人事管理とは?業務内容や目的、労務管理との違いについても詳しく解説

人事管理とは具体的にどのような業務なのか、また、どのように進めればよいのか悩んでいる経営者や人事担当者の方も多いのではないでしょうか。

人事管理の業務内容を理解すると、採用・育成・評価・配置に加え、勤怠管理や給与計算、従業員情報の管理まで、自社で整備すべき業務が見えてきます。

本記事では、人事管理の仕事内容や労務管理との違いに加え、人事管理を効率化するシステムについても紹介します。人事管理を進める際の参考にしてください。

人事管理とは?

人事管理とは、従業員に関する情報や業務を適切に管理し、企業の目標達成につなげる取り組みを指します。具体的には、以下のような幅広い業務が含まれます。

  • 採用
  • 人材育成
  • 人事評価
  • 配置
  • 勤怠管理
  • 給与計算
  • 福利厚生
  • 従業員情報の管理 など

入社時の手続きにとどまらず、入社から在籍期間を経て退職するまで、従業員に関わる一連の業務を継続的に管理する点が特徴です。さらに、福利厚生の整備や人材育成、研修内容の選定など、従業員が働きやすい環境を整えることも重要な役割となります。

こうした取り組みを通じて従業員が能力を発揮できる環境を整備し、組織全体の生産性向上や企業の目標達成を目指します。

内部リンク:No.31 HRとは

人事管理を行う目的

人事管理を行う目的は、以下のとおりです。

  • 必要な人材を採用し、事業計画に見合った人員を確保する
  • 研修や日々の指導を通じて、仕事に必要な知識・技能を育てる
  • 成果や行動を共通の基準で評価し、納得感のある処遇につなげる
  • 経験や適性を踏まえて、能力を発揮しやすい部署・役割へ配置する
  • 勤怠管理や給与計算、社会保険手続きを適切に行い、安心して働ける環境を保つ

人事管理の目的は、企業に必要な人材を確保し、一人ひとりが能力を発揮しやすい環境を整えることです。採用・育成・評価・配置を一連の流れとして管理することで、人材不足や本人の能力と担当業務のミスマッチを抑えられます。

また、従業員の所属や評価結果、経験、資格などの情報を一元化しておけば、担当者の記憶や個別ファイルに頼らず、配置や育成の判断材料として活用できます。

人事管理が注目される背景

人事管理が注目されている背景は、以下のとおりです。

  • 人手不足や働き方の多様化が進み、採用だけでなく、採用後の育成や定着にも取り組む必要性が高まっている
  • 採用後の育成・評価・配置・定着までを一貫した流れとして管理する必要性が高まっている
  • 多様な働き方・価値観を踏まえた柔軟な人員配置は、従業員満足度や定着率の向上に寄与する可能性がある
  • キャリア形成の支援が、優秀な人材の確保・定着に寄与する

こうした背景から、企業には従業員を育成し、能力を活かしていく姿勢が求められており、人事管理の重要性が高まっています。

人事管理と関連業務の違い

人事管理と労務管理、勤怠管理、タレントマネジメントは互いに関係しますが、主な目的と対象が異なります。

分野 主な目的
主な業務・管理情報
人事管理 人材を確保・育成・活用する ・採用
・育成
・評価
・配置
・人事計画
勤務管理 法令を遵守した労働環境を整える ・労働時間
・給与
・社会保険
・就業規則
・福利厚生
勤怠管理 労働時間や休暇を正確に把握する ・始業・終業
・休暇
・遅刻・早退
・時間外労働
タレントマネジメント 人材情報を戦略的な配置・育成に活かす スキル、経験、資格、評価履歴、キャリア希望


