上下水道統合プラットフォーム TOSWACS-Nesta™

どんな製品︖

TOSWACS-Nesta™ は、東芝インフラシステムズが運用する上下水道事業の統合プラットフォームです。
これまでに培ってきた豊富な知見と実績、東芝の技術とデータの力を組み合わせ、様々なソリューションで上下水道事業の持続的な成長に貢献します。全国各地にある浄水場、下水処理場の設備に合わせて柔軟に稼働環境を構築し、「監視制御システム」や、プラント運転の自動化・業務プロセスの効率化をサポートする「付加価値アプリケーション」を提供します。

開発のきっかけは?

日本の上下水道事業は、人口減少による水需要の低下に伴い、上下水道事業の運用予算が減少していく傾向にあります。また、現場のベテラン職員の高齢化、引退による技術継承の課題や老朽化施設の更新、豪雨をはじめとした災害の危機回避、市町村統合による広域監視の取り組みなど、社会情勢の変化に応える新しい解決方法が求められています。
東芝インフラシステムズは約40 年前より監視制御システムTOSWACS シリーズの提供を開始し、現在は数多くの国内上下水道施設で稼働しています。従来の製品開発では、扱う内容や納入するお客様のご要望に合わせ、画面デザインを個々に設計していました。事業の先を見据えた時、様々なアプリケーションを併用して業務を行う場面で「どれも同じ様に使える」こと、その為に一貫した画面デザインで統一していくことの重要性に着目しました。今回の統合プラットフォーム開発を起点に、画面デザインの方針が変わり、統一された見た目や操作性のあるシリーズとしてアプリケーションを展開する体制となりました。個々のユーザーが使いやすいことからはじまり、今後の自動化・広域化の目指す人と人、拠点と拠点といった様々な連携の一助となる製品を開発する為、ベースとなる画面デザインの検討と、TOSWACS-Nesta™のデザインを展開していくプロジェクトを開始しました。

Designer:小野未紗希

小野:プロジェクトは中長期的な計画として2018 年にスタートし、2023 年現在も進行中です。開始当初、事業部門、開発部門、研究部門、デザイン部門と様々な分野の人が携わり、同じゴールを目指して進んでいけるように、はじめにコンセプトとプラットフォームの名称を検討しました。上下水道分野の社内有識者が集まる機会を設け、議論を重ねました。
開発プロジェクトに関わる関係者の共通意識として、社内のインナーブランディングとして、そして社外のステークホルダーへ発信していくコンセプトとして「価値を創造し“未来” へつなぐ アドバンスドプラットフォーム」を、プラットフォームの名称として「TOSWACS-Nesta™」を決定しました。

名称検討の様子

“水の未来をデザインする”

Designer:石川洋子

石川:TOSWACS-Nesta™の「Nesta」という名前には、「価値が生み出される場所・拠点」や、「未来を展望する、見通せる存在」という意味を込めています。東芝インフラシステムズでは、TOSWACS-Nesta™に関する開発計画で、これからの水の未来の為に今からやるべきことを確実に取り組んでいます。上下水道事業のシステムは、一度リリースすると十年単位で使われます。私達デザイナーは画面デザインの検討の際、実際に現場に伺い、調査やインタビュー、プロトタイピングでユーザーのニーズや知見を吸収しています。様々な現場で業務に携わる人のユーザーの声を聴き、画面デザインや、それを使う体験のあるべき姿を考えますが、現在や近い未来だけでなく、これから先、上下水道事業の在り方や、働き方に適した画面デザインの検討をしていかなくてはなりません。

小野:統一された見た目や操作性の取り組みについては、画面デザインのガイドラインを立ち上げ運用しています。活動時期が年単位で異なる様々なプロジェクトが連携することは簡単なことではなく、必要な情報をガイドラインとして明確にまとめて関係者で理解を深める活動が必要でした。内容は人間工学に基づいたユーザビリティの設計と、全てのアプリケーションに組み込まれる共通仕様のルール、アプリケーションごとに適切な仕様を検討する為に参照できる表現や考え方をまとめたデザインパターンで構成しています。異なるアプリケーションを現場で「同じように使える」体験を実現することは、ユーザーが日々行う操作や、ユーザー同士の意思疎通がスムーズに行えるなど、業務効率の向上に繋がると考えています。

石川:ガイドラインは小野さんと1 年かけて立ち上げました。画面デザインに関わる記載だけでなく、プラットフォームの概要や、冒頭で話をしたコンセプトや名称の由来、知的財産に関する取り組みなど、TOSWACS-Nesta™の事業や画面デザインに携わる上で知ってほしい情報をガイドラインの序盤でまとめています。TOSWACS-Nesta™はアプリケーションの数も多く、プロジェクトごとに異なるデザイナーが関わります。画面デザインをリードする立場として、開発関係者との共通意識や知識をもって進んでいくために、デザイナー達のマインドをひとつにして取り組んでいきたいという思いがあります。

Designer:新井田瞳子

新井田:私はこのプロジェクトに途中から参画して2 年ほどですが、当初はガイドラインの情報の多さに驚きました。小野さん、石川さんが積み上げてきたガイドラインを、アプリケーションの開発の担当となったデザイナーや開発部門、事業部門のメンバーが参照しやすく、手軽に使えるように整備やブラッシュアップを行っています。TOSWACS-Nesta™シリーズのアプリケーションはガイドラインをベースにデザインしますので、ガイドラインが扱いやすくなるほど、必要な情報をより早く見つけることができ、検討の効率が上がると考えています。

また、私も実際にアプリケーションの画面デザインを担当しているので、アプリケーション開発とガイドライン運用の両方に携わる立場としてこれからもこの事業に貢献していきたいです。

小野:冒頭でお話した様に、上下水道事業は社会情勢の変化に応える新しい解決方法に取り組んでいき、現場の働き方も変わっていきます。
TOSWACS-Nesta™は現場やお客様と共に歩みながら、これからも新たな価値の創造に先進的に応え続けます。アプリケーションとその画面デザインは、東芝の技術と、現場をつなぐ存在だと考えています。私たちデザイナーは、画面デザインという側面からTOSWACS-Nesta™のあるべき姿の実現に貢献していきたいです。これからも、このプロジェクトを通じて事業部門、開発部門、研究部と共に進んでいきたいです。

デザインの特徴

TOSWACS-Nesta™の「付加価値アプリケーション」は、東芝の自動化・最適化技術および診断技術により提供可能な情報を現場が業務で効果的に活用できる姿を目指し、現場のニーズや課題、慣習を起点に事業のノウハウを組み合わせて画面デザインを行っています。それぞれのアプリケーションは運転制御の最適化、決定プロセスの可視化、機器の異常兆候の診断といった機場の運用に貢献する機能の特長をもちますが、ガイドラインを基に見た目や操作性が共通化されており、業務で複数のアプリケーションを併用する場合もスムーズに使用できます。

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小野未紗希

2013 年入社
UI デザイナー

石川洋子

1992年入社
UI デザイナー

新井田瞳子

2019年入社
UI デザイナー

WORKS LIST

株式会社東芝 CPSxデザイン部

〒105-8001 東京都港区芝浦 1-1-1