給与収入とは?給与所得・年収・手取りとの違いや確認方法をわかりやすく解説

給与収入とは、給与や賞与などのうち、所得税法上の給与等に該当する収入金額を指します。年間の給与収入は、源泉徴収票の「支払金額」欄で確認可能です。

本記事では、給与収入の意味や給与所得・年収・手取りとの違い、源泉徴収票での確認方法をわかりやすく解説します。給与収入に含まれるものや年末調整との関係、年収の壁など、働くうえで知っておきたいポイントも紹介します。

給与収入とは

給与収入とは、給与や賞与などのうち、所得税法上の給与等に該当する収入金額を指します。年間の給与収入は、源泉徴収票の「支払金額」欄で確認できます。

この給与収入から給与所得控除を差し引いた金額が給与所得です。給与所得しかない場合には、配偶者控除や扶養控除などの判定に用いる合計所得金額にも関係します。

給与収入と給与所得、手取りでは、それぞれ意味や計算方法が異なるため注意しましょう。また、年収は法律上統一された定義がある用語ではありませんが、会社員の場合には給与収入とほぼ同じ意味で使われることもあります。

それぞれの違いを正しく理解しておきましょう。

用語 意味
給与収入
給与・賞与などの年間の収入金額
給与所得 給与収入から給与所得控除を差し引いた金額
年収 法律上統一された定義はないが、会社員の場合は一般に1年間の給与・賞与などの総額を指す
手取り 給与から税金や社会保険料などを差し引いた実際の受取額


参考:No.1400 給与所得(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.2508 給与所得となるもの(国税庁のサイトに遷移します)

給与所得との違い

給与収入は、会社から支払われた給与や賞与などの年間の収入金額のことです。一方、給与所得は、そこから給与所得控除を差し引いて計算した金額を指します。

給与所得控除とは、給与所得者の必要経費に相当するものとして設けられている控除です。控除額は給与収入に応じて決まり、国税庁が定める方法で算出します。

年末調整や確定申告では、給与収入から給与所得控除を差し引いて給与所得を求め、さらに各種所得控除を差し引いた課税所得などを基に所得税額を計算します。

参考:No.1410 給与所得控除(国税庁のサイトに遷移します)

年収との違い

給与収入と年収は、似た意味で使われることがありますが、必ずしも同じではありません。給与収入は、会社から支払われた給与や賞与などの収入を指す言葉です。一方、年収は法令上統一された定義のある用語ではなく、会社員の場合は一般に1年間の給与や賞与などの総額を指します。

そのため、会社員の場合は、給与収入と年収がほぼ同じ金額になるケースが一般的です。ただし、「年収」にどこまでの収入を含めるかは、使用する場面や提出先によって異なる場合があります。副業収入がある場合も、その収入を年収に含めるかどうかは、申込先や提出先が定める「年収」の範囲を確認することが大切です。

手取りとの違い

給与収入と手取りは、金額の考え方が異なります。給与収入は、会社から支給される給与や賞与などの年間の収入金額のことです。一方、手取りは、そこから所得税や住民税、社会保険料などを差し引いたあとに、実際に受け取る金額を指します。

給与収入に含まれるもの・含まれないもの

給与収入には基本給だけでなく、賞与や各種手当なども原則として含まれます。ただし、一定額までの通勤手当など、所得税が非課税となるものもあります。

含まれるものと含まれないものを理解し、実務で正しく判断できるようにしましょう。

給与収入に含まれるもの

給与収入には、会社から支給される給与や賞与など、労働の対価として受け取る経済的利益が含まれます。具体的には、以下が原則として給与所得になるとされています

  • 基本給
  • 残業代・時間外手当
  • 役職手当・家族手当・住宅手当
  • 賞与(ボーナス) など

このように、毎月の基本給だけでなく、その年中に支払の確定した給与や賞与などのうち、給与等の収入金額に算入されるものを合計した金額が給与収入です。ただし、給与明細の総支給額と税務上の給与収入は必ずしも一致しません。

