重粒子線治療装置

CI-1000

どんな製品︖

重粒子線治療装置CI-1000は、がん治療のための放射線治療装置です。炭素イオンのビームを用いて治療を行うもので、従来のX線治療と比べて、正常な組織へのダメージを最小限に抑えつつ、がん細胞の病巣を狙い撃ちできるため、患者さんの身体的な負担を軽減することができます。患者さんが目にする治療室は全体のごく一部で、その裏側には広大なスペースが設けられており、精密な機器群が最先端のがん治療を支えています。
デザイン部門は、装置本体のプロダクトデザインだけでなく、治療空間やプロモーション活動まで幅広く関わりました。
2025年度グッドデザイン賞(公益財団法人日本デザイン振興会)の「グッドデザイン金賞(経済産業大臣賞)」および「グッドデザイン・ベスト100」に選ばれています。

開発のきっかけは︖

近年、がん患者数は増加傾向にあり、重粒子線治療への期待が高まっています。しかし、従来の治療施設は体育館ほどの敷地面積が必要で、導入のハードルが高いものでした。そこで今回、世界最小*の回転ガントリー式照射装置の開発に成功し、限られたスペースでも設置可能な治療システムを実現。より多くの医療機関で重粒子線治療の導入が可能となりました。デザイン部門では、この新しい重粒子線装置のデザインを行うとともに、この事業の価値や社会的意義をさらに多くの人に知ってもらいたいという想いがあり、今回はプロモーション活動までデザイン活動を広げました。現在は、山形大学病院や、海外展開の第一歩として、韓国・延世(ヨンセイ)大学校医療院へ納入され、治療が開始されています。
*重粒子線治療装置において

“最先端医療と社会の接点をデザインする”

Designer:一瀬謙太郎

一瀬:私は延世向けプロジェクトから関わり、装置のカラーや仕上げ、治療空間のイメージの提案を担当しました。特に、患者さんがリラックスして治療が受けられように、治療室に入ったときに感じる「やさしさ」や「安心感」を大切しました。回転ガントリー部分は、やわらかく包み込むようなデザインや間接照明によって、安心感と先進性を両立させるデザインを目指しています。治療装置自体は、シンプルで普遍的なデザインとすることで、地域性・文化・国柄も超えた治療環境に求められるニーズに応えられるようになっています。ワイヤレス化した治療装置の操作リモコンの開発では、技師さんが片手でも確実にホールドでき、直感的に操作できる形状やボタン配置にこだわり、何度もプロトタイピングしながら理想のデザインを追求しました。現場の声を反映し、使いやすさと安全性を両立させる工夫が詰まっています。

“伝え方をデザインする”

また、今回はプロモーション活動にも力を入れました。映像や展示会、Webサイト、カタログの刷新など、複数のメディアで一貫したブランドイメージを保つことを重視し、事業部と連携しながらプロジェクトを進めました。特に、韓国・延世大学校医療院の治療室完成に合わせて現地で撮影を行い制作した映像は、プロジェクトの象徴的なアウトプットでした。撮影に向けた事前準備では、予算組みやカメラマンを含む各担当者のアレンジ、スケジュール調整など、本当に大変でしたが、重粒子線治療装置の価値を伝えられるものになったと感じています。

Designer:朴ボミン

朴:私は、韓国・延世大学校医療院の撮影現場での調整やグラフィックデザインを中心としたプロモーション活動を担当しました。撮影では、韓国出身という背景を活かし、日本人と韓国人が混在する現地スタッフとのコミュニケーションや撮影ディレクションをスムーズに進めることができました。その結果、限られた時間で最適なアングルや照明を調整しながら、重粒子治療装置の伝えたい価値や魅力を最大限に引き出せたと感じています。

プロモーションでは、様々に展開した各媒体について、何のために作っているのかを毎回すごく考え、媒体ごとに、それぞれ一番効果的な伝え方は何だろうかということにこだわりました。技術的な説明に終始せず、患者や医療関係者に届くように、東芝ならではの強みを分かりやすく、エモーショナルに伝えることを意識しました。また、各媒体での色味やトーンの調整に細心の注意を払い、ブランドイメージが一貫して伝わるようにも心がけました。

Designer:山木美穂

山木:私は映像制作やウェブサイトのコンテンツ企画・編集を担当しました。撮影用のシナリオは実物を見る前に作成したので、正直なかなか実感が沸かず、お二人と相談し現物を想像しながら検討を重ねました。ですが、現地で治療装置を目にしたとき、そのスケール感と精密さに圧倒され、そこからはのめりこむように作り上げていけたのを覚えています。実際に動いている治療室の裏側の装置を目にしたときは、これが人の命を救うための機器なのだととても感動して、より自分の仕事に誇りを持てた瞬間でした。

今後の目指す姿



今後は、重粒子線治療装置のさらなる普及と、次世代装置の実現を目指しています。韓国国内での新規施設や、中東地域(UAE)への展開も予定されており、治療開始や機器納入のプロセスを通じて、業界内での認知度と評価を高めていきたいと考えています。
デザイン部門としては、顧客が必要とするプロモーションの期待にタイムリーに応え、重粒子線治療業界全体の価値を高める活動を継続します。また、装置のさらなる小型化やユーザー体験の設計など、技術革新とデザインの融合による社会課題の解決にも積極的に取り組みたいと考えています。

重粒子線治療装置についての詳細は、以下のサイトをご覧ください。
重粒子線治療装置 | 東芝エネルギーシステムズ

facebook X LINE Linkedin


一瀬謙太郎

2004 年入社
プロダクト
 &コミュニケーション
     デザイナー

朴ボミン

2022 年入社
プロダクト
 &コミュニケーション
     デザイナー

山木美穂

2020 年入社
コミュニケーションデザイナー

WORKS LIST

株式会社東芝
DX・デザイン&コミュニケーション部

〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34