[第15回]自ら人間力を語る機会をいただく


2018.9.20

手元に1冊のノートがある。お客様企業から社員を対象にした講演を依頼され、講演内容をまとめたノートである。

営業担当者とお客様を訪問し、当社の人材育成の取組として「人間力講座」を熱く紹介した。その場は盛り上がり、人間力を磨くことに大いに共感されたお客様は(どういう経緯か覚えていないが)「社内異動時のモチベーションをあげたい」との理由で「真野さんの人間力講座を聞いてみたい」との要望をいただいた。固辞したが押し切られてしまった。「外で戦えなくてどうするのか!」との先輩の激が耳朶に残っていたこと事が、後押ししてくれた。

先日、その時同行した営業担当者と久しぶりにお客様企業を訪問。余談としてその話題が飛び出し、思い出した次第である。ふり返ると2003年から15年くらい人間力を熱く語っていることになる。

講演のタイトルは『ひと皮むけた経験』

このタイトルは、神戸大学の金井壽宏先生の著書“仕事で「一皮むける」” (光文社新書) を参考にさせていただき、異動や問題発生の機会こそ、ひと皮むけるチャンスとの思いを届けたかった。当日の参加者は約50名、講演時間は約1時間と記憶している。

冒頭のメモを見ると、話の出だしが書かれていた。

「そんなに出世したわけではありません。周りから見てもこんな席で、お話しできるような、成果を残した人間でもありません。しかし、人生を、仕事を楽しんできたことは確かです。これは、目に見えないかも知れませんが、自分が一番実感していることです。

よく仕事をしていて、職場の人や周りの人から『真野さん、何か良いことがあるんですか?いつもニコニコして楽しそうですね!』と、声をかけられることがあります。

人生の限られた時間の中で、仕事をしている時間は一番長いはずです。その仕事をどうしたら楽しめるのか?それをお話ししたいと思います。」と、切り出した。

ChangeをChanceへ

講演時に配布した1枚のレジュメに書かれている講演のサブタイトルは「ChangeをChanceへ」。1文字違うだけの言葉が並んでいるが、私の好きな言葉だ。

そのレジュメを見ると、自身のプロフィールと共に、自身の職歴に沿った経験談となっていることがわかる。書かれている言葉は、講演で伝えたいことのキーワードをまとめたものとなっている。これまでの拙著コラムでも少し触れている。

〇やればできる <好奇心とハングリー精神>
 初めての海外一人旅/問題発生(トラブル)はチャンス

〇仕事はゲーム <遊び心>
 先を読む/自分の思いを込める/何故かを考える

〇変化を活かす <異動>
 心の思い/朝に勝つ/笑顔と挨拶/信用こそ財産

〇「人間力」との出会い <仕事を楽しむ>
 自分の求めるもので人生は変わる/仕事は三人前

前半の二項目は、東芝入社後、北米向け電子交換機、デジタル・ビジネス電話装置の設計・開発に従事した時の思いや体験をまとめた内容となっている。後半の二項目は突然、人材開発部門へ異動し、企業内大学の創設、ITスキル標準の導入、コンピテンシー辞書の作成、「人間力を磨く」等をテーマに活動した時の思いや仕事を通じて出会った志(こころざし)熱い方との出会いを中心にまとめた内容となっている。

全く畑違いの職場への異動、その変化をどう受け止め、その時にどう行動するのかを伝えてほしいとの要望に、少しでもお応えできたのだろうか。

東芝デジタルソリューションズ株式会社
インダストリアルソリューション事業部 HRMソリューション部
真野 広

※記事に掲載の、社名、部署名、役職名などは、2018年9月時点のものです。


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