「省電力無線IoTソリューション(LPIS™)」で初のデータ収集サービス事業を開始

― 山間部の雨量・水位データを遠隔地から安定して収集・提供 ―

ニュースリリース

デジタルトランスフォーメーション

新製品・サービス

2020年8月27日

東芝エネルギーシステムズ株式会社

 当社は、東京電力リニューアブルパワー株式会社から委託を受け、「省電力無線IoTソリューション(Low Power IoT Solution, LPIS™)」により、長野県大町市にある中部山岳国立公園内の4か所の水位観測局・雨量観測局からデータを収集し、提供するサービスを開始しました。本件は、「LPIS™」を用い、サブスクリプション方式でデータ収集サービスを提供する初めての案件になります。

 今回測定を行う水位観測局・雨量観測局の大部分は、車両が入れない山間部に点在しており、これまで各観測局のデータを収集するには、作業員が徒歩で往復5~6時間かけて現地へ赴く必要がありました。特に、雨季や積雪の多い冬季は、データの収集へ赴くことは困難な状況でした。こうした状況を改善するため、当社は、約20台の中継器を設置、総延長約4kmの無線ネットワークを作りました。また、衛星電話サービスを経由して、当社の本社事務所でのデータ収集が可能です。
 また、中継器の設置については、可搬型の自立ポールに取り付けることで、国立公園の環境へ配慮しました。落石や出水、雪崩などで一部の中継器が動作できなくなっても周辺の中継器で修復し、確実にデータ収集できます。なお、各中継機の運用状況は本社事務所で遠隔監視します。このように集められたデータは顧客に提供され、より効率的に発電を行うための解析などに活用されます。

 当社はこれまで、LPWA注1技術を用いた渓流取水水位監視の実用化に向けた実証実験を北海道で2018年から2019年にかけて行い、良好な結果を得て、同技術を用いたソリューションの商用化を進めてきました。今年2月には、「LPIS™」の最初のソリューションを納入しました。これらの当社の取り組み、さらに構築からデータ取得、運用保守までのワンストップサービスが提供できるところが評価され、今回のサービス提供に至りました。

 国内では、水力発電所が1500カ所以上あり、山岳地などでの計測値取得に関してのニーズが多く存在しています。また、設備稼働の効率向上や故障予知などの観点から、工場内におけるさまざまな測定値収集へのニーズも高まっており、産業用途でも「LPIS™」の活用が見込まれます。当社は、顧客ニーズに応じ、サブスクリプション方式のサービス提供及びソリューション提供の両方で、「LPIS™」の営業活動を強化していきます。

 当社は、今後も世界有数のCPS注2テクノロジー企業を目指し、「LPIS™」をはじめとした各種のIoTサービスを提供してまいります。

LPISTMの概要・システム構成(イメージ)

 「LPIS™」は、山岳地などの携帯電波の届かない地域であってもLPWA省電力無線マルチホップ技術注3を用いて安定的なデータ送信を可能とするソリューションで、サブスクリプション方式でサービスを提供します。センサノードと呼ばれる無線機から920MHz帯の電波で送信されたデータは、中継器によりバケツリレー形式で伝送され、コンセントレータに集約してからWAN注4回線に送信されます。センサノードや中継器は、独自の省電力設計により乾電池で長期間作動させることができ、中継器を設置するだけで簡単に無線ネットワークを構成することが可能です。

システム構成イメージ図

注1 LPWA(Low Power Wide Area):省電力で広域をカバーする無線技術の総称
注2 CPS(サイバー・フィジカル・システム):実世界(フィジカル)におけるデータを収集し、サイバー世界でデジタル技術などを用いて分析したり、活用しやすい情報や知識とし、それをフィジカル側にフィードバックすることで、付加価値を創造する仕組み
注3 リレー方式でデータを中継することで広い通信範囲をカバーすることが可能な通信方式
注4 WAN(Wide Area Network):地理的に離れた地点間を結ぶ通信ネットワークで、通信事業者が設置・運用する回線網のこと

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