実証事例
実証事例

3Dバラ積みピッキングロボットのクラウド上でのデジタルツインとMES

取り組む社会課題

~価値観の多様化に応える多品種少量生産の生産性向上~

  • 低い労働生産性
    日本の製造業の労働生産性は2000年にOECDに加盟する主要34カ国中1位であったが、2022年には19位にまで低迷しています(公益財団法人 日本生産性本部 生産性総合研究センター 労働生産性の国際比較2024 (PDF形式)(2.79MB) p6)。
  • 多品種少量生産の要求の高まり
    多様な価値観でサービスや製品の購買行動が進む昨今、多品種少量生産の要求が以前にも増して高まっています。日本人口減少と高齢化によりベテランの引退が進むが採用は進まず人手不足が深刻化していくため、熟練した多能工を必要とする多品種少量生産を支えて来たセル生産方式を拡大するのが難しくなってきています。

実証内容とシステム構成

~クラウド上のMESと連携した生産ラインのリモート制御とデジタルツイン~

新エフエイコム株式会社がシステム構築した3Dバラ積みピッキングロボットとベルトコンベヤから構成される模擬的な生産ラインを、クラウド型PLCでリモート制御する実証を行いました。さらにクラウド型PLCとクラウド上のMES(製造実行システム)や機械シミュレータを連携し、リモートからの生産状況の可視化とデジタルツインを実証しました。

同社の栃木県のラボで稼働するロボットに対して、MESで設定した作業計画に従い、クラウド型PLCからコマンドを送ります。コマンドを受けたロボットは、バラ積みされている部品のピッキングを行い、部品をコンベヤ上に置いてベルトを送り次のピッキングに移ります。生産進捗など設備の稼働状況をMESへリアルタイム表示しました。さらに同社では、クラウド型PLCの入出力データを、ロボットとコンベヤの機械シミュレータと連携した、デジタルツインの実証も進めました。本システム構築により、ロボットなどの生産設備をリアルタイムにクラウドからリモート制御することによる、生産自動化の実現可能性を実証しました。クラウド上で様々な機能を提供するMESなどのアプリケーションを、クラウド型PLCで生産設備と連携させることで、多能工に依存せずに生産性を高めることができます。

IIFES2024出展システム構成 クラウド型PLCを活用したピッキングロボットのクラウド上でのMES連携

クラウド型PLC活用のポイント

~多機能でレジリエンスな生産システムはクラウドネイティブで構築~

生産システムをスケーラブル&スピーディに構築
PLCをクラウドに実装したことで、物理的な配線制約も無いため、クラウド上でサービス展開されている種々アプリケーションと連携し易くなります。そのためスケーラブルに様々な機能を備えられる生産システムをスピーディに構築できます。

リプレイス作業削減とレジリエンス向上
クラウド上のソフトウェアで構成された生産システムでは、従来のハードウェアPLCと産業用PCの故障発生や製造・保守期限によるリプレイス作業が無くなります。また動作環境ごとバックアップが可能で、障害や災害発生時の早期復旧を助けます。

スマートマニュファクチャリングを加速するOT・IT融合の架け橋となる
現場データ活用プラットフォーム クラウド型PLC