ただし、実務上の区分は企業によって異なります。同じ部署や担当者が複数の分野を担う場合でも、各業務の目的と管理する情報を整理しておくことが大切です。

労務管理との違い

人事管理は、採用・育成・評価・配置を通じて、従業員の能力を組織の成果につなげることを主な目的とします。

一方、労務管理は、労働時間管理、給与計算、社会保険手続き、就業規則、安全衛生管理などを適切に行い、従業員が法令を遵守した労働環境で働ける状態を整える業務です。

簡潔に分けると、人事管理は「人材の活用」、労務管理は「労働環境の管理」に重点があります。ただし、労務管理を広義の人事管理に含める考え方もあります。

内部リンク:No.8 労務管理
内部リンク:No.9 労務

タレントマネジメントとの違い

人事管理が従業員情報や採用、評価、配置などを幅広く扱うのに対し、タレントマネジメントは、人材情報を経営戦略に沿って活用することに重点を置きます。

タレントマネジメントで主に管理する情報は、次のとおりです。

  • スキルや保有資格
  • 職務経験や配属履歴
  • 評価履歴
  • 研修の受講履歴
  • キャリアの希望

これらの情報を可視化すると、適切な配置、個別の育成計画、後継者候補の選定などを検討しやすくなります。

勤怠管理との違い

勤怠管理とは、従業員の始業・終業時刻、休暇、遅刻・早退、時間外労働などを記録し、労働時間を把握する業務です。人事管理よりも対象範囲が限定されており、実務上、労務管理の一部として扱われることが多いです。

勤怠情報は、給与計算や長時間労働の把握にも使われます。入力漏れや集計ミスがあると、賃金の計算を誤る原因になるため、正確な記録と管理が欠かせません。

厚生労働省のガイドラインでは、使用者は労働日ごとの始業・終業時刻を確認し、適正に記録することとされています。勤怠管理は、単なる社内事務ではなく、適切な労務管理の基盤となる業務です。

参考:労働時間の適正な把握のために使用者が講ずべき措置に関するガイドライン(厚生労働省のサイトに遷移します)

人事管理の主な仕事内容

人事管理のうち、人材の採用・育成・活用に関する主な業務は、次の6つです。

目的 配置で確認すること
採用 必要な人材を明確にし、募集・選考・入社までを管理する
育成・マネジメント
従業員の成長を支援する制度や仕組みを整える
人事評価 成果や行動を評価し、処遇・育成に反映する
人材配置 能力や経験に応じて部署・役割を決める
人事計画の策定 事業計画に必要な人員数やスキルを整理する
モチベーション・コンディション管理 従業員の意欲や心身の状態を把握し、必要な支援を行う

採用

採用は、事業計画の達成に必要な人材を明確にし、募集から選考、入社後の受け入れまでを進める業務です。

まず、必要な部署・役割・人数・スキル・採用時期を整理します。そのうえで求人を作成し、応募受付、面接、選考、内定者への連絡を行います。求人サイトや人材紹介会社など、採用する人材に合った手段を選ぶことも必要です。

入社後のミスマッチを防ぐには、仕事内容や働き方を正確に伝えなければなりません。入社時の案内や研修も準備し、円滑に働き始められる受け入れ体制を整えます。

内部リンク:No.40 要員計画

育成・マネジメント

育成は、従業員が業務に必要な知識やスキルを身につけ、成長できるよう支援する業務です。求める人材像を明確にし、本人の経験・能力・課題・キャリア希望に合った研修や実務経験を設計します。

現場の管理職は目標設定や進捗確認、助言などを行い、人事部門はそれらを適切に運用するための制度や仕組みを整えます。上司による指導のばらつきを抑えるには、期待する行動や必要なスキル、育成の手順を明確にすることが重要です。

人事評価

人事評価は、従業員の成果や行動を共通の基準で評価し、給与・昇進などの処遇や育成に反映する業務です。

評価者の感覚や印象に偏ると、従業員が不公平だと感じる原因になります。評価項目、基準、対象期間、手順を明確にし、事前に従業員へ共有することが大切です。

評価結果は処遇を検討する材料とするだけでなく、本人の強みや課題を確認し、次の目標や育成内容を考えるためにも活用します。事業環境や職務内容の変化に合わせて、評価制度を定期的に見直しましょう。

