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事例紹介

重粒子線がん治療室

どんなサービス?

重粒子線がん治療は、身体を切らずにがんを治すことのできる治療法です。重粒子線と呼ばれる放射線をがん病巣に照射することで、がんを治療します。重粒子線はがん病巣にピンポイントで照射できる特長があり、治療効果も高いとされています。そのため、正常細胞への影響を抑えながら少ない照射回数で完治を目指せます。日本の技術力が世界をリードしている分野です。

どんなサービス? 重粒子線がん治療室

開発のきっかけは?

現代社会において、がんの克服は重要な課題です。がん治療の方法は、外科的手術、化学療法、放射線療法の大きく3種類があります。 この中の放射線療法の一つとして、重粒子線治療が注目を集めています。東芝は、エネルギー事業分野の一つである原子力事業で培った多くの技術を生かし、この重粒子線治療装置の開発に成功しました。

開発のきっかけは? 重粒子線がん治療室

「courtesy of QST/NIRS」

Designer:鶴見慎吾

重粒子線治療装置には大規模な加速器が必要で、およそ体育館一つぶんの広さがないと設置導入できません。装置を買うというよりは建物を一棟建てる必要があります。2018年10月時点で日本全国で6施設が稼働中ですが、いわゆるデザイン的な視点を取り入れたのは東芝が初めてです。それまで他の企業は板金で構成されたメカメカしい機器で、医療機器というより研究機関の装置のような印象のものでしたが、現在では他社もデザインを意識していると聞いています。

鶴見慎吾


重粒子線がん治療装置は、その規模の大きさから機器単体ではなく治療室をまるごとデザインする必要があります。ですから装置を納めるそれぞれの病院に沿ったコンセプトを立案し、環境を作り上げていきます。最も重要なのは患者さんの気持ちを考えることです。患者さんにとって病院は非日常です。治療装置の見た目や治療室の雰囲気はもちろん、実際の治療にいたるまでの動線や待合室などの空間のことも考慮するべきです。


重粒子線がん治療室

“患者が安心でき、

医者が確実に治療できる
空間をデザインする”

その中で最も重要視しているのは空間の連続性です。治療室に入る前の廊下と、治療室の印象がガラッと変わってしまうと「あ、治療室に来たんだな」という精神的なショックを感じてしまいます。病気に罹患し不安を抱いている患者さんに対し、さらに不安を煽るような治療室にはしたくありません。環境を大きく変化させずに、空間に連続性を持たせることで、患者さんが安心できる空間づくりを目指しました。 一方、患者さんが精神的に不安定になると、心臓などの臓器の動きにも影響し、内臓が無意識に動き出してしまうなど、治療の正確性という意味で医療従事者のためにもなりません。確実に治療を行うという目的を果たすためにも、患者さんの安心、安定を保つことは重要なのです。

“患者が安心でき、医者が確実に治療できる空間をデザインする”

「courtesy of QST/NIRS」

デザインの特徴

納入事例の神奈川県立がんセンターでは、建屋全体のコンセプトである「高級ホテルのような穏やかな空間」と医療機器が馴染むよう注力しました。例えば、神奈川県の特色であるブルーを用いて、装置自体に上品な雰囲気を作り出しています。また、7軸のロボット治療台を有し、スムーズかつスピーディーな動作を可能にする診療台をはじめとする治療装置は、治療室の環境に調和した威圧感のないデザインで、患者さんの心身の負荷を低減します。
東芝は、今後も重粒子線がん治療装置をはじめとした最先端がん治療システムの開発を加速するとともに、患者さんにも医療従事者の方々にも配慮したデザイン思考で、質の高いがん治療の実現に貢献していきます。

デザインの特徴 重粒子線がん治療室


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  • 鶴見慎吾
    鶴見慎吾
    2015年入社
    プロダクトデザイナー
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株式会社東芝 CPSxデザイン部

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