研究者紹介

半導体工場向けDX化の研究開発AIシステムの共通基盤で
生産性を上げる

エッジ&セキュリティ開発部門 小西 葉月

2015年度入社 情報科学専攻

機械学習を運用するための共通基盤

私は製造業の現場で生産効率や品質を向上させることを目的とし、工場の高度なデジタル化を推進する製造業のDX(デジタルトランスフォーメ―ション)に取り組んでいます。具体的には、東芝の半導体工場に機械学習の導入を進めるためのMLOps(Machine Learning Operations)基盤を構築するプロジェクトに参画しています。MLOpsは、モデルと呼ばれる機械学習のエンジンの開発から実際の運用までを一貫して行えるシステムのことです。AIのモデルは1回作れば終わりではなく、環境の変化に応じて何度も作り直す必要があるので、私たちデータサイエンティストはAIのシステムを継続的にメンテナンスする必要があります。しかしさまざまな製品の製造現場に展開していくことを考えると、人的リソースが不足してくるという課題があります。そこでMLOpsのような開発から運用までを同じシステムを使うことで、製造現場から技術者へのデータの受け渡しが円滑化するなど効率を上げることが可能であり、技術者不足にも対応することができます。また、機械学習はデータ量が多いほど精度が上がることから、さまざまな製品で同じシステムを使い、多様な製品の製造現場データを集めることで、今まで見つからなかった視点のモデルを構築できることも期待されています。

説明イラスト

コミュニケーションを取りながら実運用に向けシステムをブラッシュアップ

現在参画しているプロジェクトで、私はモデル構築者の視点でシステムのユーザー評価を担当しています。もしMLOps導入への作業が多いと現場には受け入れてもらえないので、その点などを評価しながら実運用に向けた課題を抽出し、システム開発の担当者にフィードバックをしています。疑問点があればチームの枠に捉われず問い合わせをするなど、密にコミュニケーションをとりながら進めています。現在コミュニケーションはほとんどリモートで行っていますが、私はリモートの方がコミュニケーションを取りやすいと感じています。以前は何か聞きたいことがあったとき、相手のところに行ってもタイミングが悪いということがありましたが、今はチャットで質問を投げておけば、相手の都合のよいときに答えをもらえます。また現在のチームにはコロナ禍後に入り、初めての方も多かったのですが、定例会議のあとに雑談の時間を設けるなどしていたので、実際に会う機会が少なくても打ち解けやすく、質問などもしやすい雰囲気を作っていただけたのは有難かったです。

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ある在宅勤務日のスケジュール

8:15
勤務開始
  • ・メールとスケジュールの確認
  • ・事務作業
8:45
MLOps基盤評価開始
  • ・評価計画書に従って評価を実施
12:15
昼休み
13:15
勤務再開
13:30
業務連絡会
  • ・業務連絡やチーム内で雑談など
14:00
評価結果まとめ
  • ・午前中の評価結果をまとめる
  • ・必要があればチームメンバに共有
16:45
本日の業務まとめ
  • ・明日の作業アイテムをリストアップ
17:00
勤務終了

働きやすい環境で、コア技術を社会に実装するための間をつなぐ

就職活動で出会ったリクルーターの女性の方々は、年齢層が幅広く、中には子育てと仕事を両立されている方もいて、女性が働きやすく長く仕事が続けられる会社だという印象を受けました。実際に入社してみて、やはり女性の働きやすさに理解のある会社だと思いました。所属する部門には、最近2か月の育児休暇を取得した男性社員もいます。私も以前育児休暇を取り、復帰後の半年間は時短勤務で働いていました。これまでこの会社で働いてきて、私自身はひとつの技術を極めるというより、チームメンバーとコミュニケーションを取りながら、さまざまな技術に触れることで技術の幅を広げていきたいと思うようになりました。研究開発センターのコア技術を事業部や社会に出していくための間をつなぐミッションに非常に興味があり、将来携わっていけるようになりたいです。MLOpsもまさに、研究者が生み出した機械学習の技術を基盤に乗せて工場に出していく取り組みです。これからさまざまな製品や新しい工場に向けて横展開していく予定なので、形になったと感じるのは4、5年後になるかと思います。今後も機械学習に携わっていきたいですし、MLOpsが実稼働するのを見てみたいです。現在の私はプロジェクトの一員でしかありませんが、最終的にはその中心にいられるようになりたいと思っています。

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学生の皆さんに一言

『専門外のことでも、興味があればぜひチャレンジしてみてください。』

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理系の就職活動は、自分の研究分野で探すことが多いですが、学生時代データマイニングの研究をしていた私は、専門とは異なる分野に就職しています。業務内容は日々変化していくものですし、専門が一致していたとしても入社後に勉強が必要になることもあります。学生に与えられた選択肢、可能性は無限大です。だからこそ自分の専門分野だけと思わず、もっと間口を広げて自分の興味のあることは何だろう?と考えて就職活動をしてください。大学での研究は、分からないことに対してどうやって解決できるかを学ぶ場でもあり、そのアプローチの仕方を学んでいるのだと思います。そのやり方を知っていれば、たとえ分野が変わっても勉強できるから大丈夫ですよ。