移動式タイヤ荷積みロボット T-Loader™

どんなアイテム?

移動式タイヤ荷積みロボット T-Loader™は、某タイヤメーカーと東芝の共同研究で開発が進められた試作機で、タイヤを出荷するための倉庫内で、コンベア上を流れてくるさまざまな種類のタイヤを輸送用トラックのコンテナに積み込む作業をサポートする大型のロボットです。操作はタブレット端末を用いたコントローラーで行います。

将来的には、コンテナ内に無駄なスペースを作ることなく、タイヤを効率よく積み込む全ての作業が自動化されることを目標とし、開発はいくつかのステップに分けて進められています。Step.1ではロボット本体の移動、アームの操作などの動きが手動でコントロールできることを前提に検討を重ね、現在はStep.2として細かいアーム操作などを省いた半自動操作が可能な段階になっています。

開発のきっかけは?

タイヤ輸送業界では、倉庫から輸送用トラックのコンテナへタイヤを荷積みする際に、タイヤ1本1本を倉庫の作業員が人力で積み込む業務が発生していました。特に大型のタイヤになると重量も大きく、作業員の作業負荷も大きくなります。トラック運搬時のトラブルの責任分担を明確にするため、荷積みはドライバーの責任で作業する場合があります。高齢化が進むドライバーにとって荷積みは重労働となるため、離職原因のひとつとなっています。これらの課題を解決するために某タイヤメーカーとの共同開発が始まりました。ロボットを製作する事業部門からは、このロボットの複雑なオペレーションを整理し、誰もが簡単に動かせる操作画面のデザインを依頼され、デザイン部門として開発に参画しました。

開発中の試作機と仮説バース

Designer:小林謙斗

UIの設計に入る前に、まずは現状の荷積み業務がどのように行われていのるかを紐解きました。そこで得られた作業フローに対して、ロボットが介入する場合を想定して、人間が行っている作業とロボットが可能な動きを照らし合わせながらこのロボットが導入された後の作業フローを考えていきました。T-Loader™は巨大なロボットであり、操作ミスをすれば、機体がコンテナと衝突するなどの大事故につながりかねません。これを初めて操作する人でも、誰もが迷うことなく使うことが可能で、ひとつひとつの操作を安全で確実に実行できることをコンセプトとしました。基本的にはハードウエアでできることが条件になるので、ロボットができることを全て紐解き、複雑になりがちなロボット操作の内容を整理しながら操作画面のデザインを進めていきました。

発話思考法による課題抽出

プロトタイプを活用した検証

発話思考法による課題抽出

プロトタイプを活用した検証

“フルスクラッチで、まだ世の中にないものをデザインする”

自分自身がシステムそのものを理解することはもちろん、このシステムが運用されていく現場ではどのようなユーザーがいて、このシステム・ユーザー・ロボットがどのように関わっていくかを理解することが重要です。ロボットでタイヤを積むという新しい体験をデザインするにあたり、世の中に事例があまり無いシステムなのでベンチマークする対象やアウトプットの正解は存在していませんでした。そこで、簡易スケッチから検討を始め、ワイヤーフレームの作成、そしてインタラクションを含めたプロトタイピングに取り組むことで想定されるタスクを達成できる最適解へと近づけていきました。操作するユーザーの主観である誤操作への不安や操作のしやすさなどを発話思考法で確認し、画面のレイアウトもいくつかの案を試しながら最終的にはレーシングゲームの画面のようなパース付き画面になりました。

画面の操作性や妥当性をより詳細に検討するため、実際の作業現場を模擬した仮設バースにて、ロボットの実機を目の前にしながらプロトタイプでの検証も実施しました。要件定義が難しい未知の体験を、このようにプロトタイピングを繰り返すことによって短期間でかたちづくることができました。

デザインの特徴

ロボットと操作モニターの位置関係に配慮した表示や、操作者の条件に配慮した細かいユーザビリティの工夫を盛り込むことで、安全で確実なオペレーションに役立つことを重視したUIです。現場で働くユーザーの方の視認性に配慮したフォントサイズの検討や、手袋を装着しているという利用条件において問題なく操作ができることを目的としたボタンサイズを設定するなど、細かいユーザビリティへの配慮を行なっています。また、プロトタイピングの段階ではテキストや音声での丁寧な操作ナビゲーションも検討するなど操作者の不安要素を軽減させる施策も検討していきました。これらの検討結果を踏まえ、誰でも迷わず安全に操作できることに加え、荷積み作業をすることへのモチベーションを向上させるUIを提案しています。

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小林謙斗

2019年入社
UIデザイナー
DESIGNERS >

WORKS LIST

まだ見ぬ日常をデザインする

目的に沿った、普遍的なかたちを
デザインする

水の未来をデザインする

可能性をデザインする

世界観をデザインする

地域との共生をデザインする

インフラでの新しい体験をデザインする

地域の想いをデザインする

カタチのないものをデザインする

着眼点をデザインする

人の命を救うコミュニケーションを
デザインする

おもてなしを実現する仕組みをデザインする

検針員の心地よさをデザインする

設備と人との関係性をデザインする

医者が確実に治療できる空間をデザインする

業務の本質をデザインする

株式会社東芝 CPSxデザイン部

〒105-8001 東京都港区芝浦 1-1-1