例えば、一定額までの通勤手当のように、支給されても所得税が課税されないものもあります。

給与収入を確認する際は、支給項目ごとの取扱いもあわせて確認しましょう。 

No.21「通勤手当 課税」

給与収入に含まれないもの

給与収入には、会社から支払われるすべてのお金が含まれるわけではありません。国税庁の通達によると、出張時の旅費や宿泊費などのうち、通常必要と認められる範囲のものは非課税とされ、給与ではなく実費の補填として扱われます。また、結婚祝金品などについても、一定の要件を満たし、社会通念上相当と認められるものは課税されない場合があります。

また、通勤手当についても、国税庁は一定額までは所得税が非課税という扱いです。ただし、支給項目によって非課税となる要件や限度額が異なり、同じ手当でも一部だけが非課税となる場合があります。支給の目的や税法上の取扱いによって、判断が異なります。

そのため、給与明細から給与収入を確認する場合は、各支給項目の課税・非課税の取扱いにも注意しましょう。年間の給与収入は、源泉徴収票がある場合は「支払金額」欄で確認できます。

参考:通達目次 / 所得税基本通達(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.2585 マイカー・自転車通勤者の通勤手当(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当(国税庁のサイトに遷移します)

給与所得の計算方法

給与所得は、原則として以下のように計算します。

給与所得 = 給与収入 - 給与所得控除

給与所得控除とは、会社員などの給与所得者について、必要経費に相当するものとして給与収入から一定額を差し引く仕組みです。会社員には、個人事業主のように仕事にかかった必要経費をそのまま実費で差し引く仕組みは原則としてありません。ただし、一定の要件を満たす支出については、特定支出控除を受けられる場合があります。

税制改正によって、給与所得控除の最低保障額は令和7年分(2025年分)以後、段階的に引き上げられています。適用される控除額は対象年分によって異なるため、最新の控除額をご確認ください。

参考:No.1400 給与所得(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.1410 給与所得控除(国税庁のサイトに遷移します)

給与収入を確認する方法

税務上の年間の給与収入は、原則として、その年中に支払の確定した給与等のうち収入金額に算入される金額で確認します。源泉徴収票や給与明細を確認すれば把握できますが、それぞれ役割や確認できる内容が異なります。

目的に応じた確認方法を理解し、手続きを正確に進めましょう。

源泉徴収票で確認する方法

年間の給与収入を確認する場合は、源泉徴収票の「支払金額」欄を確認するのが基本です。源泉徴収票は、勤務先がその年の給与や源泉徴収税額などを記載して交付する書類で、年末調整を受けた場合にはその結果も反映されます。

「支払金額」欄には、その年中に支払が確定した給与等のうち、源泉徴収票に記載すべき金額が記載されます。

なお、扶養控除や配偶者控除などの適用判定では、給与収入そのものではなく、制度ごとに定められた合計所得金額などの要件を確認しましょう。

参考:「支払金額」欄(国税庁のサイトに遷移します)
参考:令和7年分 給与所得の源泉徴収票等の法定調書の作成と提出の手引(国税庁のサイトに遷移します)

給与明細で確認する方法

給与明細でも給与収入の目安を確認できます。ただし、給与明細に記載されているのは1か月分の支給額であるため、年間の給与収入を知りたい場合は、毎月の支給内容や賞与を確認しましょう。

給与明細の欄名は、以下のように整理可能です。

改善前 意味する金額
58万円以下(給与収入123万円以下) 給与収入を把握する目安。ただし、非課税手当等が含まれる場合がある
85万円以下(給与収入150万円以下) 手取り(税金・社会保険料等を差し引いたあと)


※給与明細の項目名は勤務先によって異なります。

このように、「総支給額」や「支給合計」などの欄は給与収入を把握する目安になりますが、非課税の通勤手当などが含まれている場合があるため、源泉徴収票の「支払金額」と一致しないことがあります。また、「差引支給額」や「振込支給額」などは手取りを指すため、混同しないよう注意しましょう。

