WORKS

事例紹介

検針機能付き
TSリークチェッカー
SV-2000

どんな製品?

検針機能付きTSリークチェッカーは、検針員の方が水道メーターの上に置くだけで水道使用量の検針と水道管路の点検という2つの作業が行える測定器です。検針員の方が通常の業務としてメーターの数値を読み取ると同時に、水道メーターから水道管路の音データを取得。クラウド解析で漏水箇所の診断を行い、水道の維持管理に役立てるシステムです。従来の漏水調査よりも短い間隔で行われる検針業務に水道管路の点検も組み込むことで、漏水調査を効率的かつ高頻度に行い、従来よりも多くの基礎データを蓄積することが可能になります。

どんな製品?検針機能付きTSリークチェッカー

開発のきっかけは?

水道インフラの分野では、水道管の老朽化が漏水を引き起こす原因の一つになっています。水を安定的に供給するには、常に水道管の状態を把握し、漏水規模が拡大する前に対処する状態監視保全が重要です。従来の漏水調査では、専門の調査員が特殊な装置を用いて水の音を聴くことで漏水の判断をしていました。しかし、水道管の敷設エリアが広域であり、漏水調査を実施できる業者数の減少などの問題があり、調査は年に1回あるいは3年に1回などの低頻度でしか実施できず、基礎データが少ないことから状態監視保全ができない状態でした。

開発のきっかけは? 検針機能付きTSリークチェッカー

Designer:鶴見慎吾

検針機能付きTSリークチェッカーにはカメラとセンサーが内蔵されていて、メーターの数値を撮影して読み取るとともに、水道管の音も収集します。これにより、漏水を判断するための基礎データを蓄積することが可能となります。この仕組みを初めて聞いた時、これは便利なものだと思いました。でも、それは水道の保守点検事業を運用管理している立場の人の視点でした。世の中の役に立つことは間違いありませんが、検針員の方々の視線で考えると今までは検針作業だけだったのに、余計な仕事を一つ増やされた。と思われてしまうかもしれません。そんな気持ちにさせず、これくらいだったらいいよ。というレベルに落ち着ける必要があると感じました。

鶴見慎吾


そこで検針作業の厳しさを身を持って体感し、測定時だけでなく移動時にも負担がかからないこともポイントであると気づきました。このような着想から、3Dプリンターを用いたラピッドプロトタイプを作成し、実際に作業が行われる現場に持ち込んで試すことで、素早く当事者のフィードバックを得ながら開発を進めました。


検針機能付きTSリークチェッカー 製品モック

“検針員の心地よさを
デザインする”

このシステムはインフラの保全という切り口でも語れますが、この端末を使ってデータ収集をしてくれる検針員の方々のことに焦点を合わせるべきだという思いが明確でした。この事業をうまく仕組みとして機能させるには、実際にチェッカーを現場で使う方の負担をいかに軽減できるか、心地よく思ってもらえるかがポイントです。 検針員には女性が多いという点も考慮しながらデザインしました。デザインセンターの女性にも協力してもらいながら幅や大きさの微調整を行いました。女性の手に収まるフォルムを持つグリップは、落とさない安心感がありながらコンパクトで持ちやすく、指に引っかかる形状を追求しています。 今回はプロトタイプをたくさん作って、現場で試して、形を作っていきました。プロダクトデザインのプロセスとしても、とてもいい経験をしたと思います。

検針員の心地よさをデザインする 検針機能付きTSリークチェッカー

デザインの特徴

滑り止めのエラストマーの範囲を大きめにとることで、グリップの位置が一目でわかるデザイン。底面を水道メーターの円形状に合わせているので、チェッカーを置く位置が直感的に分かります。底には本体をしっかり設置できたかどうかが感覚的に分かるよう突起を設ける一工夫も。また、充電式ではバッテリー切れから業務に支障をきたすという検針員経験者の声を反映し、コンビニでも入手可能な単3電池仕様としました。容易な電池交換と防水性の両立という課題は、回転式のキャップというシンプルな機構で解決しています。 十分な状態監視保全が実行できず、発見遅れで漏水規模が拡大し路面が陥没したり、無為に失われる無効水量が増大するなどのリスクを低減する効果が期待できます。2017年度グッドデザイン(公益財団法人日本デザイン振興会)賞を受賞しています。

デザインの特徴 検針機能付きTSリークチェッカー

デザインの特徴 検針機能付きTSリークチェッカー



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  • 鶴見慎吾
    鶴見慎吾
    2015年入社
    プロダクトデザイナー
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東芝のデザイン
株式会社東芝 CPSxデザイン部
〒105-8001 東京都港区芝浦 1-1-1