当社は、このたび株式会社フルヤ金属（本社：東京都豊島区、代表取締役社長：古屋 堯民、以下「フルヤ」）と、PEM(プロトン交換膜：Proton Exchange Membrane)水電解装置の中核部材として使用されるイリジウムの安定的な供給網の構築に向けた事業提携を検討することについて覚書を締結しました。これにより、世界的に希少なイリジウムのサプライチェーンを強固なものとし、東芝グループが技術開発した^注1イリジウムを用いる膜電極接合体（Membrane Electrode Assembly、以下「MEA」）製造の事業を強化していきます。

　水を電気分解することにより水素を製造する水電解方式として、再エネ電力の変動への適応性が良く、耐久性の高いPEM水電解が注目されています。MEAは、PEM水電解装置の中核部材であり、その触媒には希少金属であるイリジウムが使用されていますが、PEM水電解装置のさらなる普及のためには、世界的に生産量が限られているイリジウムの使用量の削減が期待されています。

　当社は、水素を「つくる」技術において、高性能・大容量の水素製造に向けた水電解装置のMEAの開発を進めており、イリジウムの使用量を１０分の１に減らし、かつ高い水電解性能と耐久性を実現した省イリジウム技術に強みがあります。
　フルヤは、工業用貴金属の各種製品の技術力に強みがあり、イリジウムにおいては世界屈指の取扱量を誇ります。また、イリジウム製品の加工から使用済み製品の回収・精製まで一貫して対応することができ、短期間・高効率の循環型のビジネスモデルを持っています。

　今回の提携検討により、当社とフルヤは、イリジウムにおけるそれぞれの強みである省イリジウム技術と、リサイクル技術・安定供給能力により、価格変動リスクを抑止し、MEAのコスト低減を目指します。

　当社はクリーン水素社会の実現へ向けて、水電解分野でのビジネス拡大・脱炭素社会の発展に貢献してまいります。

注１：技術の詳細は以下ニュースリリースを参照ください　
https://www.global.toshiba/jp/technology/corporate/rdc/rd/topics/22/2210-01.html