[第31回]自身の仕事観と学び


2020.1.20

学ぶことは、わくわく感に通じる。先日、キャリアコンサルタント資格の更新のため「ジョブカード」の講習を受講した。久しぶりの研修参加のため、時間に遅れないように緊張して参加した。3人毎のグループに分かれて席が設けられており、事前課題として作成した自身のジョブカードをもとに、ロールプレイを中心とした内容であった。1日の研修を終えて、久しぶりの高揚感を感じた。やはり、学ぶことは刺激であり、新たな発見があり、明日への活力にも通じる。本年も学びへの刺激をお届けしたいと思います。

自身の仕事観に気づく

皆さんは、自身の仕事観について考えたことがありますか?ジョブカードは、ご存知の通り「生涯を通じたキャリア・プラニング」及び「職業能力証明」の機能を担うツールであり、職業能力開発訓練においても活用が期待されています。研修の宿題にもあげられた「職務経歴シート」には、職務内容を時系列的に記載し、その職務の中で学んだこと、得られた知識や技能等を記入します。
またもう一つの様式「キャリア・プラニングシート」には、大事にしたい価値観や興味や関心事、自分の強みや弱みを克服するために努力していること、今後やってみたい仕事や働き方、仕事を通して達成したいこと、今後向上・習得すべき職業能力やその方法などを記入します。

本カードを記入して気づいたことは、さまざまな職場で、製品開発や人材開発などの仕事に従事してきたが、一貫して自分自身が仕事を通して大事にしていること、つまり共通の仕事観があることに気づいた。この仕事観は、自身がクライアント役になり、コンサル役の方とロールプレイをしている時に、コンサル役の方が掛けてくれた言葉を通して「自分の仕事観は、そうかもしれないな」と腹落ちすることができた。

ご存知のように、会社で導入が進んでいるキャリアドック制度は、人間ドックのように立ち止まって、自身のキャリアを点検する機会となる。このような場を通して、上司と部下がお互いの仕事観の違いに気づくことができれば、両者の軋轢を少し和らげることになるのではないだろうか。

また、ジョブカードは教育訓練にも活用できる。本カードには職業能力を見える化するために、免許や資格、教育訓練履歴、職務経験、教育訓練成果の評価、職場での仕事ぶり等の情報も記入する。教育訓練の受講前、受講中、そして受講後に本カードを活用して、面談することで、教育訓練受講の必要性の明確化(何のために学ぶのか)、受講意識の向上(自分の棚卸で見えてきた強みや弱みを強化する視点を自覚できる)、そして教育訓練効果の向上(受講後に現場で活かしていくための支援を得られる)等が期待できるというわけだ。

その面談は、キャリアコンサルタントが担う場合もあるが、一番身近な上司であるマネージャが関わることができたらどうだろうか。

マネージャの本気度が試される

話は少し変わるが、昨今、部下を育成し、目標を達成させるマネジメントツールとして1オン1ミーティングが注目されている。従来の目標管理面談は期初と期末に行う場合が多いが、1オン1は、週1回や月1回の開催が特徴。言葉を換えれば、管理者が、マネジメントにかける時間を半ば強制的に増やそうとの取り組みと言っても良い。

優秀なプレーイングマネージャであればあるほど、プレーイングに関心が向き、部下育成などのマネージャとしての軸が薄くなる傾向がある。従って、1オン1を成功させるためには、マネージャの本気度が試されることになる。

毎回の面談に備えて、常日頃の部下の行動や発言などに関心を持ち、観察し、メモをとる。フィードバックをより具体的に、効果的に行うために、必要不可欠な情報となる。更に、先程述べたようにジョブカードを活用することができれば、上長との面談機会は教育効果を上げることにもつながるはずである。部下が受講する教育の受講前後で、1オン1を通して、タイムリーに教育に臨む姿勢や思いを共有したり、受講後の変化やその変化の持続性を確認することができる。

たかが1オン1、されど1オン1

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2020年1月時点のものです。


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