年末調整と給与収入・給与所得の関係性

年末調整とは、勤務先が1年間に源泉徴収した所得税および復興特別所得税と、本来納めるべき税額との過不足を精算する手続きです。毎月の給与からはあらかじめ所得税等が源泉徴収されていますが、この金額と実際に納めるべき年間の税額との間には、ずれが生じることがあるため、注意しましょう。

そこで、1年間の給与収入を基に給与所得を求め、さらに各種所得控除を反映して年間の所得税額等を計算し、源泉徴収済みの税額との過不足を精算します。

年末調整は、原則として主たる給与の勤務先で行われます。副業先などから受け取る従たる給与は原則として年末調整の対象にならないため、一定の要件に該当する場合は確定申告で税額を精算するのです。

参考:No.2662 年末調整のしかた(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.2675 年末調整の過不足額の精算(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.2520 2か所以上から給与をもらっている人の源泉徴収(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.1900 給与所得者で確定申告が必要な人(国税庁のサイトに遷移します)

【働き方別】給与収入の考え方

給与収入の基本的な考え方は同じですが、正社員・パート・アルバイト・副業の有無など、働き方によって確認方法や注意点が異なります。

実務で判断を誤らないためにも、それぞれのケースに応じた給与収入の考え方を理解しておきましょう。

正社員の場合

正社員の給与収入は、その年中に支払の確定した給与や賞与などのうち、所得税法上の給与等に該当する収入金額を指します。基本給だけでなく、残業手当や役職手当、賞与なども原則として含まれます。

ただし、給与明細の「総支給額」には非課税の通勤手当などが含まれている場合があるため、給与明細上の総支給額と税務上の給与収入が必ずしも一致するとは限りません。

年間の給与収入を確認する場合は、源泉徴収票の「支払金額」欄を確認するのが基本です。

パート・アルバイトの場合

パート・アルバイトであっても、給与収入の基本的な考え方は正社員と変わりません。給与収入とは、勤務先から1年間に支払われた給与や賞与などの収入金額を指し、雇用形態によって基本的な考え方が変わるものではありません。

パート・アルバイトは勤務時間や勤務日数によって年間の給与収入が変動しやすい傾向があります。そのため、税法上の控除や社会保険上の扶養を意識して働く場合は、それぞれの制度で定められた基準を確認することが大切です。

副業をしている場合

副業で給与を受け取っている場合は、本業と副業の給与収入を区別して管理することが大切です。源泉徴収票は勤務先ごとに交付されますが、複数の勤務先から給与を受け取っている場合は、原則として各勤務先の給与等の収入金額を合計したうえで、給与所得を計算します。

また、副業がパートやアルバイトのような雇用契約に基づくものではなく、業務委託や物販などの場合は、給与収入には含まれません。所得税法では、給与所得のほかに事業所得や雑所得など複数の所得区分が定められており、副業の内容によって区分が変わります。

そのため、勤務先が2か所以上ある場合や、副業によって確定申告が必要となる場合は、それぞれの源泉徴収票や収支を確認し、正しい区分で申告しましょう。

参考:No.1300 所得の区分のあらまし(国税庁のサイトに遷移します)
参考:No.1350 事業所得の課税のしくみ(事業所得)(国税庁のサイトに遷移します)

給与収入を扱う際の注意点

給与収入は、給与所得や手取りなど似た用語と混同しやすく、手続きによって確認する金額も異なります。

誤った金額で申告しないためにも、実務で特に注意したいポイントを押さえておきましょう。

  • 給与収入と給与所得を混同しない
  • 額面と手取りを混同しない
  • 非課税手当の取扱いを確認する
  • 手続きごとに必要な金額を確認する

給与収入と給与所得を混同しない

給与収入と給与所得は似た言葉ですが、意味は異なります。給与収入は、給与や賞与などのうち税務上の給与等に該当する収入金額です。一方、給与所得は、給与収入から給与所得控除を差し引いた金額を指します。

