水電解装置に関するFusion Fuel Green PLCとの協業検討について

~急速な市場拡大が予測される欧州などでの早期の市場参入へ~

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2022年05月19日

Fusion Fuel Green PLC
東芝エネルギーシステムズ株式会社

 東芝エネルギーシステムズ株式会社(以下、「東芝ESS」)はこのほど、固体高分子型電解装置(PEM型電解装置、以下「PEM」)の開発・製造・販売を行うFusion Fuel Green PLC(以下、フュージョンフュエル社)と、欧州や豪州市場での電解装置の拡販に向けた調達・製造・販売プロセス・技術提携などの検討を行うことについて合意しました。

 世界的な脱炭素化の流れで、特に欧州やアジアでの水素プロジェクトや電解装置に関する技術への資金援助の動きが高まり、グリーン水素経済の発展も加速することが予想されます。欧州連合では、電解槽容量として、2024年までに6 GW、2030年までに40 GWの容量を設定しました注1。これにより、年間約500万トンの低炭素水素が生成されます。豪州も水素産業に高い関心を持っており、連邦政府は2019年に独自の国家水素戦略を発表し、新しい世界をリードする輸出産業の創出を目的とした長期的な技術投資ロードマップの下でさまざまな投資が計画されています。

 今回の協業の検討内容として、東芝ESSが開発中の触媒量を従来と比べ大幅に削減しコスト競争力が高い、電解装置の中核部品である「膜・電極接合体(MEA)」をフュージョンフュエル社のPEMに活用することや、同社PEMの豪州などにおける拡販において、東芝ESSが火力事業などで培ってきた現地の販路を活用することを検討します。さらに両社は、東芝ESSが2025年に市場に投入することを目標としている固体酸化物形電解装置(以下、「SOEC注2」)の将来の販売のための協力関係も模索します。

 ポルトガル、スペイン、アイルランドで様々な事業を展開しているフュージョンフュエル社は、太陽エネルギーのみを使用して水素を生成する装置を開発しました。フュージョンフュエル社のコア技術は、集光機能を持った太陽光発電システムと小型のPEMを一体化した独自技術です。太陽光集光プロセスで発生する熱を電解に利用し、水素製造効率を向上させる特徴を持っています。

 フュージョンフュエル社は、ヨーロッパ、中東、北アフリカ、豪州にまたがる2.4GWを超えるグリーン水素プロジェクトのパイプラインを構築し、ポルトガルの国家水素戦略において、グリーン水素関連技術の開発・製造を担う戦略的企業として認定されています。

 東芝ESSは、1960年代に燃料電池システムの開発を開始以来、水素に関わる技術開発を進めてきました。水素社会の実現に向けて再エネ由来の水素エネルギー関連技術を融合した付加価値の高い水素ソリューションの提供を目指します。
 両社は、今回の協業により、事業拡大を図ることで、カーボンニュートラル社会実現に貢献していきます。

注1:出典The European Hydrogen Strategy, European Commission 2020
注2:水の電気分解方式のひとつ。水中の酸素だけを隔膜外に移動させ、水素を製造する。アルカリ水電解式よりも高温下での化学反応となることが特長であり、高い製造効率が見込まれている。


フュージョンフュエル社概要
正式名称:Fusion Fuel Green PLC
設立:2020年3月4日
本社所在地:アイルランド ダブリン
代表者:Jeffrey Schwarz(Chairman)
事業内容:水電解装置の開発・製造・販売

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