プロセス性能診断システム

下水処理プラントでは、流入水量や水質の変動下でも放流水質を管理基準以内に維持しながら、ブロワやポンプなどの機器の消費電力を抑えた効率的な運用が求められます。
運用改善を図るためには、プラント運用上の性能と考えられる消費電力や放流水質などの変化要因を同定し、運用改善の余地を見つけ出すことが大切になります。

概要

監視制御設備のデータサーバに蓄積されたプロセス監視データを利用して、水処理プロセスやセンサの異常を自動的に検出し、施設の技術職員が迅速かつ効率的な対応を行えるシステムです。近年求められている施設の適切な運用や効率的な維持管理などに貢献します。

プロセス性能診断システムの概要のイメージ

ポイント

  • 監視制御設備のデータサーバに蓄積されたプロセス監視データに統計的処理を行うことにより、運転管理上の致命的な欠陥やそのような状況が発生する前の小さなプロセスの欠陥などの異常を自動的に検出します。
  • 統計的処理には、プロセス監視診断技術の一種である多変量統計的プロセス管理(MSPC :Multivariate Statistical Process Control)と呼ばれる技術を応用しています。
    施設の技術職員が注目するプロセス監視データ(プロセス性能指標)とMSPCとの監視を併用することで、異常検出時にその異常要因となる変数を選択的に推定・抽出できるようにしています。
  • 異常が検出された場合には、異常アラームや要因ガイダンス(異常候補要因)の提示など、施設の技術職員が迅速かつ効率的に対応を行うための情報を提供します。
  • 提示される情報をもとに、プロセスの健全性評価を効率的に行うことができます。

構築例

プロセス性能診断システムの構築例のイメージ
  • 放流リン水質の悪化兆候(放流リン濃度0.5mg/l以上)をほぼ100%検出し、その要因を推定可能なことを示しました。
    これにより、水質悪化対策を素早く取れる可能性を得ることができました。
  • エネルギー原単位上昇時に、その要因を推定するとともに、プラントの省エネ運用に繋がる運用改善案を示しました。
  • ※本技術は、地方共同法人 日本下水道事業団との共同研究「アセットマネジメントに関する技術の開発(プロセスデータを用いた下水処理場運用改善技術の開発)」による成果を含んでおります。