生産技術センター

東芝の研究開発・技術

若手研究者の素顔

[イメージ] K.M.さん

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世界を変える、
新しい生産技術の実用化へ挑戦

  • 実装技術研究部
  • 専門技術
    先進的ウェットエッチング技術
  • マテリアル生産科学専攻 2014年入社 K.M.さん

高度な実装技術の習得を目指して

[イメージ] 仕事風景写真

学生時代はマテリアル生産科学専攻で、車載用電子機器の寿命予測に関する研究をしていました。その中で、日本のものづくりの強みである信頼性の高い製品を開発することの大切さに触れ、世界で通用する実装技術の開発に携わりたいと考えました。そこで、世界初、世界一の製品を多く生み出していた東芝に興味を持つようになりました。

そして、様々な製品の研究・開発に携わることが出来る生産技術センターに魅力を感じ、現在の配属先である実装技術研究部のインターンシップに参加しました。その時に、研究室とは異なる、企業の研究スピードの速さや研究者レベルの高さに刺激を受け、入社したいと思うようになりました。

入社後は、配属前に基礎研修と工場実習を受けました。研修で多様な経歴を持った同期と有意義な時間を過ごして刺激を受ける一方で、工場実習で実際の生産現場のラインに入ることで、ものづくりのやりがいや大変さを肌で感じることが出来ました。実装技術研究部に配属された後は、一貫して半導体後工程での新規ウエハ加工技術の開発を担当してきました。

ダイシング工程での革新を起こす

[イメージ] 仕事風景写真

半導体ウエハをチップに個片化する工程はダイシングと呼ばれます。現在のダイシング工程では、円形のブレードを回転させてウエハを機械的に割断する方法が広く使われています。これに対して、私は、貴金属触媒を用いた異方性WETエッチング技術を応用してチップを個片化する新しい工法の開発を進めています。この新規工法では、従来工法と比較して、個片化に必要な加工幅を狭くして1ウエハから製造できるチップの数を増大すること、また、複数のウエハを同時に処理できるため加工に要する時間を大幅に低減することができます。この技術では、ウエハ数10μm幅でSi垂直加工することが技術確立に向けたポイントです。そのため、加工仕様を実現する仮説を立てて、実験で検証することを繰り返しています。

実験で発生した現象の把握のため、電気化学や触媒化学など多くの専門知識を身に付けるとともに、文献調査で同様技術の進捗を確かめ、有識者と議論を重ねることで、開発を一歩ずつ前進させています。この技術が実用化され世界中で広く使われることを目指して、日々課題解決に取り組んでいます。

学生時代は材料科学や金属組織学を学んでいたため、当初は分からないことばかりでした。実装技術研究部内、また生産技術センター内には、様々な分野の専門家が在籍していて、アドバイスを頂きながら業務を進められるので、自分を大きく成長させることが出来る非常に良い環境だと思っています。

プライベートも充実

実装技術研究部では、半導体・電子部品や電子機器の組立に関係する技術の研究・開発を幅広く行っています。代表的な開発製品には、半導体パッケージ・モジュール、ヘルスケア分野のウェアラブル機器、LED照明などがあります。部署には、組立技術の研究者に加えて、シミュレーションを専門とする研究者も在籍しており、実験で発生した現象の考察を、プロセスと解析の両面から追求していくことが出来ます。私は、まだ一つの技術開発にしか携わっていないですが、将来的には専門とする技術の領域を広げながら、社会に有益な変化を与える技術の開発に取り組み続けたいと思います。

会社生活を充実させるためには、プライベートの時間も大切だと思います。私は、生産技術センターのバスケットボール部に所属しています。毎週、水曜日は定時間で仕事を終わらせてチームのメンバと一緒に練習を行い、土日に練習試合やリーグ戦を行っています。所属や年齢に関係なく、バスケットで汗を流し、飲み会で話をして交流を深めることが出来るのが魅力であり、よいリフレッシュになっていると実感しています。その他、ゴルフをしたり、旅行をしたりと充実した会社生活を楽しく送ることが出来ています。

入社当初は、専門分野と異なる業務で戸惑った部分も多々ありました。しかし、現在は不足していた専門知識を徐々に深耕することができていて、大きなやりがいを感じています。今では、現在の業務に付けたことは知識の幅を広げる良いきっかけになったと思います。皆さんには、充実した会社生活を送るための選択肢が沢山あるはずなので、どんな選択肢があるか積極的に見つけに行ってください。その結果、生産技術センターを選んで頂けると、嬉しく思います。

[OFF TIME~プライベートの過ごし方~] 所属や年齢に関係なく、一緒に汗を流し、交流を深めることが出来るのが魅力。

先輩から
ひとこと!

実装技術研究部では、半導体パッケージ・モジュール技術、実装設計・信頼性技術を中心として、電子部品や機器の軽薄短小化、高性能・高機能化、低コスト化を進めています。

Mさんには、入社以来、貴金属触媒でSiを垂直にウェット加工する技術をウエハの個片化に適用する新規工法を開発するチームで研究を進めてもらっています。この工法開発は世界で初めてで研究事例が少ないことから、課題をすべて開発チームで解決していかなくてはならないため、非常に難易度が高く、苦労の多いテーマです。Mさんは、仕様の達成に必要なメカニズムを構築するため、仮説を立てる、実験で仮説を確認する、結果を理解して出てきた課題を対策する、という開発ルーチンを積極的かつ丁寧な姿勢で着実に進めており、現在では要素技術の確立に目途が付きつつあります。まだ、いくつもハードルがありますが、必ず乗り越えて生産展開を実現し、良い経験を積んでもらいたいと考えています。業務姿勢に加えて、温和で物腰が柔らかいことから周囲の信頼も厚く、今後も順調に成長をして、開発部の中核を担う人材となることを期待しています。