内部リンク:No.55 評価制度
内部リンク:No.46 人事評価 AI
内部リンク:No.50 人事考課

人材配置

人材配置は、従業員の能力、経験、適性、保有資格、実績、キャリア希望などを踏まえて、部署や役割を決める業務です。

本人の適性と担当業務に大きなずれがあると、能力を十分に発揮できず、意欲の低下につながる場合があります。複数の情報をもとに配置を検討することで、従業員の成長と組織の成果を結び付けやすくなります。

異動後も面談や評価を行い、必要に応じて役割や支援方法を見直すことが重要です。

内部リンク:No.38 人員配置
内部リンク:No.36 人事異動とは

人事計画の策定

人事計画の策定は、事業計画を実現するために必要な人員数や役割、技能などを整理する業務です。将来の事業目標から逆算し、どの部署にどのような経験や能力を持つ人材が必要なのかを検討します。

計画を立てたうえで、社外から採用するのか、現在の従業員を育成するのか、別の部署から配置するのかを判断します。人事計画を立てずに採用を進めると、ある部署では人手が不足したり、別の部署では役割が重複したりする状況が生じるかもしれません。

採用・育成・配置を個別に考えるのではなく、共通する事業目標に沿って一貫して進めることが大切です。

内部リンク:No.44 戦略人事

モチベーション・コンディション管理

モチベーション・コンディション管理は、従業員が意欲を保ち、心身への過度な負担を避けながら働けるよう支援する業務です。

勤務状況や休暇の取得状況、面談内容などの変化を把握し、気になる点があれば本人へ確認します。そのうえで、必要に応じて面談を行い、業務量の調整、上司による支援、配置の見直しなどを検討します。

健康情報などは特に慎重な取り扱いが必要です。利用目的を明確にし、閲覧権限を必要最小限に設定したうえで管理しましょう。

内部リンク:No.35 従業員満足度調査
内部リンク:No.37 従業員エンゲージメント
内部リンク:No.42 パルスサーベイ

人事管理のメリット・デメリット

人事管理を整備すると、人材に関する判断の質を高めやすくなります。一方で、管理項目が増えることで、運用負担や情報漏えいのリスクが生じます。

ここでは、人事管理のメリットとデメリットについて解説するので、人事管理をこれから行おうとしている方は参考にしてみてください。

人事管理のメリット

人事管理の主なメリットは、次のとおりです。

  • 従業員情報の重複入力や更新漏れを減らせる
  • 経験や資格、適性を踏まえて配置を検討できる
  • 評価結果や研修履歴を、必要な育成内容を検討する材料にできる
  • 共通の情報と基準に基づき、人事施策を進められる
  • 担当者の記憶や感覚だけに頼る状態を防げる

従業員情報を一元化し、採用・育成・評価・配置に活用することで、事業目標に沿った人材活用を進めやすくなります。

人事管理のデメリット

人事管理では、運用方法によって次のような問題が生じます。

  • 管理項目が多すぎると、入力や確認の負担が増える
  • 情報が更新されず、古いデータが残る
  • 給与や評価、健康情報などの個人情報が漏えいするリスクがある
  • システムとExcelの二重管理が残る場合がある
  • 特定の担当者しか運用できず、業務が属人化する

システムを導入しても、業務フローを整理しなければ負担が増える可能性があります。導入費用や教育にかかる時間も含め、運用体制を事前に検討する必要があります。

人事管理を行う際のポイント

人事管理を効果的に進めるには、次の順序で取り組みます。

手順 確認する内容
目指す状態
1.目標を明確にする
解決したい人事課題
具体的な目標を関係者で共有する
2.現状を把握する 人員構成、スキル、業務フロー、管理方法
不足、重複作業、属人化を明らかにする
3.人材戦略を立てる 必要な人材と確保方法
採用・育成・配置を連携させる
4.教育・研修体制を整える 必要な知識・スキル
学習内容を実務で活かせるようにする
5.システムの導入を検討する 必要な機能、権限、運用体制 情報を安全かつ効率的に管理する

