研究者紹介

MLOps基盤開発機械学習を運用するための
基盤を作る

AI基盤技術開発部門 濱本 敏成

2019年入社 情報理工学専攻

AI技術者と運用の専門家をストレスなく連携

現在私が取り組んでいるのは、MLOps(Machine Learning+Operations)の基盤開発です。世の中でAI技術の利用が一般化し、たとえば工場の不良品検出にも導入されるようになりました。ただ、機械学習のモデルを構築するデータサイエンティストが、システムの稼働状況を見守りながらモデルの調整をする必要があります。仮にシステムに性能の低下が見られたとしても、運用者にはモデルのことはわからないからです。これでは運用者だけでシステムを安定して運用することは難しいので、AIの専門知識がなくてもシステムの性能をモニタリングすることができ、必要に応じてモデルの再学習も行えるプラットフォームの開発を行っています。近々東芝グループに向けてソースを公開することを目標に、プラント異常検知や群集の密度と流れを予測するシステムなど、さまざまな用途を見据えて検証を重ねているところです。

説明イラスト

ワークフローに準じて期日までに結果を出す

最初はMLOpsという言葉もよく知らなかったので、入社後に基礎知識から始めてたくさんのことを学びました。論文に目を通すと、他社の基本的な考え方が見えてきて、とても参考になります。システムのグランドデザインが開発のポイントなので、資料や論文も参考に、方向性や組み合わせを考えていきます。プロジェクトメンバーそれぞれが分担するタスクを進めつつ、ときどきチャットで相談もします。以前はお互いの席まで行って質問などしていましたが、2020年からほとんど在宅勤務となり、もっぱらチャットです。ここのところ出社は月に1回か2回程度ですから、在宅勤務率は90%以上ということになります。仕事のスタイルで学生と大きく違うところは、締め切り、でしょうか。学生時代は一人で研究を進めていたので、気にしていたのは論文の締め切りぐらいでした。会社ではチームで仕事を進めるので、何日までに誰が何をどこまで進めるというように、もっと細かい締め切りが設定されたワークフローがあります。このワークフローに従って、仕事を進めています。

濱本 敏成の写真

ある在宅勤務日のスケジュール

8:00
勤務開始
  • ・メール、本日のスケジュール確認
8:30
作業
  • ・MLOpsの基盤開発
9:00
Web会議でリモート定例会(1回/週)
10:00
作業
  • ・MLOpsの基盤開発
12:15
昼食
13:15
作業
  • ・MLOpsの基盤開発
17:15
本日の仕事をまとめ
17:30
勤務終了

さまざまな分野の開発に携わり、頼られる存在になる

学生時代は、ニューラルネットワークを利用して、リハビリロボットの運動方程式の算出について研究していました。模擬もしましたし、実機を作成して動かしもしましたが、ロボットを仕事にしたいという意識はありませんでした。数式を扱う必要があり、情報というよりは数学や物理学の世界で、向いていないという自覚がありました。どちらかといえば、さまざまな業界や分野の仕事に関わって広い知識を手に入れたいという思いがあり、東芝グループであればその機会に恵まれると思ったのが入社の動機です。現在は組織変更に伴い東芝の研究開発センターに所属していますが、入社したのは東芝デジタルソリューションズ株式会社の研究開発部門で、想像していた通り、さまざまな開発に関わってきました。現在はMLOpsの開発に集中していて、しばらくはブラッシュアップが続きます。今後もたくさんのプロジェクトに参加することになると思いますが、メンバーとして頼られる存在でありたいですね。

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学生の皆さんに一言

『自分のやりたいことを明確にして、必要なことを身に付けておきましょう。』

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仕事を選ぶ上で大切なのは、自分がやりたいことを明確にしておくことだと思います。そして、やりたいことがはっきりと見えたら、時間に余裕のある学生のうちに、必要な技術や知識を身に付けておくと良いと思います。自分自身を振り返ると、学生時代にもう少し英語を勉強しておくべきでした。機械学習関係の技術報告書や論文を読む機会が多いのですが、当然のことながら、大半が英語です。