年末調整では、1年間の給与収入から給与所得を求め、さらに各種所得控除を差し引いて所得税額を計算します。人事・給与担当者は、従業員から収集する申告書に「収入」と「所得」のどちらを記載する欄なのかを確認し、取り違えがないよう案内しましょう。

額面と手取りを混同しない

一般に額面は、給与明細の総支給額を指します。総支給額には非課税の通勤手当などが含まれる場合があるため、税務上の給与収入とは一致しないことがあります。

一方、手取りは、所得税や住民税、社会保険料などを差し引いた後の受取額です。企業が従業員に年間の給与収入を案内するときは、給与明細の振込額ではなく、源泉徴収票の「支払金額」を確認するよう伝えましょう。

非課税手当の取扱いを確認する

給与として支給される手当のなかには、所得税が課税されるものと非課税となるものがあります。そのため、給与収入を確認する際は、支給項目ごとの取扱いを把握しておくことが大切です。

例えば、通勤手当は一定の要件や限度額の範囲内であれば所得税が非課税です。一方、住宅手当や役職手当、資格手当などは、原則として給与所得の対象となります。同じ「手当」でも税法上の取扱いが異なるため、一律に判断することはできません。

企業が給与計算や年末調整を行う際は、手当の名称だけで判断せず、支給目的や金額、税法上の要件を確認して課税・非課税を設定する必要があります。区分を誤ると、源泉所得税や源泉徴収票の「支払金額」に影響するため、手当を新設・変更するときも取扱いを確認しましょう。

出張手当については、以下の記事で詳しく解説しています。

No.27_出張手当
参考:No.2582 電車・バス通勤者の通勤手当|国税庁
参考:No.2508 給与所得となるもの|国税庁

手続きごとに必要な金額を確認する

企業の人事・給与業務では、手続きによって集計対象となる金額が異なります。税務上の「給与収入」を、そのまま社会保険や労働保険の手続きに使えるとは限りません。

企業が行う手続き 確認する金額 実務上の注意点
年末調整・源泉徴収票の作成 税務上の給与収入、給与所得、所得控除額など 源泉徴収票の「支払金額」には、その年中に支払の確定した給与等の総額を記載する。所得税が非課税となる通勤手当の部分などは原則として含めない。
給与支払報告書の作成 給与等の支払金額や給与所得控除後の金額など 従業員の住所地の市区町村へ提出する。源泉徴収票と共通する項目が多いが、提出範囲や提出先を確認する。
算定基礎届・月額変更届 社会保険上の報酬月額 基本給や各種手当のほか、所得税が非課税となる通勤手当も原則として報酬に含める。
労働保険の年度更新 労働保険の対象となる賃金総額 労災保険と雇用保険では集計対象者が異なる場合があるため、年度更新の手引で対象賃金を確認する。


特に通勤手当は、所得税では限度額以内なら非課税ですが、社会保険では原則として報酬月額に含まれ、労働保険でも賃金として扱われます。同じ支給項目でも制度ごとに取扱いが異なるため、給与システムでは税務・社会保険・労働保険の区分をそれぞれ管理することが重要です。

No.4「算定基礎届」
No.29「算定基礎届 書き方」
参考:【入力例】被保険者報酬月額算定基礎届(日本年金機構のサイトに遷移します)

給与情報を適切に管理するならGeneralistがおすすめ

給与収入は、給与や賞与などのうち、所得税法上の給与等に該当する収入金額です。給与所得は給与収入から給与所得控除を差し引いた金額、手取りは税金や社会保険料などを差し引いた後の受取額を指します。年間の給与収入を確認するときは、源泉徴収票の「支払金額」を確認しましょう。

企業の給与業務では、手当ごとの課税・非課税区分に加え、税務、社会保険、労働保険で異なる集計対象を正しく管理する必要があります。従業員数や支給項目が増えるほど、給与計算や年末調整、各種届出に必要な情報の確認・集計は複雑になります。

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