1.目標を明確化する

まず、人事管理によって解決したい課題を明確にします。採用期間の短縮、離職の抑制、適切な配置、管理業務の効率化など、目的によって必要な情報と施策は異なります。

「誰が」「何を」「いつまでに」改善するのかを定め、可能であれば達成度を測る指標も設定しましょう。目的が曖昧なまま管理項目を増やすと、入力作業だけが増え、情報を活用できません。

2.現状把握を行う

次に、現在の人員構成、従業員のスキルや経験、業務の流れ、情報の管理方法を確認します。

どの部署にどのような人材がいるのか、将来必要な能力が不足していないかを把握します。併せて、複数ファイルへの重複入力や、特定の担当者しか分からない作業がないかも確認しましょう。

3.人材戦略を立案する

人材戦略では、事業目標の達成に必要な人材を、どのように確保・育成・配置するかを決めましょう。

必要な人数、スキル、経験、役割を整理し、採用、社内育成、配置転換のどれで補うかを検討します。事業目標と従業員のキャリア希望を結び付けることで、中長期的な育成や定着にもつなげやすくなります。

4.教育・研修の体制を整える

役職や職務ごとに必要な知識・スキル・行動を明確にし、従業員の経験や課題に合った研修を用意します。

研修は実施して終わりではありません。面談や業務上の成果を通じて、学んだ内容を実務で活かせているか確認します。受講履歴や成長の状況は記録し、次の育成計画や配置の判断に活用しましょう。

5.人事管理システムを導入する

重複入力、更新漏れ、Excelとの二重管理が増えている場合は、人事管理システムの導入を検討します。

 

導入前に現在の業務フローを整理し、解決したい課題と必要な機能を明確にすることが重要です。最初からすべての業務を移行せず、入退社手続きや従業員情報の管理など、対象を絞って始める方法もあります。

人事管理システムの選定時は、次の点を確認しましょう。

  • 自社に必要な機能があるか
  • 既存システムと連携できるか
  • 閲覧・編集権限を細かく設定できるか
  • 変更履歴を確認できるか
  • 導入後の支援を受けられるか
  • 操作方法が分かりやすいか

人事管理システムを導入するメリット

人事管理システムを導入することで、以下の効果が期待できます。

  • 業務を効率化できる
  • データを一元管理できる
  • 人的ミスを減らせる

業務を効率化できる

人事管理システムを導入すると、定型業務の負担軽減が可能です。給与計算や勤怠集計、入退社手続き、年末調整などをシステム上で処理し、紙の申請を電子化することで、転記や確認にかかる手間を抑えることが期待できます。

また、同じ情報を複数のExcelに入力する作業も減るため、特定の担当者しか手順を把握していない属人化の抑制にも役立ちます。業務の効率化によって生まれた時間を、採用計画や従業員の育成、人材配置の検討などに充てられる点も大きなメリットです。

データを一元管理できる

住所、入社日、所属、配属履歴、評価結果などの従業員情報を一か所に集約できます。部署ごとに異なるファイルで管理する場合と比べ、最新情報を確認しやすくなり、更新漏れや二重管理を防ぎやすくなります。

人的ミスを減らせる

入力項目や処理手順を設定することで、記入漏れ、入力形式のばらつき、転記ミスを減らせます。変更履歴を記録できるシステムであれば、問題が起きた際に原因を確認しやすくなります。

ただし、システムの導入だけでミスを完全に防げるわけではありません。入力内容の確認、権限管理、定期的な情報更新などの運用ルールも必要です。

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人事管理とは、採用・育成・評価・配置などを通じて、人材を活かし、企業の目標達成につなげる取り組みです。企業によっては、勤怠、給与、福利厚生などの労務管理も含まれます。

効果的な人事管理には、目的の明確化、現状把握、人材戦略、教育体制、情報管理の整備が欠かせません。従業員情報が複数のファイルに分散し、重複入力や更新漏れが発生している場合は、人事管理システムの導入も選択肢になります。

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