“人間力”ある人づくりを目指して

[第41回]当たり前について考えてみよう


2021.11.10

突然ですが、皆さんは「美術」という教科に対して、どんな印象を持っていますか? 私はあまり良い印象はありません。作品を描いても、評価してもらえず、自分には絵の才能は無いなと、諦めて今に至っているように感じています。車で15分程のところに美術館がありますので、本物に触れることは大切だという言葉を信じて、年に数回は鑑賞しています。今回はこれまでの凝り固まった思考を打ち破ってみたいと思います。

アート思考とは?

これからの時代、どのような仕事に従事してもアートの視点は重要になると言われています。そこで関心をもって「13歳からのアート思考」(末永幸歩著)を手に取ってみました。

 

「ビジネスだろうと学問だろうと人生だろうと、こうして『自分のものの見方』を持てる人こそが、結果を出したり、幸せを手にしたりしているのではないでしょうか? じっと動かない1枚の絵画を前にしてすら『自分なりの答え』をつくれない人が、激動する複雑な現実世界のなかで、果たしてなにかを生み出したりできるでしょうか?」(出典:末永幸歩著「13歳からのアート思考」)

 

 アート思考はこれまで存在している、いわゆる「正解」に左右されることなく、「自分だけのものの見方」を通じて、「自分なりの答え」を探求する営みと言うわけです。

例えば、これまでは、絵を鑑賞する時には表示されている解説文を読み、その内容を頼りに、フィルタを通して見ていたように感じています。これまでの型にはめた見方を脱ぎ捨てるとの発想は、自分にはなく、その出会いにわくわくする思いで、この本を読み進めました。

 

本著の中でも紹介されていますが、タンポポを描いて下さいと言われたら、皆さんは何を描くでしょうか? 野に咲く黄色のタンポポの花や緑の葉を思い描くのではないでしょうか。 しかし、地表に出ているタンポポはほんの一部であり、多くは地中に深く根を張っているのです。このように、これまでの当たり前の発想では見落としている視点や気づかない感性があるのではないでしょうか。

必要な人に、必要な教育を

発達障がいを経験された方から「周りの人の会話が英語で話しているような感覚だった。しかし、パソコンは入力した通りに返ってくる。分かりあえる相手がいると感じた」とお話は印象的で、自分の捉えている世界が当たり前ではないと感じました。

 

会社では人材のあるべき姿を定義し、その定義に近づく人材を育てています。つまり、型にはめた人を育てることが、正解と言うわけです。私も、この道を進んできた一人ですが、ふり返ってみると、これでは同じような人間しか育たない。また、人材定義は時代と共に、変化し続けていかねばならない宿命があり、これが、人材定義を定めた瞬間から陳腐化してしまう所以でもありました。

 

一方、本稿でお話ししている人間力はどうでしょうか。人間力の捉え方はさまざまであり、明確な定義は見当たりません。人間力は時代と共に変化するものではなく、長持ちする人材、魅力ある人材に結びついています。その人間力は肩書や立場では決まらないとの信念から、人間力講座にお呼びした講師は、決して肩書や立場での人選は行いませんでした。その方の著書を読み、事前に面談させて頂いたり、講演を聞くなど心がけました。人材開発担当者として、社員一人ひとりが人間力を磨くことに関心をもち、今日より明日へ、あくなき挑戦を続けるために、何が支援できるだろうかと、考える日々でした。

 

今年度も、会社では新入社員を迎えて導入教育が行われています。

 

社会人としての教育も一律一斉の学びから、自分に合った多様な学びと学び方への切り替えが必要ではないでしょうか。入社してくる新入社員は一人ひとり違って当たり前です。一人ひとり、学びへの興味も理解の仕方も違います。自ら設定した目標に向かって、自らの力を最大限に引き出していく学びが期待され、その学びの促進者こそが人材開発担当者の使命ではないでしょうか。

 

「上長の期待に応えたい」「チームメンバーのお役に立ちたい」「自分の思いや発想を成果へ盛り込みたい」「お客様に喜んでもらいたい」「仕事を通じて社会に貢献したい」等の思いや志が、成長したい、磨きたいとのエネルギーになっていると感じています。

一律一斉ではなく、必要な人に、必要な教育を!

東芝デジタルソリューションズ株式会社
ICTソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2021年6月時点のものです。


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