放送データバンク
どんなサービス︖
「放送データバンク」は、テレビで放送されたコンテンツを販促物に活用する新しいサービスです。
例えば、メーカーがテレビ番組で紹介された自社商品に関する映像を、スーパーなどの小売店舗で販促物として展開する事で、商品の売上向上を目指しています。
このサービスにより、広告主(メーカーや小売事業者など)は、テレビ効果を活用した新たな販促活動を行えるだけでなく、販促物の制作や確認にかかる手間も大幅に削減できる事も特徴の一つです。
また、コンテンツ提供側である放送局にとっても、放送データの二次利用による新たなビジネス機会となり、コンテンツ活用の新しい広告モデルを創出できると考えています。
本プロジェクトでは、デザイン部門がサービスの全体像を整理し、ユーザー視点での価値を明確化する役割を担い、現在は実証実験(PoC: Proof of Concept)の段階まで進んでいます。
この放送データ二次活用プロジェクトにおいて、デザイン部門がどのような役割を担っているのか、その取り組みについて紹介します。
開発のきっかけは︖
東芝の放送事業は、100年という長い歴史を持ち、これまで多くの放送局に向けて機器を提供してきました。事業部門では、高い信頼性や情報伝達力を持つテレビ素材を小売業の分野での販売促進に活用できないか模索していました。しかし、サービスの概要や提供価値が十分に伝わらず、小売事業者の協力を得ることが難しいという課題がありました。
そこで、デザイン部門も参画し、フィールドリサーチや仮説構築、サービス全体像の可視化、販促物デザインの提案などを通じて、パートナー候補への具体的な企画提案を行い、概念実証(PoC: Proof of Concept)の実施につながりました。
PoCの結果から売上効果を確認し、現在はこのデータを活用した事業化に向けて引き続きプロジェクトに伴走しています。
“テレビ番組を使った新たなサービスをデザインする”
Designer:竹内仁美
竹内:もともとテレビ素材の活用については、事業部門でいろいろなアイデアが検討されていましたが、小売事業者や放送局にヒアリングしていく中で「販促物として二次活用する」というアイデアに絞られていき、PoCに向けて動き出しました。
私は主にサービス全体の構造化やPoCの企画立案を担当しました。最初は本当に、「何から始めようか?」という感じでしたが、デスクリサーチや現場調査を行う中で店舗への来店客の行動とタッチポイントを整理し、サービスフローの仮説を作り、可視化しました。
販促物のデザインでは、実際の店舗での陳列をイメージしたものを大型モニターに写し、視線の動きを録画できるアイトラッキングシステムで調査を行い、どのようなデザインが消費者の目を引くのかを分析しました。単なる販促物のデザインの検証をするのではなく、テレビ素材を使ったデザインとしてどうするべきかを考え、その結果、放送局のロゴやキャラクターの視認性を重視するなど、デザインの方向性を大きく見直しました。
Designer:広沢晴菜
広沢:私はユーザーの使いやすさとサービス実装の橋渡し役となることを念頭に、本プロジェクトに参加しました。最初は「何を作るか」すら決まっていない状態で、どう進めていけば良いのか正直戸惑いがあり、「何も決まってないけど何でもやる」ところがとても大変でした。ですが、サービスの理想像や差別化ポイントを探りながら、関係者と議論を重ねてUIに落とし込むプロセスは、とても貴重な経験でした。
現地でのユーザー観察や実験室での検証では、新しいサービスを作るためには、初期段階でこういった事前調査を行う効果を実感でき、また、楽しかったです。システムの画面を作るよりもずっと前の段階からサービスデザイナーとして入ることができ、ゼロからサービスを作り上げていく過程で、事業部門や開発メンバーと熱量を共有できたことは大きな成果だと思っています。
今は最終的なサービス化に向けた画面デザインを担当していますが、最初から関わったことで、サービス全体の流れや関係者の思いを踏まえたUI設計ができていると感じています。
Designer:大石瑛美里
大石:私は主にユーザーリサーチの計画や実施、そして実証実験当日の販促物作成を担当しました。当日は、テレビ番組が放送された後、わずかな時間で販促物を制作し、複数店舗のサイネージに展開するというスピード感が求められる作業でした。実際にはまだ存在しないサービスの検証なので、本来ならシステムが自動で処理してくれるはずのものを、PoCの際は全て手作業で行うことになり、そういった苦労や緊張感もありました。事前に社内でリハーサルを行ったときは、うまくサイネージにデータを入れられないというトラブルがあり、そのおかげか、本番では落ち着いて集中して作業することができました。
テレビ番組放送中にスタンバイしている様子
実際に作成した販促物
竹内:実験では、アイトラッキングシステムやアンケート調査など、定量・定性的な評価を組み合わせて販促物の効果を検証しました。結果として、売上が大きく伸び、店舗スタッフの方からも「こういう販促物があったらいい」という声をいただき、売上効果を確認することができました。
商品選定や番組企画の調整など、関係者間の調整は大変でしたが、デザイン部門が参画したことで、サービスの目的や効果が明確になり、PoCの実施に向けて関係者の合意形成がスムーズに進んだと感じています。
今後の目指す姿
今回の実証実験を通じて、放送データを販促物に活用することで、店舗側・放送局側の双方にメリットがあることが確認されました。
今後は、サービスの事業化に向けて、ビジネスシナリオの検討やサービス設計、プロダクト開発、プロモーション活動など、さまざまな場面でデザイン部門が伴走していきます。
デザインの力で、より多くの人に新しい価値を届けるサービスを目指し、ビジネスとして成立できるよう関係者とともに挑戦を続けていきます。
竹内仁美
2020年入社
サービスデザイナー
広沢晴菜
2022年入社
サービスデザイナー
大石瑛美里
2021年入社
サービスデザイナー
WORKS LIST
株式会社東芝
DX・デザイン&コミュニケーション部
〒212-8585 神奈川県川崎市幸区堀川町72番地34





