」を、旅館業務に最適化し導入しました。現在、このシステムは、元湯陣屋様にとって「なくてはならないツール」として日々利用されているだけでなく、保守、セキュリティ、物流などのさまざまな業界のサービス向上に役立っています。

空港の混雑緩和に向けた取り組み

空港の混雑緩和に向けた取り組み
ANA大阪空港(株)様は、大阪国際空港のチェックインカウンターなどが設置されたカウンターエリアの混雑緩和に取り組んでいました。東芝グループもこの活動に参画し、空港の旅客サービスご担当者や情報システムご担当者の協力を得て、人間中心設計を実施しました。その結果、空港を利用する多種多様な旅客像が明らかとなり、それぞれの旅客の視点から、カウンターエリアが混雑する多種多様な原因を把握することができました。さらに、ANAのご担当者とともにワークショップの形式でこれらの原因を整理し、解決策を案出することができました。混雑緩和の対策が実施されたことにより、このカウンターエリアは、旅客の待ち時間が最大40%短縮されるに至りました。この結果には、この取り組みで案出した解決策も大きく寄与しています。現在、東芝グループは、百貨店、銀行、小売といったさまざまな業界で、このような顧客との共創関係を築いています。

水道管漏水管理システムに必要な測定器の開発

水道管漏水管理システムに必要な測定器の開発
水道管の老朽化により、漏水の早期発見対策が課題になっています。これに対して東芝グループは、多くの漏水の点検データを解析することで広域にわたる水道管の漏水を検知できるシステムを開発しました。解析のためのデータを広域から収集しつづけるため、水道メーターの検針員による定期的な検針業務の際に、漏水のデータ収集も同時に行う方法が考案されました。これを実現するためには、水道メーターの検針員が、従来の業務に加えて漏水に関連するデータも収集できる、簡単で負担の少ない漏水検知器が求められます。
そこで、クロスファンクショナルチームで検針作業における行動を観察し、漏水の点検作業にどのような負荷がかかるのかを調べ、試行錯誤を重ねながら、最も作業負荷の少ない漏水検知器を設計しました。
このように開発した検針機能付きTSリークチェッカーTSLC-SV2000は、2017年のグッドデザイン賞を受賞しています。

J-SPEED+開発における グラフィックファシリテーションの適用と効果

J-SPEED+開発における
グラフィックファシリテーションの適用と効果
従来、大規模災害における医療の現場では、紙ベースで医療状況が記録・運用されていました。電子化により、災害医療を効率化するためJ-SPEED+を開発しました。開発に際して、適切なシステム画面を設計するため、災害医療の専門家である医師の知見を取り入れる必要がありました。しかし、単に医師から話を聞くだけではすぐにシステム設計はできません。災害医療プロセスにシステムを対応させるためには、医師とシステム設計者が、しっかりと対話する必要がありました。そこで、医師を中心としたクロスファンクショナルなシステム開発チームをつくり、グラフィックファシリテーションにより、医師やシステム設計者の考えを可視化し、チームメンバーで具体的なイメージを共有しました。その結果、災害医療の現場ニーズにしっかりと応える適切なグラフィックインターフェースを設計することができました。2018年のグッドデザイン賞のグッドデザイン・ベスト100に選ばれました。

鉄道用回生電力貯蔵システムのUI開発に向けた取り組み

鉄道用回生電力貯蔵システムのUI開発に向けた取り組み
国内外の人手不足や、自然災害の増加等の社会問題がある中で、鉄道分野では有事でも安全・安定・安心な輸送の継続と持続可能なインフラ構築の両立が求められています。鉄道用回生電力貯蔵システムという、一般には公開されていませんが重要な社会インフラのインターフェースにも、魅力的なデザインを導入することで、働く方のモチベーションを上げ、また、熟練者だけでなく幅広いユーザーにも使いやすいインターフェースを開発しました。
この案件では、課題発見・課題解決のプロセスで発散・収束を繰り返し、従来の常識や制約に縛られない、真に使いやすい魅力的な画面を実現しました。デザイン部門が企画の初期から参画し、開発プロセスの節目ごとに目標や解決策を整理可視化したことで、PJメンバー全員が共通のゴールに向かって製品開発に取り組むことができました。その結果、これまでインフラ領域では実現できなかった、新しいユーザー体験を商品化できました。

地域に寄り添いチーム力を高める提案に向けた取り組み

地域に寄り添いチーム力を高める提案に向けた取り組み
公共事業(例えば上下水道プラント)では、老朽化した施設の改築を行う際、効率化や公共サービスの向上を目的に、民間の創意工夫を活用し、官民が連携して事業を実施するPPP(パブリック・プライベート・パートナーシップ)方式を採用する事例が多くなっています。PPPでは、事業に必要な複数の業務を実施するために、複数の企業から構成されるコンソーシアムに対して一括発注する方式が多く採用されます。そのため、コンソーシアムの提案の裁量が広がり、創意工夫でシナジーを発揮できる一方で、自治体に何を伝えたいか、全体を貫く提案コンセプトが重要となり、また、コンソーシアムの気持ちを1つにまとめることが重要となります。
そこで、コンソーシアムのメンバーとデザイン思考でチーム力を最大化しながら、コンセプト立案を行っています。デスクリサーチで事業に求められていることの仮説を立て、現場で住民の声を聞き肌感覚で仮説検証し、それらをコンソーシアム全体に共有し、何度も何度も協議を重ね、全体を貫く提案コンセプトを可視化します。そして、提案コンセプト、目指すべき姿、伝えるストーリー等を取り纏め、自治体に伝わる提案書にします。このような取り組みによって、PPPの導入拡大とともに全国でPPPの受注実績を重ねています。
東芝のデザイン
株式会社東芝 CPSxデザイン部
〒105-8001 東京都港区芝浦 1-1-1