ZLDシステムとは

ZLD (Zero Liquid Discharge、無排水)とは、工場からの排水をRO膜や蒸発器など用いて100%リサイクルし、排水を系外に排出しないシステムです。
東芝は、高pH RO技術を用いて従来のシステムよりも効率的で、ライフサイクルコストを低減可能なZLDシステムを提供しています。

従来のRO膜システムの目詰まり問題

従来のRO膜ではスケールとファウリングという目詰まりの問題があり、水回収率は70~80%程度が限界です。

① 硬度スケール  カルシウム、マグネシウム、重金属類の炭酸塩・硫酸塩・リン酸塩などが膜の表面に析出する現象
これらの塩の飽和溶解度を上げるためにpHを下げて運転せざるを得ない
② シリカスケール  シリカ濃度が飽和溶解度を超過し、膜の表面に析出する現象
硬度成分の飽和溶解度を上げるために低pH(酸性側)で運転されることが多いが、シリカはpHが下がると逆に飽和溶解度が下がり析出しやすくなってしまう
③ 有機物ファウリング 有機物が膜の表面に堆積する現象
生物処理後も残存する難分解性CODはその他の前処理では除去困難
CODが残存するとROによる高い水回収率の達成は困難となる
④ バイオファウリング 膜の表面に微生物が繁殖する現象
薬品洗浄でも除去が困難で一度発生すると回復できないケースが多い 
① 硬度スケール  カルシウム、マグネシウム、重金属類の炭酸塩・硫酸塩・リン酸塩などが膜の表面に析出する現象
これらの塩の飽和溶解度を上げるためにpHを下げて運転せざるを得ない
② シリカスケール  シリカ濃度が飽和溶解度を超過し、膜の表面に析出する現象
硬度成分の飽和溶解度を上げるために低pH(酸性側)で運転されることが多いが、シリカはpHが下がると逆に飽和溶解度が下がり析出しやすくなってしまう
③ 有機物ファウリング 有機物が膜の表面に堆積する現象
生物処理後も残存する難分解性CODはその他の前処理では除去困難
CODが残存するとROによる高い水回収率の達成は困難となる
④ バイオファウリング 膜の表面に微生物が繁殖する現象
薬品洗浄でも除去が困難で一度発生すると回復できないケースが多い 

高pH ROを用いたZLDソリューション

高pH ROを用いることでRO膜の目詰まりの原因を取り除き、水回収率を95%程度まで上昇させることができます。

<処理プロセス>

従来ROと高pH ROを用いたZLDシステムの比較

  従来ROを用いたZLD 高pH ROを用いたZLD
水回収率 × 70~80%程度 原水TDSによるが多くのケースで90%以上
初期費用 蒸発器の初期費用が大きい 蒸発器の初期費用は小さくなるが、イオン交換塔やROの高圧化による費用は大きくなる
運転費用 × 蒸発器用の蒸気コストが非常に大きい 運転費用は半分程度になることが多い
イオン交換用の薬品コストやRO用の電力コストが増えるが、蒸気コスト削減の方がはるかに大きい
日常点検 標準的な点検業務 機器点数が増えるため、日常点検の手間は増えるが、特殊な点検を必要とするものはない
定期メンテナンス スケール・ファウリングによりRO膜の薬品洗浄・膜交換の頻度が高い
同様に高濃度硬度成分が蒸発器でスケールを引き起こすため、蒸発器の洗浄頻度も高い
高pH ROではスケール・ファウリングは予防されているため、薬品洗浄頻度は抑えられ、膜は長寿命化する
蒸発器の洗浄頻度も下がる
  従来ROを用いたZLD 高pH ROを用いたZLD
水回収率 × 70~80%程度 原水TDSによるが多くのケースで90%以上
初期費用 蒸発器の初期費用が大きい 蒸発器の初期費用は小さくなるが、イオン交換塔やROの高圧化による費用は大きくなる
運転費用 × 蒸発器用の蒸気コストが非常に大きい 運転費用は半分程度になることが多い
イオン交換用の薬品コストやRO用の電力コストが増えるが、蒸気コスト削減の方がはるかに大きい
日常点検 標準的な点検業務 機器点数が増えるため、日常点検の手間は増えるが、特殊な点検を必要とするものはない
定期メンテナンス スケール・ファウリングによりRO膜の薬品洗浄・膜交換の頻度が高い
同様に高濃度硬度成分が蒸発器でスケールを引き起こすため、蒸発器の洗浄頻度も高い
高pH ROではスケール・ファウリングは予防されているため、薬品洗浄頻度は抑えられ、膜は長寿命化する
蒸発器の洗浄頻度も下がる

高pH ROの特長

水回収率95%以上

従来のROを用いたZLDシステムに比べ、高pH ROを用いたZLDシステムでは運転費用を大幅に削減できます。

導入実績

自動車工場

場所 インド
導入時期 2017年
処理水量 350 m3/日
背景 某日系自動車メーカーが建設する車両工場において、汚染管理局よりZLDを要求されていた。
TWSは工場建設の元請である日系ゼネコンの下請として、280m3/dの排水処理・給水処理を兼ね備えたZLDプラントの建設を行った。
所掌 設計、調達、機械電気工事、試運転
ソリューション 各排水の性状にあわせた一次処理を個別に実施したうえで、全ての排水を合流させ生物処理・RO膜処理を行うという形で最適化を図った。
また蒸発器の容量を減らすために高pH RO技術を採用し、ROによる水回収率最大化(95%)を行った。

処理プロセス